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324話・ロゼッタ、マッチョが群れで攻めてきた

「まー、それはそれとして、今日は俺らも秘策用意したんっす。レイド戦覚悟してくださいよ!」


「まぁ、言うじゃないガレフ。そうね。気を取り直して訓練しましょうか」


 うぅ、バレなければいいじゃない、って訳じゃないのよロゼッタ。

 侯爵令嬢が伯爵家侵入ってさすがに大問題なんだから。

 なんであんな事しちゃったんだろう?

 聞いた話じゃあの息子さん、全身大火傷しちゃったみたいだし。


 それからも、うじうじと考え事をしていたら、いつの間にか昼になっていた。

 基本既にやることは落とし込んでいるので私が指示出しをする必要はなかったのが救いだろうか?

 皆も多少違和感があったようだけど状況を察しているので何も言わずに訓練を行ってくれていた。


 昼になり、父様と共に一度家に帰る。

 昼食だけは父様が頑なに自宅で取ると言い張っているので、ここだけは絶対に変わらない家族水入らずの食事である。

 今では皆の報告会みたいになってるけどね。お母様は商会の方で何があったか話して来るし、お父様は城であった機密情報などを報告して来る。

 お父様、それ、私に言っちゃっていい話じゃないんだよ?


 お母様に、商店に居るメンバーに会議を開く旨を伝えて貰う。

 会議というか、私の状況を相談したいので。一応リオネル様も誘ってみようかな。

 リオネル様にも関係ある事だろうし。

 うぅ、やらかしちゃったなぁ。


 食事を終えて午後の訓練。

 訓練自体は今まで通り、指示する必要もないので訓練する姿をただ眺めていればいいだけだ。

 にしても、ホントに教会行って懺悔して来るべきかしら?

 正直自分的には普通に過ごしてたつもりだったんだけど、なんか悪事に手を染めてたと後から気付いちゃった感じなんだよ。どうしようキーリ!?


「いや、今までやらかしまくっとって今更ちゃうん? まー、一応、ついさっきリオネルはんにも伝えておいたから今日の訓練後に商店一緒に行くことになったけども、や。主はんやって人間なんやろ、悪いことくらい多少するやろ」


 いや、しちゃダメなんだって。


「まー、ぐじぐじせずにウチを奴隷にした時みたいにふんぞり返って私のやることが正当だって態度でええんと違う?」


 しまった、こやつ邪神だった。邪悪な存在に悪行悪いよねって言っても肯定なんかするわけがなかったんだ。相談するべき相手じゃないよ。人選ミスなんだよ!?


「お嬢ー、そろそろレイド戦おなしゃーっす」


「うぇ!? もうそんな時間!?」


 し、仕方ない。今は気持を入れ替えよう。

 私は猛将、私は猛将。よし、ゾーン入っ……は?


「ふん!」

「むん!!」

「せいっ!!」


 私が猛将モードに思考を切り替え、戦闘を始めようとした瞬間だった。

 兵士全員が何故か武装を解除していた。

 さらに上半身の服を脱ぎ去りふんぬっと力を入れて筋肉を強調させる。

 いや、なんで?


「行くぜ野郎共ッ!!」


 そして魔法で浮き上がり、空中を地面すれすれ、滑るように迫り来る。

 84名のマッチョと細マッチョがポージングっしたまま汗塗れでテッカテカになった体を見せつけながら、笑顔で……


乱気流之逆落エンゼルフォールテンペスト!」


「「「ぎぃやあああああああああああああああああああああ――――っ!!?」」」


 あ、しまった。

 思わず力んで魔法放っちゃった。

 空高く吹き飛ばされた男達が有無を言わさぬ重圧により一気に地面に高速落下。


 慌てて空気の層で柔らかく包み込むことで速度を和らげたので問題無かったが、あのままだったら全員墜落死してたかも。

 いや、なんか御免、想定外にキモかったからつい。


「し、死ぬ、死ぬかと思った」


「だから言っただろうが馬鹿ガレフッ! お嬢に通じる訳がねぇーって」


「お嬢が怒りに我忘れてたら死んでたぞ俺らっ。何今の攻撃!?」


「あかんやつじゃねーか! 馬鹿か!! 普通に想定できただろが!!」


「テメーらだってやってみようぜっつっただろぉ!!」


 地面に落下して来た男達は口々に罵り合いながらガレフに殺到していく。

 なぜか乱闘が始まった。

 うん、お馬鹿の群れだったんだよ。


 一応、私の事慰めようとか笑わそうとか思っての行動だったのかもしれないけど、さすがにちょっと引いたんだよ。

 私が魔法ミスったらどうするつもりだったんだ。

 これはちょっと洒落じゃすまないのでバツを与えないと駄目だと思うんだよ。でも今の私だと悪役令嬢ロゼッタに引っ張られてあくどいこと言っちゃう気がするんだよなぁ。


「どっせぇい」


 力自慢が誰かを持ち上げ投げる。

 それは傍で見ていた私の元へ。

 汗まみれの巨大な男が放物線描いて迫り来る。

 そして、物理無効化結界に弾かれ地面に落下した。

 ぷちりと堪忍袋の緒が切れた音がした。


「よし、分かった。……全員そこに座れ」


 笑顔で親指立てて、下へと向ける。

 押し殺した私の声に、皆が一瞬で戦闘を止めて地面に座り込んだ。


「うん。分かるんだよ。私を落ち込ませないよう元気づけようとしてくれてるの、私もちょっと自分がやらかしたことは認めるんで強く言えないよ? でもね……これはナイ。というわけで、連帯責任か発起人、好きな方選びなさい」


「お、俺が発案しましたっ」


 言うが早いか立ち上がったのはガレフ。


「潔し! ガレフ、今回の罰として町壁外周10周!! 自分の剣は必ず持って行きなさい」


「げぇ!? 今からっすか!?」


「ええ、今からよ」


「うぅ、サー、イエッサー!」


 そしてガレフが去っていく。随分素直に行ったなぁ、街の壁外周とか一周だけでも六時間くらい掛かりそうなんだよ? さすがに冗談だって……思わないんだろうなぁ。やり過ぎた。うん、やっぱり最近悪役令嬢化してるんだよ私。なんとか抑えないと……でもなんで……? いや、待てよ。そもそも悪役令嬢ロゼッタが出てきだしたのって……ヒロインちゃん見掛けたあたりからだったような……そういう、ことなのかしら?

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