337話・ロゼッタ、皆会いたいって言ってたからご招待したんだよ1
訓練場で集会を開く。
と言っても貴族の知り合い集めただけの簡単な立食形式の茶会である。
だって皆から最近会えてないから会いたいって何度も家に手紙届いてたんだよ。
でも商業してたり、兵士鍛えてたりで忙しかったのでなかなか会えず。茶会開こうにもそんな余裕な時間がなかったのでいままでは何も出来なかった。
今日は兵士達を昨日の内にお山に捨てて来たので訓練場には私とキーリしか居ない。
ということで、折角なので数日前に皆に招待状送ってここで茶会を開くことにした。
誘ったのはメインメンバーであるフレデリカ・ピーターアーツ、ケリーア・スライフ、ユルゲン・テリテュリー、ギリード・ヒュケインに加え、エレイン・ヒールロッド。
んで、他にも茶会を開いているので来て下さいましとか、いろいろお誘いされていた御令嬢を何名か、男性からもお誘いがあったのでそちらも何名か。
陛下に茶会開いていいか聞いてみたら物凄く笑顔で訓練しないならよし。とよく分からないオッケーを貰ったので遠慮なく開くんだけど、その時にエリオット王子が私も参加していいかい? と強制参加してきたので何とも困った。目付け役として宰相さんの息子さんまで参加することになったし。リオネル様も参加したそうにしてたから誘っておいた。
エリオット王子がリオネル様に自分の仕事を回そうとしたら打ち捨てられた子犬みたいな眼で私とエリオット王子に訴えてきたからね。あのぷるぷる具合はもう、二人してひしっとリオネル様抱きしめて思い切り撫でまわしたくらいである。リオネル様可愛いっ。
「ごきげんよう。デリーラ・ガラルドと申します。今日はお誘いいただきありがとう存じますわ」
「こちらこそ。何度もお誘いいただいたのにお伺い出来ず申し訳ない事を致しました。何分忙しい身でしたので、まとまった余裕がありませんでしたの。今日はなんとかこうして場と自由時間を得ることができましたので、せっかくでしたらお誘いいただいていた皆様に謝罪を込めてお茶会を開ければ、と思いましたのよ」
「まぁ、そうでしたの? てっきり私のような下位爵のお茶会には出たくないのかと思っておりましたわ」
初っ端の自己紹介から毒を飛ばしまくって来るこの御令嬢はヤンデレ令嬢デリーラ。
クラスメイトになるビル・マークレンの婚約者になる御令嬢である。
ビル君は物凄く人懐っこくて話しやすいんだけど、そのせいでこのヤンデレさんがあの雌豚ァと嫉妬に嫉妬重ねてヤンデレーラしちゃうんでこの人と友人に成ったとしても絶対にビル君には近づかないようにしないと命の保証が出来ない危険人物である。
知り合いたくはないのだけど、さすがに何度も呼ばれていた手前、誘わない訳にはいかなかったのだ。
「本当に申し訳ありませんわ。お茶会のお誘いがあった頃には冒険者として冒険をしていたところでしたの、そちらが面白くてついつい夢中になっていたら随分と返事をしてない方々が増えてしまって。慌てて返事を書こうとした頃には商店が立ち上がってしまいそちらに忙殺されてしまいましたのよ」
「それ、全部自分が……まあ、そうでしたの、いろいろとお忙しいのね」
「ええ。今は陛下の命で兵士達の総司令官として訓練をしてますの。今日は皆遠征訓練中ですので、どうせ使わない訓練場ならお茶会の場にいいのではとこうしてお誘いさせていただきましたの」
「そう、こんな殺風景……失礼。随分と周囲が見えやすくて素敵な広場ですわね」
「王城の中ですもの、とても高貴な場所でございましょう?」
ぴくぴくっと互いのコメカミさんが脈動してる気がする。
やっぱり私、廻りくどい貴族の会話って苦手なんだよ。
「うふふふふ」
「おほほほほ」
「何やってんだロゼッタ嬢は?」
「ああ、アレは新しい友人開拓というか、今まで返事できなかったり茶会に出られなかった令嬢たちの挨拶受けてるらしい」
少し離れた場所ではリオネル様、ユルゲン、ギリードが集まって談笑している。
私もそっちに混ざりたい。
デリーラが去っていくと、他の貴族令嬢がやって来て軽く挨拶。たまに嫌味も言われるが必要経費として受け止める。経費だよ。これは返事できてなかったから本来は慰謝料モノなんだけど、嫌味言われるだけで払わず済むなら安いんだよ。
「ごきげんよう。パラミツィア・ロンデブールと申します。今日はお誘いいただきありがとう存じますわ」
また来た、攻略対象のお邪魔虫キャラ。
学園編で副委員長になる眼鏡キャラだ。
私は挨拶して、先程まで何度も繰り返した言い訳を繰り返す。
一人一人私の言葉に返答が違うのが凄い。
皮肉8割、称賛2割といったところか。
プライダル商会渾身のデザートとか用意したからここで胃袋は掴めるだろう。
そうすれば女性陣との横のつながりが出来る。
前回はこれを作った先から寿退社されて満足な関係作りに惨敗したのだけど、この世界ならむしろ問題はない。
存分に友達作るんだよ。学園に向けて!!