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417話・ロゼッタ、君たちが最弱だ1

 もはや戦場は阿鼻叫喚だ。

 勝った者は喜びを体全体で表現し、負けた者はその場で膝をついて悔しがる。

 そして残りは六人。


 負け続けた先に選出された六人は絶対にこれ以上は負けられない、と互いを睨み殺意を迸らせる。

 んー、でも六人だとちょっとなぁ、八人いた方がスムーズに進みそうなんだよなぁ。

 誰かいないかなぁ残りの二人。


 ……二人?

 そーだ、あの二人がいるじゃん。

 参加したそうにしてたし、参加させちゃえ。


「勝ちぬけた近衛兵数人、オスカーとケリーの二人と交替してきなさいな。せっかくだしあの二人にも参加させましょ」


「っし、二人増えるぞ、絶対に負けるか!!」


「いや、お前ら隊長と実力者の近衛兵だぞ、勝てると……ひぃっ!? すまん、わからんな、うん、わからん。勝負は分からんよな」


 個人戦行う六人は殺意高めだから睨まれるとさすがに竦むよね。

 私も出会い頭にこんな殺気向けられたら驚くよ。


「主はん、たぶん速攻で無力化すると思うんやけど」


「ロゼだからね、殺気を向けた方が悪いんだよ、死んだな? みたいな感じで倒しちゃいそうだね」


 キーリだけじゃなくリオネル様まで!? 酷い、私そんなに野蛮人じゃないし、自重してるしっ。さすがにびっくりして一瞬驚いた後に全力のガトリングマジックミサイル叩き込むだけだしっ!


「お嬢! 聞いたぞ、俺らも参加出来るんだって」


 生贄さんが来ましたよっと。

 オスカーとケリーが嬉しそうにやってくる。

 私から負け抜け戦の話を聞いて、よしやるかぁ。と楽しそうに告げたその刹那、六人の対戦者たちが二人に見えないようにニタァっと悪魔的な笑みを浮かべる。

 何も知らない哀れな贄を見付けた悪魔のような顔をしていた。


 八人になった兵士達で抽選。おっと、ケリーが初っ端かぁ、これは運が無い。オスカーだったら持ち直せるかもだけど、今回の兵士さん殺意高めだからケリー相手ならワンチャンあるかも?

 まぁ、私からは何も言わないんだよ。勝負は時の運ってことで、試合、開始!!


「死ねケリィィィィィッ」


「へ?」


 開始の合図と共に全力全進。魔法を使って肉体加速で一気に突っ込んだ兵士さん。

 驚くケリーの無防備な胴目掛け、渾身の一撃が襲いかかる。

 慌てて防御を行うも、殺意高い兵士の一撃は全身の体重を乗せたまさに一撃必殺、ここに全てを掛けた者と面食らった者の差が如実に表れた。


「う、うわあぁぁぁ!?」


 なんかすっごい音が聞こえた。

 剣が出すような音じゃないぞ!?

 しかもケリーの防具がべっこりヘコんだし!?


 すっごい、あれなら倍のレベル差があっても一撃で倒せそう。

 でも文字通り一撃必殺の放ったら終わりの一撃みたいだから実戦では死ぬ直前の最後のあがき、くらいでしか使えない一撃だ。


「勝負あり、だな、今の一撃は良い一撃だ。が、本番では使うなよ? 使う時は死ぬ直前だと自覚して使え」


「分かっております! やったぜ! 悪いなケリィさん。ひゃっほぅ!!」


 殺意は霧散し上機嫌となった彼は他のメンバー同様勝ち組へと昇華した。


「はいよ回復なんだよー。でも防具はさすがに回復出来ないんで修繕するか買い替えしてね。経費で落とすんだよ?」


「ま、負けた? 一撃で? いや、油断していたとはいえ、なぜ? いや、待て……今までと、何か違うぞ!?」


「気付いたかケリー、こいつ等、死兵になってやがる。何があったんだお嬢?」


「え? 皆何度も負けたうえにもうすぐ最弱が決まっちゃうから全力で抗ってるだけなんだよ? 殺意高めで恐いな?」


「いや、恐いな、じゃないだろ、ちょっと見ない間になんだあの威力。仲間に放つ攻撃じゃないぞ? タガがはずれてるじゃないか」


「即死じゃ無ければ回復するから大丈夫? かも」


 さすがにその辺りは手加減してるでしょ? え? してない? 全力で勝つ。相手を殺してでも? いや、待って、この試合そこまで気負う必要無いんだよ?


「つまり、俺も油断すれば負ける可能性がある訳か」


 いやぁ、さすがに既に気を引き締めてるから油断の一撃受ける可能性は無くなってるんだよ?

 んじゃま、気を取り直して二回戦目いってみようか。


「次はドーラスとサロックね。ドーラスは頭脳特化らしいから近接には弱いことが既に露呈しているわね。あと、サロック、近衛兵で残ってるの、貴方だけなんだよ。ケリーとオスカーが居るからって安心したら不名誉な称号貰っちゃうけど、大丈夫?」


「「絶対に勝つ」」


「今、煽ったな? 今、煽ったろ、絶対煽ったろ!!」


 いやだなぁ、私はただ聞いただけなんだよオスカーさん。

 試合が始まり、二人が死に物狂いで争い合う。

 物凄い怒号と殺意の応酬。ぶつけ合い過ぎて剣がぶっ壊れて武器を無くしてしまった二人は、そのまま肉弾戦にもつれ込む。

 互いに殴り合い蹴り合いマウント取ろうと転がり合う。


 本気の一撃。

 相手を破壊することしか考えていない拳が互いに打ちつけられ、切れた瞼や潰れた鼻から血飛沫が舞い散る。

 絶対に引けない闘いだった。

 二人とも背負っているものがある。だから後は、どれだけ相手より立っていられるか。それだけが闘いの勝敗だった。


 勝者は……泥仕合の末ドーラスの咆哮が響き渡った。最後にマウント取れたのが勝因だ。

 サロック、滅茶苦茶悔しそう……ちょっと煽り過ぎたかもしんない。

 今回はドーラスの粘り勝ちだったけど、サロックは近衛騎士としては致命的な敗北だったかも、大丈夫かな?

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― 新着の感想 ―
[一言] お腹が壊れるwww声を出して笑ってしまったw悔しいwwあはははははwwwお腹がw壊れるww誰かwww助けてww
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