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356話・ロゼッタ、違うよ、忍んだんだよ! 自重したんだよっ!?

「どうですかい、バルディッシュ隊は?」


 深夜、砦の屋上に集合した四人の兵士の能力を確認していると、その内の一人が尋ねて来た。

 この四人は全員シュヴァイデン隊の兵士である。

 彼らの中で一番アサシン向きな面子がこの四人らしい。


「想定以上に酷いね。まさか上司の挨拶中に酒飲むとは思ってなかったんだよ」


「ああ、アレ喰らったの、ソイツっすか」


「ふっ、浮気撲滅断罪拳が火を吹いたんだよ」


「それ、拳付ける必要ないっすよね。殆ど蹴り技じゃないですか」


「むしろ拳と臭わせて油断させての集中攻撃なんだよ」


 全ての連撃が股間をクリティカルヒットの連殺技である。

 ちゃんと手加減したので気絶だけで済んだけど、せめて上司のお話は普通に聞きましょうねって笑顔で教えざるをえなかったんだよ。それからしばらくは説教タイムだったんだよ。

 なんでバルディッシュまで説教される側にいたんだろうね? 彼は部隊長だから免除で良かったのに。


 まぁいいや。気を取り直して。

 さて、本日夜襲を仕掛けるとは言ったんだけど、下は地面ではなく積雪が結構あるみたい。

 いやー、この時期に雪降ってるとか想定外なんだよ。


「さて皆、この状況で夜襲を仕掛けるとして、どんな方法がいいかしら?」


「では最初に私から。やはり定石としては食料庫を焼き打ちがいいかと思います」


「そりゃぁいいけどよ、何処に食料庫があるんだ?」


「そもそも雪降ってるんだぜ? どうやって向こうまでいくんだよ。向こうの方が高い場所にあるし」


 そう、そこが大問題だ。

 向こうからはこちらの砦の全貌が普通によく見えるのである。

 こちらから襲撃仕掛けようにもそれが丸見えだから奇襲にはならないし、むしろ丸見えだからこそ向こうが奇襲仕掛けてき易かったりする。


「なら俺は、折角の夜なんで空から偵察して食料庫の位置を探すことから始めるのがいいと思います」


「空って、マジか?」


「できるぞ? 今日は月明かりもない曇天だし、暗視スコープでしたっけ。あの魔法を使えば夜間でも良く見えます」


「おお、あの魔法使えるのか、やるなぁ」


「俺が役立てることをって必死に覚えたッす」


 照れるおっちゃん。褒められ慣れてないから凄く恥ずかしそうだ。


「さて、他に何かあるかな?」


「足跡は残さない方がいいですよね」


「ってことは常時浮遊しながら接近するのがいいのか?」


「むしろ超上空から一撃離脱はどうです?」


 それはさすがに無理かなぁ、砦の周辺は松明で明るいから空からでもある程度見付かりやすいし。でも、食料庫の場所確認は丁度よさそうね。


「んじゃ、まずは超上空から食料庫を探してみましょうか」


 全員頷き、一気に上空へと飛翔する。

 おおー、全員浮遊魔法を覚えたのか。

 私でも驚くくらい皆いろいろ出来るようになったなぁ。

 むしろちょっと焚きつけるだけでここまで出来る兵士達のスペックがおかし過ぎるんだよ?


「報告、敵陣に穴を発見。側面は手薄な模様」


「まぁ、山に面してる場所ですしねぇ、険しい崖側なんて誰が来るんだって話ですよ」


 そこを突いちゃうのが兵法の極意だったりするんだよ。

 襲撃場所は決まりね。食料庫は……あれね。なぁんだ。近いじゃない。


「崖の上に降りましょうか。あそこなら見付かりそうにないし」


「一方的に見渡せますね」


「でも、奇襲するのは大変じゃないですか?」


「ふっふっふ。君たちは奇襲というものを定型的なものとして考えていないかね?」


「お嬢?」


「いいかな? 奇襲とは奇をてらう襲撃。つまり相手の想定外の一撃を叩き込むことで致命的な隙を作りだし一網打尽にするということよ」


 崖の上に降り立つ。

 かなり高いけどここなら敵の城が普通に見下ろせる。

 このまま落下すれば奇襲するには丁度良いだろう。まぁしないんだけど。


「見ていなさい。奇襲とはこれすなわち一撃必殺。魔法にて想像を創造し葬贈しちゃうんだよ」


 折角だから武器庫もなんか使えなくしちゃおう。二か所に同時に打ち込むのは炎……だけだと燃え切らないかもだからちょっと可燃性物質を山の中とかなんかそこかしこから収拾しちゃおう。この辺の鉱石とかなんかから集まれ抽出可燃物!!

 そして闇夜にまぎれて放物線を描くように投げる。

 目標地点直撃、落下確認♪


「んじゃ帰りましょうか」


「あれ? 俺ら意味がないような?」


「いやー、こんなところにおあつらえ向きな崖があるのが悪いんだよ。無かったら浮遊状態で雪上行軍を行おうと思ってたんだけど……そうだ。明日は皆で雪上訓練しようか?」


「はぁ、それはいいっすけど、襲撃、しなくていいんですか?」


「え? もう終わってるけど? さっさと撤収しないと見付かるかもだから、早く帰……」


 刹那、音が消えた。

 かっと明るくなったかと思えば強烈な衝撃波と共に大地を揺るがす物凄い爆音が響き渡る。


「うおおおおおおっ!?」


「うわわわわ、耳が、耳がっ」


「風圧で吹っ飛ばされたじゃないっすか!?」


「あっぶね。レベル200越えてなければ即死だった」


 ……デーバルデ帝国の国境砦……爆散しちゃった。

 やっぱりニトログリセリン混ざってたのが不味かったのかなぁ。てへっ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 私が甘かったw龍華ぷろじえくとさんを甘く見ていたw完全に裏切られたw(良い意味でw 昨日の感想が馬鹿みたいじゃ無いですかwやられたw やり過ぎですwお腹痛いwあははははwそうだったこう…
[気になる点] 雪崩で自国の砦も埋まっちゃってませんか(・∀・)? [一言] さあ大々的に斥候を放てますね、なんせ監視警戒対象の一大事ですから。
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