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348話・ロゼッタ、悪役令嬢の休日

 朝、ゆっくりと眼を醒ます。

 小鳥の鳴く声が外から聞こえる。

 スズメ、この世界にも居るらしい。


 眼を開くと腕に痺れ。何か重たいものが右腕に乗ってるらしい。

 視線を向ければ旋毛が見えた。

 って、おい邪神、なんで私の右腕で腕枕してんの!?


 左腕使って頭をのける。うぅ、朝から右腕の動きがおかしい。

 やってくれたなキーリ……って!?


「なんで裸ーっ!?」


「ふぁ? あぁん、主様おはようございますやぁー。んーっ」


 私のツッコミに起きたらしいキーリ。何故かキス顔を見せて来る。

 やると思うのかお馬鹿っ。額にチョップで黙らせる。


「で、何してんの?」


「やぁん、主はんったらぁ、昨日はあんな激しかったく・せ・に」


 いやん。じゃないんだよ、毎度毎度手を変え品変え私に抱かれた風を装うの止めてくれません? 風評被害で訴えるんだよ。というか、わざわざ同じベッドで寝るの許してあげてるのにそういうことするならまた別の部屋に放り出すよ?


「はー、ウチはいつでもおっけーやぁ。ゆうてるんに、なぁんで襲ってくれんのー。そら欲求不満を訴えるくらいやってもええやろー」


 ああ、そういうの訴えてたんだ。


「私はノーマルです」


「またまたぁ。主はんってばシャイなんやからぁ」


「はぁ、分かった分かった。はい、手」


「ん? なんな……はぁぁんっ!?」


 手を握った瞬間ありったけの魔力注ぎ込んでやったんだよ。

 なんで恍惚の顔で悶えてんですかね? そういうことは全くやってないんだよ?

 キーリが危ない顔で痙攣し始めたので、放置して起き上がる。

 私がベッドから起き上がった瞬間、ドアがノックされた。


「失礼いたしますお嬢様」


「リオネッタ。いつも通り顔を洗ってくるからキーリに服着せておいて。雑に扱っていいんだよ」


「かしこまりました。えっと、昨夜はお楽しみでしたね?」


「誰から習ったのかはあえて聞かないけど、次同じ事言ったらキーリ嗾けるからね」


「あ、あたしってばノーマルっす!!」


「知ってるわよ。じゃ、キーリの事よろしく」


 リオネッタにキーリを任せて私は洗面所へと向かう。

 そんな私の真後ろにいつの間にかやって来るマリーヌ。

 最近リオネッタが居ない状態だと彼女が私の付き人みたいにずっと付いて来るんだよ。

 とりあえず城に向かうまでは大抵リオネッタかマリーヌに取り憑かれている。


「どうぞお嬢様」


 顔を洗うと、絶妙なタイミングでタオルを手渡される。

 うん。これもまたよし。また腕をあげたな子供たち。


「しかし、凄いですねお嬢様。子供たちがこれを作ったんですよね?」


「フェイスタオル、売れ行きはどうかしら?」


「大好評です。正直また人手が足らなくなってきたくらいには」


「そ、そう。新人は?」


「難航しているようですね。作成するものが作成するものですから余り余計なメンバーを入れるとそれこそが新たな火種になりかねませんから」


「ふーむ。大盛況になるのも考えものね。まぁ、方法はあるっちゃあるんだけど」


「あるのですか?」


「ええ、生産所と売り場を完全に分けるのよ。つまりチェーン店化ね」


「はぁ……ちぇーん? てん?」


「その辺りはクラムサージュと相談かなぁ。まぁ今日は皆頑張ったってことで兵士の方も休暇にしといたから、丁度良いかな。今日の予定はプライダル商店でその辺りの話し合いしましょうか」


「かしこまりました。ですが、本日ですとミリアという方と出会ってしまう可能性、ありますけどいいのでしょうか?」


 うぐっ、それはちょっと御免なんだよ。出来れば学園でも会いたくないくらいなんだよ。


「ま、まぁその辺りはできるだけ隠れてやり過ごすってことで……何してんの?」


 部屋に戻って来ると、ロリータファッションに身を包んだキーリが凄く困惑した顔をしていらっしゃった。


「あー、そのすまないっす。奥様から今日はコレ着せて客寄せさせてと言われておりまして」


 お母様何してんのさ!?


「まさか私の分まであったりしないわよね?」


「お嬢様がプライダル商店に顔を出すかどうかは決まっておりませんでしたから、ないです。残念ですか?」


「むしろグッジョブ。キーリ、ガンバ」


「主はーん……」


「大丈夫、似合ってるわよ。ええ。ぷくく。似合ってるわよ」


「だったらなんで笑っとんのぉ!?」


「はいはい、今日は一緒に行ったげるから落ち付きなさい」


 キーリを宥めて朝食へと向かう。

 最近、自分の運動しなくなっちゃったなぁ。

 忙しいせいもあるけど、レベルが上がり過ぎたせいで何もしなくても体が軽いのだ。どうやらこの世界、運動しなくてもレベルが上がれば全身の魅力度や健康度が相応に強化されるらしい。

 つまり、私はもう運動やシェイプアップなんてしなくていいんだよ、ふふん。最高の美貌が手に入ったのよ。羨ましいでしょう。


「ひぃっ!? お、お嬢様無礼を承知で申し上げますがその表情はさすがにおやめ下さい」


 うぅ、綺麗なんだよ。私、綺麗な筈なんだよ。顔スペックは高い筈だし。

 なんで笑顔が悪人面になっちゃうのっ!? レベルが上がったら顔面凶悪度も上がったらしくて今では悪意乗せた笑顔で低レベルな存在が泡吹いて気絶するくらいである。酷いな。

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― 新着の感想 ―
[一言] おおー久々の、ほのぼの回だぁー? リオネッタ…商会専属になってるとばかり…(存在を忘れていた マリーヌ?…(…探してきます( ̄▽ ̄;)
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