271話・ロゼッタ、新人さん研修会
数日後。今回集めた新人さんがプライダル商会の会議室に集合していた。
今日はここで研修会を行うんだよ。
一応、シゼル以外にも何人かお声掛けさせて貰った。
殆ど商業ギルドからの紹介だけどね。
学校の教室を思わせる机並びに一人ずつ座って貰い、合計六名の新人さん達に研修を行う。
教師は私とクラムサージュ、そしてボーエン先生だ。
「ではでは、まずは自己紹介をお願いするんだよ」
「はい、えっと、猫獣人族のシゼルです。えっと、よろしくお願いします」
まずはラブコール送って私自ら勧誘させて貰ったシゼル。
猫の獣人で顔も猫寄り。簡単に言えば人型大に進化した猫だ。
もっふもっふで可愛らしい。ああもう、もふもふしたいっ。
「あ、あぅぅ、しゅ、シュプレシア、です。ひ、ひひ人前で話すの苦手なので、そそそそのすいませんよろしくお願いします」
シュプレシアは水鎮祭にも出てた女の子だ。
暗殺特化のスキル構成だったので目を付けてたんだけど、暗殺ギルドの紳士さんも眼を付けて勧誘始めてたからちょっと焦った。シュプレシア自身が彼に怯えて私の方に転がりこんで来てくれたので対立的なことは起こらなかったけど、危ない所だったよ。
「アルタールです。商業ギルドから紹介されてきました。噂のプライダル商店で働けるとあって気合は十分です」
気合だけでも困るんだよ?
ちなみに、この人はどっかの商会のスパイさんだ。
スパイさんだけど、結構使える人なのでとりあえずレジ打ちお願いしようと思う。
さすがに機密事項には触れさせないんだよ。
といっても機密事項ってルインクさんに教えてるレシピくらい?
よっぽど目に余るようならさよならするんだよ。
一応、他の店舗が警戒してるみたいだから偵察させて安心させることにしたんだよ。
他の店舗情報は紳士さんから提供されてるからこっちからスパイ送る必要無いし。
最悪、潰せる情報はいろいろ集まってるから問題ないんだよ。
「私もギルドの紹介で来ました。ペルテシアです」
んで、ペルテシアさんは商業ギルドの職員さんだ。スパイなアルタールとかその他もろもろが無茶な事しないように、あと私の目付け役、兼緊急の商業ギルド案件があった時の報告と黙認役として勤務することになった。
ギルド長がどうしてもって頭下げて来たから仕方なく雇うんだよ。
主に仕入れを担当して貰おう。商業ギルドに行ったり来たりするから丁度良いんだよ。
「あー。その、シオンだ。商業関連は俺にゃ良く分からんが、用心棒みたいなもんだと思ってくれ」
シオン君も正式に社員になった。
強いていうなら生活資金が底付いたから助けてくれって泣き付かれたから雇ってあげたんだよ。
強くなり過ぎたせいで日常生活送るのも一苦労で宿屋のベッド粉砕した賠償金で借金まみれになったらしい。うん、なんか、ごめんね?
次の日にはちゃんと手加減覚えさせたから問題なくなったけどね。
あとストイさんは普通に手加減覚えてから帰したから御家族に迷惑は掛からなかったんだよ。
「あ、俺の番っすか。トートルっす。職員募集見っけたんでギルドで面接受けました」
一応、背景調べたけど、問題はなく、悪行にも手を染めてなかったのでそのまま採用した、正真正銘の新人君である。
正規手続きで面接を潜り抜けて来たので即戦力の青年だ。ちょっと雰囲気が下っ端感ひしひし出てるけど、手際はいいので問題はないだろう。多分。
あと、何故かゼルディス王子が職員募集の面接に来てたので笑顔で落としておいた。
なんで隣国の王子が働きに来てんだよ、意味不明なんだよ。というかメイドどうした。あいつのバッドエンドルート多過ぎなんだよ。
なんでちょっと隙見せただけで首狩ってくるんだよ。おかしいでしょ。
まぁ、ゲーム世界のことだけども、こっちの世界でやらかされたら即死案件なんだよ。危ない人だな。
「ではでは、プライダル商店のお仕事をして貰うために、研修を始めるよー。と言っても言うことは殆どないけどね。簡単な作業ばっかりだから」
と、言ってる間にクラムサージュが教壇後のボードに文字を書いて行く。
黒板じゃ無くホワイトボードだし、文字も魔法の水性インクという両方クラムサージュが錬金術で作りだした物だったりする。
あの大釜からホワイトボードがでてくる時は四次元ポ○ットか何かかな? と唖然としたものだ。
「やって貰いたい作業は呼び込み、接客、レジ打ち、品出しがメインなんだよ。ペルテシアにはこれに加えて商業ギルドからの仕入れを、シオン君は接客関連は無しで荒事要員になるからね。とりあえず研修中は一通りのことを体験して貰って、得意分野の把握。後々就職場所を決めさせてもらいます」
実は意外な人が意外な場所で輝くってこともあるからとりあえず全部やらせてみてから判断するんだよ。あ、でもアルタールだけはスパイさんだからレジ打ちだけね。他の体験はやらせないんだよ。他の人の体験聞くだけなら、まぁいいか。又聞き程怪しい情報はないんだよ。