表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
287/1848

284話・ロゼッタ、これもいわゆる漁夫の利?

「ガイウス、お前には失望したぞ。正面からエリオットとかち合い切磋琢磨してくれると期待しておったというのに、あの手この手で味方にすべき者たちを暗殺して行くなど。リオネルにマルチーナ。ともにお前が殺そうと画策した者たちだ。他にも……いや、皆までは言うまい。そなたの悪事は既に我の知るところとなった。後は、分かるな?」


「父……上……」


「ガイウスよ、第二王子の身でありながら長兄の婚約者暗殺を画策し、また弟の暗殺までをも実行した悪逆の息子よ! 貴様の王位継承権を……」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」


 陛下の言葉の途中で、叫んだガイウス。

 もはやこれまで、とばかりに隠していたナイフを引き抜き走りだす。

 メイドさんの後ろに待機していた兵士達が慌ててガイウス王子を確保しようと走りだすが、遠すぎる。


 陛下の護衛である近衛兵が行く手を阻む。

 しかしワンテンポ遅れたせいで体勢が整ってないままだったせいで剣すら抜けてない。

 ガイウス王子はタックルで彼らを倒し、道を確保。

 父親向けて、ナイフを構えて突進した。


 キュイン


「……は?」


 そして、陛下に攻撃を与える寸前、私が事前に張ってた物理攻撃無効化結界によって阻まれる。

 えーっと、その、こうなるんじゃないかなーって思って事前に張っときました。

 まさか本当に起こるとは思ってなかったんだよ?


「なんと、これは一体……いや、何をしている! 逆賊ガイウスを捕らえよ!!」


 うわーお、逆賊にされちゃった!?

 近衛兵と影さんが動いてあっちゅー間にガイウス王子を捕縛する。

 手際良すぎじゃない?


 多分、始まる前から最終的な流れは出来あがってたようだ。

 まるで寸劇見せられてるかのように、影達がガイウス王子を無力化していった。

 近衛兵はもうちょっと頑張ろうか、今のタイミングだったら私の結界無かったら国王陛下刺されてたんだよ?


「さて、ガイウス、もはや今の一撃はなかったことには出来んぞ?」


「クソッ、こんな、俺は、俺は王になる男だぞッ! ふざけるなッ! 俺の覇道をよくも、よくも邪魔しやがってぇ! ベルングシュタットォォォッ!!」


 って私かい!?

 いやま、確かに王様を守ったのは私だけども、それ以外はほぼ王様とエリオット王子が画策したっぽいんだよ?

 たぶん、私がリオネル様助けたことで未来が変わっちゃったんだろう。うんうん、この未来ならガイウス王子は王位継承権無くしてるし、エリオット王子の婚約者はマルチーナさんのままだし、私の婚約者はリオネル様のままである。

 これは私、運命に勝った!?


 いや、いやいやいや、まだだ。あのゲームの内容が多少変わったとはいえ、まだ手を抜けない場所はいくつか残ってる。

 そもそも7年後のことなんだから、まだ来てもないのに安心しきるのは愚策なんだよ。

 できることは全て手を打っとかないと断罪喰らってから焦っても意味が無いんだよ。

 よし、まだまだ頑張るぞ!!


「ガイウスよ、貴様の王位継承権は今を以て剥奪とする」


「馬鹿な!?」


「ならびに、幽閉の塔への収監を命じる。己が野心の行きつく先をゆるりと見つめるがいい」


 確か、ゲームでも幽閉されるんだっけガイウス王子。

 まぁ、そこは自業自得ってことで。幽閉された後は何の情報もなかったし、そのまま過ごしたか死んだか……たまには会いに行ってあげようか? いや、私が行ったら発狂しそうなくらい憎まれてるっぽいし止めとこう。

 おかしいな、なんでこんなに憎悪を向けられてるんだろう?

 私、そんな酷い事した覚えはないんだよ?


 ガイウス王子が罵声叫びながら兵士に連れて行かれるのを見届け、陛下は私に視線を向ける。


「どうやら、先程の一撃を防いだのはそなたらしいな」


「え? あ、はい。物理攻撃無効化結界を張らせていただきました。ないとは思ったのですが、激昂したガイウス王子が陛下に攻撃されるかもと思いまして、御迷惑でしたか?」


「いや、むしろ助かった。近衛兵たちはガイウスが武器を隠し持っていたとは思ってもいなかったらしくてな。驚いている間に懐に潜られたわ。危うく刺されるところであった」


「お怪我が無くて何よりですわ」


「うむ。それで、だな、マルチーナの毒殺を未然に防いだこと、リオネルの暗殺を未遂に終えた事、ガイウスを追い詰める一助を担った事実はしっかりと我が目で確認した。ゆえに、そなたに褒美を取らす」


「えぅ!?」


「しかし、さて、何を褒美とするべきか、金品などリオネルの婚約者となるそなたには必要無いとも思えるし、領地などいるまい? それとも父親のために新たな領土を広げるか? そうだな、まずはそなたの意見を聞こうか。何か、欲しいモノはあるか?」


「え? え? あー……それでは――――」


 唐突な御褒美に戸惑った私は、回らない頭で必死に考えそして、ソレを所望していた。

 後から考えると、もっといいモノ貰っちゃえば良かったのでは? こんな苦労背負い込む必要無かったんじゃ? なんて思うけど、それでも……まぁ貰ってしまった以上は気合入れて頑張りますか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ロゼッタ嬢、今回の件もお疲れ様なんだよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ