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278話・ロゼッタ、逃さないんだよ?

 メイド達には知らせてなかったので、ガイウスが毒を入れようと子飼いのメイド紛れ込ませたら逆に目立ちまくってしまったようだ。

 これ、私が何かしらする必要、なかったのでは?

 全て国王陛下の掌の上だった気がする。

 あ、でもその場合はマルチーナさん死んでたのか?


「ガイウス、どういうことだ?」


「ち、違う、俺は関係ないっ! ろ、ロゼッタ・ベルングシュタット! どういうことだ!!?」


「いや、私に聞かれても困るんだよ。あ、でもそうですね。私としては配膳中紛れ込んでいたというメイドの召喚を求めたく存じますわ。ガイウス王子付きのメイドですもの、ガイウス王子も身の潔白を証明するために、呼んでくださいますわよね?」


「なっ、いや、俺は……」


「まさかとは、まさかとは思いますが、兄上であるエリオット王子の婚約者を亡き者にしようとしたメイドを庇い立て、いえ、そもそも暗殺命令などなさってはおられないとは思いますが、なぜメイドがこのような暴挙をおこなったかは陛下の前でつまびらかにしておくべきではございませんか?」


「ぐ、あ、当たり前……だ。呼んで、こい」


「ではそこのメイドさん。顔を知っているようですし、呼んできてくださいませ。あ、副メイド長かメイド長も一緒に行ってくださいな。まさか逃げるとは思いませんけど、上の方がいらっしゃたほうが大人しく同行くださいますかと思いますので」


「かしこまりました。では私が」


 怒り満面のまま、副メイド長がメイドさんと一緒に去って行く。

 涙目のメイドさんはまだ不幸が続くようだ。可哀想に。

 でも、王族に毒を盛ったという汚名を被せられることはなくなったんだからそこは安心していいんだよ。

 あ、マルチーナさんはまだ王族じゃないか。じゃあ貴族暗殺未遂で件のメイドさんは斬首は免れそうだぞ。


 んで、凄く青い顔で震えてる金髪メイドがやってきた。

 部屋に入ると同時に兵士が二人近寄って来てメイドさんの背後に陣取る。

 ウチのリオネッタみたいな蓮っ葉な感じだし、多分切り捨てられるメイドとしてお手付きにしたんだろうな。

 ガイウス王子さいてーです。


「では、簡易ながら断罪裁判を始めますわ」


「なっ!?」


 青い顔のメイドさん、私の言葉に思わず顔を上げる。

 想定外だったようだ。


「ま、待ってよ、わ、私が何したってのよ!?」


 いや、メイドさん、口調口調。今目の前に居るの王族ですよ?

 しかも私も一応侯爵令嬢だから口調何とかしといたほうがいいんだよ。

 口調と言えば料理長は……うん、もう諦めた。


「では、まず最初に、簡単な質問です。貴女はマルチーナ様に毒を盛りましたか?」


「っ!? し、知らない。知らないわ」


 思わず叫びながら前に乗りだしそうになったので、後ろに控えていた兵士二人が彼女の腕を掴んで拘束。

 そこでようやく兵士がいる事に気付いた彼女は唖然と兵士を見た後、私に絶望的な目を向ける。


「では次の質問です。なぜ厨房をうろついていたのですか?」


「そ、そんな所、い、行ってな「行ってないは通じません。そちらのメイドが貴女がいる事を確認していますわ」なっ!?」


 慌てて泣き顔のメイドさんに視線を向ける金髪メイド。憎しみの目を一瞬だけ見せるけどお門違いも甚だしいんだよ?

 

「う、嘘よ、私がいたなんて、大かたそこのメイドが毒を盛ったんでしょ!」


「あら、何故そう思うの?」


「何故って、だってソイツがデザートをマルチーナ様に持って行ったのよ!」


 あー、やっちまったなぁ。

 自爆御苦労さまなんだよ。

 皆は気付いてないみたいだけど、今の発言、OLでお局様やってた寛子さんは見逃してはくれないんだよ。


「まぁまぁ。わたくし、毒をマルチーナ様に盛った誰かがいるとは言いましたが、そちらのメイドさんがマルチーナ様に毒物入りのデザートを持って行ったなど言っておりませんのよ? 貴女、一体どこでそのことを知りまして?」


 私の言葉にあっと気付いた金髪メイド。

 一気に顔が土気色になって行く。

 良く居るんだよ。親が死んだので今日は休みますとか、お婆さんの葬式(8回目)で早退しますとか見え透いた嘘で早退しようとするOL。そういう奴の嘘は分かりやすいから向こうが自爆するように理詰めで尋ねて致命的な台詞を吐かせるのが効果的なんだよ。基本全部隠れて付き合ってた彼氏とのデートで仕事ブッチなんだよ、一度副社長と付き合ってるのがいて大問題になったけど。まぁ、それでも普通に休んだり早退するんだけどね。あいつら肝ッ玉だけは大きいんだよ。


「ち、違、わ、私はっ、た、たすけ……」


 思わず見たのはガイウス王子。

 しかし、彼は彼女を見る気もないようで視線を外している。

 うん、不自然過ぎるんだよ。


「さてさて、一応、言っておくんだよ? 貴女に残された道は二つだけ。素直に罪を認めるか、最後まで抗うか、さぁ、どうする?」


「が、ガイウス様、わ、私、私は……」


「まさか我が兄上の婚約者を毒殺しようとするとはな。残念だ……兵士たち、罪人をさっさと引っ立ててくれ」


「なっ!?」


 唖然とするメイドさんを無理矢理引っ張って行く兵士二人。

 ふむ。本来ならこれで終わっちゃうんだけど、ここには私がいちゃうんだよ。

 だから……逃しませんわよガイウス王子?

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― 新着の感想 ―
[一言] 王子とはいえども、トカゲの尻尾切りをロゼッタ嬢は許さないんだよ。
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