36話・ロゼッタ、攻略対象確認2
さて、お次は学級委員長のクランツ・ヒュッケインだ。
私ことロゼッタやヒロインちゃんの学級の委員長になる優秀なお貴族様である。
そのクランツ君の婚約者は副委員長に指名されたご令嬢で、確かヒロインちゃんとの距離が縮まってきたことに嫉妬してイジメをし始めるのだ。
それを委員長が調べ、最後の卒業式で公開断罪するのである。
正直こっちの方が王道的な悪役令嬢モノだと思うのよ。
ロゼッタはこのルートの場合出て来ない。
王子狙われた訳じゃないから玉の輿しちゃうんだよ。第二王子は放置だよね。どうなるんだろう? まさかロゼッタさん第一王子共々暗殺エンド!? いやぁ、このルートは御免被るんだよ!?
次は、えーっと生徒会長のユルゲン・テリテュリーだっけ。
この人とのエンディングは酷い。
いや、普通にグッドなエンドなんだよ? ユルゲンとヒロインちゃんの結婚エンドで私、幸せになります。だからね。
問題は、ユルゲンの婚約者が書記係として生徒会に居らっしゃるという事実だ。
つまり、彼女の見ている前で婚約者である生徒会長の好感度を上げて、彼女の見ている前でイチャ付き、彼女の見ている前でデートに誘い、彼女の見ている前で告白までしちゃうのだ。
ようするに略奪愛。
このルートだけは悪役が出現せず、書記のライバルキャラもただただヒロインちゃんに寝取られる婚約者を無言で見守り続けるというなんとも可哀想になるシュールなルートである。
正直言えばヒロインちゃんこそが悪役なんじゃないかなって錯覚すら覚える手酷い寝取りルートなのである。
しかもユルゲンも最初こそ書記係を気遣う様子を見せるのに、最後の方は真横にいるのに気にすることなくヒロインちゃん、私は君が好きなんだ。好きで好きで堪らない。私の婚約者になってくれないか? 今いる婚約者? 解消するに決まってるだろう?
とか平気で言っちゃうんだぜ? 人としてクズなんじゃないかな? と錯覚しそうなほどの酷い告白でした。
ちなみに、結婚した時のCGの片隅に、ご令嬢の誰かに慰められて泣いてる書記係が小さく映ってたりするので、見付けた時はなんとも居たたまれない気分にさせられたんだよ?
あれは、流石に可哀想だからこの世界のヒロインちゃん、逆ハーエンド以外を狙う時は生徒会長だけは避けてあげてね?
クラスメイトのビル・マークレンは一番接点がありながら、一番難易度が高い攻略対象だと言える。
なにしろヤンデレ伯爵令嬢の即死フラグを全回避してヤンデレ事故死エンドを迎えないと結婚のけの字すらでないのだ。
クラスメイトのヤンデレ令嬢は、初めはビルに煙たがられているだけの存在なんだけど、ヒロインちゃんがビルに近づくと、嫉妬したように可愛らしくビルに寄って浮気ですか、もう。と頬を膨らませたりして、なんかちょっと癒されるのだ。可愛いんだよ、最初だけは。
だが、それも中盤までのこと。ビルがヒロインちゃんを意識し始めた瞬間、彼女はヤンデレ力を思いっきり発揮する。
選択肢に時間が出始め、正解の選択肢を時間内に押さなければ刺殺、階段から突き落とされる、ビルが刺殺されるなどなど、なんかもう悲惨な運命てんこ盛りなのである。
いやもう、ホント、あの中盤からの怒涛の死亡フラグはこれ、制作陣はクリアさせる気あんの? ってくらい物凄い量の死亡フラグと選択肢と短い制限時間だった。
初見で切り抜けるのはまず不可能。
何度も死を経験して、選択肢を一つ、また一つと潰していかないといけないのだ。
つまり、ヒロインちゃんがビルエンドを目指し始めたら私は絶対に彼らには近づかないようにしようと思うんだ。
ちなみに逆ハーエンドの場合は中盤までの好感度上げだけしておけばいいのでヤンデレ化を見ることはない。
無いのだけれど、それで逆ハーエンドで対象令嬢全員と婚約破棄ラッシュしちゃうからヤンデレ令嬢とのバトルはクリア後になるんじゃないかな?
どうなっても知らんよわたしゃ。
次は、先生ね。
バルバロイ・グランザム先生はクールな赤毛のお兄さんだ。
いつも飄々としていて掴みどころが無くやる気も無い。
でも不思議といざこざが起これば仲裁をしていて、大事になることはまず無かった。
で、そんな先生との恋愛はかなりスロースタートだ。
頭が良いと、先生との恋愛フラグは育たない。
頭が良くてもわざと授業選択肢を間違えないといけない。
一定数の授業中選択肢を間違えると、例え知力MAX状態でも期末試験を落とし、夏休みの補習が待っている。
だが、こここそが先生との恋愛フラグである。
なんと他の補習者がサボってしまい、先生と二人きりのマンツーマンレッスンになってしまうのだ。
背後から近づき分からない所を教えてくれる美形の先生に、ヒロインちゃんたじたじ。
だが、その終盤、事態は一転する。
廊下でとある先生と鉢合わせしてしまうのだ。
運命的な角を曲がって激突、という行為をしてしまったことで、その教師がヒロインちゃんに目を付けた。それが、アブラギッシュメタオ先生。
いや、名前はちゃんとあったんだけど忘れちゃったんだよ。
アブラギッシュ先生のストーキングに恐怖するヒロインちゃん。それに気付いたのはバルバロイ先生だけだった。何度も気に掛けるバルバロイ、アブラギッシュ先生から守ってくれる姿に次第心惹かれるヒロインちゃん。
しかし、アブラギッシュ先生はあろうことかバルバロイの名を使ってヒロインちゃんを呼び出すのだ。
誰も助けが来ない秘密の部屋で、二人きりにされたヒロインちゃん。アブラギッシュ先生に襲われるその瞬間、アブラギッシュ先生の頭を背後から奇襲し、颯爽と助けにやって来るバルバロイ先生。ヒロインちゃんをお姫様抱っこして華麗に救出。
アブラギッシュ先生はこのことがバレて国外追放となり、ヒロインちゃんはバルバロイ先生と結ばれ幸せな日々を送るのだった。
これ、現実だとバルバロイ先生の救出時間によってはヒロインちゃん襲われた後に救出なんてこともあるのでは? やっぱりアブラギッシュ先生は先手打ってぶっ倒しちゃうかなぁ?