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265話・ロゼッタ、社員サービス、山へ行こうよ

「ねー、お嬢ー」


 ダイニングテーブルにぐでぇっと上半身を倒置したクラムサージュがけだるげに告げる。

 幾ら暑いからってその態度はどうかと思うよ。

 ルインクさんが厨房から顔見せた際、うわぁっとジト目になってたんだよ。


「はいはい、なんですかー。私はこれから夏の運動祭について会議行かなきゃなんだけど」


「夏が、来たのよ」


「うん、来たね?」


「夏が、来るのよっ!」


「うんうん、だから?」


「あー、もう。だからさーっ、遊びに行こうよー、皆で、海とかー、山とかー。夏にしか出来ないひと夏のアバンチュール行っちゃおうよー」


「で? その心は?」


「……練金、飽きた」


 でちゃったよ本音。

 どうやら錬金術に飽きてどっか遊びに行きたくなったようだ。そりゃゲームならともかく現実だもんね。

 まぁ、水鎮祭も主催者側だったし、クラムサージュに関しては、ここに来てからほぼ毎日練金釜と向き合ってる。


 最近は冷房アイテムの御蔭で涼しいけど、汗水垂らしながらあっつい練金釜かき混ぜてるの見ると、私錬金術師じゃなくてよかったって心底思う。

 こんな暑い日にまで釜をかき混ぜたりしたくもないし。


 まぁ、そんな感じで、クラムサージュ的にエルフレッドさんとのデートだけではストレスを発散仕切れなくなったようだ。

 ふむ。夏のアバンチュールねぇ。

 皆お仕事頑張ってくれてるし、これも社員サービスと思えば、充分やってみても問題はなさそうな事柄か。


 そうだなー。鍛冶屋のおっちゃんに頼んでバーベキュー用品揃えておくか。

 あとは食糧の買い出しとー、予定を皆に伝えて都合の悪い日だと変更しなきゃだよね。

 天候に付いても調べときたいな。

 折角の日に雨だったりしたら目も当てられない。


 肉関連は現地調達にしようかな? 一応最初のちょっと分だけは持ってくか。

 あ、そうだ。どうせなら安全に行きたいからどっかの守護者の山にお邪魔しよう。

 鹿さんの山とかどうだろう?

 キーリに伝えて貰っちゃおっと。


「でねー、実はー、海の幸の中に錬金術ですっごいのが……」


「よし、山にキャンプしちゃうんだよ!」


「あれ……? あの、え? あれ?」


「キャンプ用品作らなきゃ。あとキーリに告げて鹿さんの山で魔物に襲われないようにしとけば子供たちと一緒でも安全だよね! ね?」


「え? あ、うん。そう、ですね?」


「そうと決まれば行動開始なんだよっ!!」


「あれ? おかしいな。海……あれ?」


 何か小声で小首傾げてるけど聞こえないんだよ。

 そもそもライオネル王国が内陸なのに、海なんてどうやって行くんだって話だし、遠い土地まで移動となれば何日かかることやら。


 でも近所の山に登ってキャンプなら日帰りだってできるんだよ。

 テントが作れなかったら諦めるけどせっかくなら一日くらいはキャンプ生活も悪くないんだよ。まあ、さすがに子供たちにいきなりキャンプで一泊しよう、はキツイだろうから、日帰り確定だね。

 小川くらいは流れてるだろうから川遊びもできるだろうし、虫避けさえ何とか出来ればリフレッシュには最適なんだよ。


 海に行きたいなら長期出張を覚悟して一人で行って来て貰おう。

 エルフレッドさんだってきっと待っててくれるさ。

 好感度下がるかどうかは知らないけど。


「うぅ、海ぃ~」


 ふっ、敗残兵が吠えよるわ。


 さって、それじゃあ早速外出だ。

 鍛冶屋に向かってキャンプ用品一式をオーダーメイド。

 俺は便利屋じゃねーんだが? と店主のおっちゃんが呆れてたけど、頼りにしてるんだから許して欲しいんだよ。


 それから商業ギルドに向かって休店要請をしておく。

 これを行うと、商業ギルドから歴戦メンバーがやって来て休みの間店を切り盛りしてくれるのである。

 急な用事で店を開ける時などはこれを行うと自分がいなくても店が回るようになる。

 今回は全店員が一斉休暇なのでギルド長に直談判だ。

 日付は後々告げるが、先に主要メンバーを開けておいてもらわないといけないから事前連絡必須なのである。


 商業ギルドでの話が終わると、そのまま運動祭の話になった。

 そういえばもともとそのつもりで商業ギルドに来るつもりだったんだよ。忘れていたぜぃ。てへぺろ。

 といっても、今回の運動祭はプライダル商会がやることは全く無い。

 ただ広場で町民が運動するので屋台をするくらいだろうけど、ウチは今回屋台はやらないので何の下準備も必要無い。 


 参加したい子だけ運動祭に参加すればいいことにしといた。

 私としても今回の運動祭は参加しない方向で行くんだよ。

 だってS級冒険者として目立っちゃったから、ここで参加しちゃうとイベント総舐めしないと町民が納得しないらしいんだよ。


 面倒だからブッチしちゃうのである。

 だって、私、悪役令嬢ですから。おーっほっほっほっほ。

 他人の期待なんてガン無視しちゃうんだよ。

 あ、今回は秘密結社風じゃなくて王様と大臣風なのか。良いのかそんなのやっちゃって。不敬罪で処罰されても知らないんだよ?

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