表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
402/1850

397話・クラムサージュ、やばい、乗っ取られる……

SIDE:クラムサージュ


 マズい。

 非常にマズい。

 私達は緊急会議を開いていた。


 このままだとマズいのだ。

 この店が、プライダル商会が乗っ取られる。

 っていうか、なんなのあのポアラ! 知らないうちに新人の女性陣と子供たちを牛耳ってるじゃないっ。

 このままだと本気でヤバいわ。ロゼッタに戻って来て貰わないと。


 とにかく、私、クラムサージュは古参メンバーを集めての緊急会議。

 参加者はエルフレッドさん、パンナ・ベルングシュタット、リオネッタ、マリーヌ、名前知んないけど影のおっちゃん。

 それからルインクさん、チェルシーちゃん、ストイさん、シオン、ハッスール。

 子供たちからはレコール、パラセル、クライマル、リックル、クイッキル、フライジャル、マーシャ、セーリア、ララーレ、キリハ。

 あとついでにシゼル、シュプレシア、ペルテシア、アルタール、トートルといったメンバーだ。


 子供たちの初期メンバーと大人達ってところである。

 まぁ、若干名後期メンバーが入ってるけど、そこは気にせずに。

 部屋をうす暗くして。私は机に両肘を突いて顔の前で手を組む。

 そして皆に言い聞かせるように厳かに告げた。


「諸君、未曾有の大問題が発生した。もう承知の者もいるだろう。しかしながらこの危機は我々全員にとって看過できない事象であると確定した」


「なんかそう聞くと凄く危険な状況みたいねぇ」


 いや、実際危険な状況ですよパンナさん。


「脅威の対象はただ一人。新しくやってきた補充要員の一人、ポアラよ」


 皆、理解したようで神妙に頷く。

 やっぱり、あの人危険人物よね?


「えーっと」


「トートル、何か?」


「確かにポアラさんはちょっとお嬢みたいな笑み浮かべる時ありますけど、皆が困ってる事相談に乗ってますし、危惧するようなこと、無いように思うんですが」


「チッ、皆さん、理解していただけたでしょうか? 奴の魔の手は既にトートルまで及んでるわ」


 私の指摘に驚くトートル。周囲を見回すけど自分の味方は一人もおらず、皆険しい顔をしている。


「あ、あの、ど、どういう? 俺、何が何だか……」


「トートル。部外者の俺が言うのもなんだがな、あの女は完全な毒婦だ。居るだけでこの商会が傾きかねんぞ? 正直、お嬢はなぜアレを雇ったのか不思議なくらいだ」


「そ、そうかな?」


「トートル。まず客観的に彼女の周辺を見てみなさい? 確実に、ちょっとした質問や気になることを彼女に尋ねてる人がいる筈よ。そのメンバーは新人が多いでしょうね」


「あ、それは確かに分かります。皆的確な返答が貰えるポアラさんに聞いちゃうんですよね」


「ええ。頼れる存在というのはとても素敵よ。でも、異常だわ」


「確かに、異常だな。子供たちに注意してもポアラさんが大丈夫って言ったから問題無いし、と言われたぜ?」


「ああ、それなら僕も言われたよ。なんだかポアラさんの意思に盲目的に従ってる感じだったね。ちょっと怖いと思ったよ」


 ふむ、ルインクさんとストイさんは安全ね。


「子供たちから見てどう?」


「ああ、確かにポアラさんの人心掌握率は想定以上だよ。多分お嬢並にあると思う」


「問題はそのお嬢が居ないせいで歯止めが利かないってことなのだ。私とシュプレシアも怖いんであんまり近づかないようにしてるのだ」


「ちょっと、苦手な人です」


「あの人ほんと凄いよな。いや、確かに脅威だけど、あの人の心掌握術は覚えたいと思うよ」


「確かにねぇ、女としては見習う部分多いのよね。お嬢みたいになりたい私としては目標とする人物像とも言えるのよ」


 リックルとララーレは純粋に技術を称賛してるのか。近づき過ぎると取り込まれるわよ?


「影のおじさんはどう思います?」


「いや、俺影だからな、聞かないでほしいんだが。今はパンナ様の護衛中だぜ? まぁ、ありゃ確かに悪女だな。このままだと新人どもにこの店乗っ取られる可能性があるっていうクラムサージュさんの懸念は確かにあり得る。が、だ」


「何か問題でも?」


「多分、あの姐さんはそういうの狙ってねーな。お嬢とタメ張れるように必死に自分の地位を築いてるとこだろ。お嬢連れてくりゃすぐ解決するぞ」


 いや、さすがにロゼッタ来ても解決は……


「え? ホントに出来るの?」


「そもそもがあの姉さんがやってんのはお嬢の真似事だからな。あの姐さん自身が既にお嬢に心酔しちまってるから乗っ取り以前にお嬢の手足として動いてるぞ?」


「どゆこと?」


「既にここだけじゃなく客の一部も取り込んでんだよあの姐さん。情報を持って来れる大口客を中心にな。しかもやってることはお嬢の為になりそうな情報集めだ。つーわけで、俺らベルングシュタット家組はあの姐さんを脅威には感じてねぇ。余程目に余ったりお嬢が要らないと切り捨てるなら即座に処分しておくが、多分お嬢が切り捨てることはないだろ。自分に敵対しないかぎりは」


「それ、大丈夫なの?」


「大丈夫も何も、そういう方法でお嬢のゲームとやらの断罪? やらかした過去を踏まえたうえでお嬢が手元に置いておくと決めたんだから大丈夫だろうよ。自分が断罪されかねない危険人物だったとしたらお嬢が存在を許すとは思えんぞ」


 なるほど、確かに……

 結局ロゼッタ次第か。仕方ない。様子見のためにもロゼッタを召還するしかないわね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 次話でクラムサージュはサモン・ロゼッタ嬢を唱えるのか?、なんだよ。
[一言] ポアラさんは何処にいても毒婦なんですね/(-_-)\ アチャー >>子供たちに注意してもポアラさんが大丈夫って言ったから問題無いしって… ポアラさん、貴女の立ち場は責任者なのかな?(困惑 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ