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247話・ロゼッタ、なんか街中の有名人にされたので引き籠るんだよ

「お嬢、なんかまたお嬢と顔繋ぎしたいって一団来てますよ」


 レコール君が呆れた顔で告げる。

 うん、放置でいいんだよ。

 追い返せ、としっかり伝えて私は書斎での仕事に戻る。


 はぁ、なんでこうなった?

 武闘大会に見学に行ったらなぜかS級冒険者として超有名人になりましたロゼッタです。

 なんかここに来るまでの間に凄い噂話が繰り広げられてたし、馬車から降りて店に入るまでの間に物凄い人に囲まれた。


 民間も貴族も関係なく、とにかく私と顔見知りになりたいとか、息子の嫁に来ないかとか。いや、お前ら、私の婚約者知らんのかい!?

 この件は速攻でお父様に伝えて国王陛下にお伝えして貰う事にした。

 きっとすぐにリオネル様が血相変えで怒鳴り込んで来るだろう。ロゼッタは私のモノだーっとか、言われちゃったりしてっ、してっ! きゃはーん、女冥利に尽きますリオネル様ぁーっ。


「ちょっとお嬢、何変な顔して照れてんの」


 変な顔!? ちょ、いきなりやって来て何言ってんのクラムサージュ!?


「な、何か用?」


「あ、それそれ。なんか商業ギルドのお偉いさんがこの前提案書として出された水鎮祭の催しについて詰めたいから会議する場所と時間を決めたいらしいわよ。はいこれ、一応向こうからの提案書」


 と、羊皮紙を一枚持って来たクラムサージュ。

 受け取って見てみれば、どうやら冒険者ギルド、魔術ギルドを巻き込んで盛大にやろうってことになったらしい。なので合同会議開くから参加しなきゃならない。

 企画提案しちゃったし、行かざるをえないよねぇ。


 あ、そうだ。一応こういう企画を自分たちだけでも押し進められるようにレコール君とララーレ連れて行くか。

 えーっと場所と時間は、まぁこのままでいいか。

 んじゃクラムサージュ、これ、持って来た人に渡しておくれぃ。


「はいはい、ったく、なんで私が小間使いしなきゃならないのよ。そもそもあの大会で有名になり過ぎたせいで連日大盛況よ。今でも従業員足りなくなってんだけど、どーすんの?」


「そうだねー。浮浪児集めもこれ以上は闇組織さんが許してとか言って来たし、ここは孤児院の子、いや、正式なアルバイターでも探しますかね」


「バイト? んじゃー正社員じゃないの?」


「ええ。店の中の事は子供たちにやらせればいいから呼び込みとか、接客関係をやって貰おうかと。どんな子が来るにしても子供たちの接客を見たら手を抜こうなんて思わないでしょうし」


「なるほど、そもそも態度が悪いのは雇う時点で弾かれるか。まぁそれならいいんじゃない?」


「んじゃー水鎮祭の会議ついでにその辺りも商業ギルドにお願いして来るんだよ」


「あいよー。あ、それとさ、次の日曜、じゃなかった、四日後なんだけどさー、エルフレッドさんと二人で休み取るわね」


「なん、だと?」


 書類に落としていた視線を思わずあげる。

 少し照れたようなクラムサージュ。おい、まさか……ちゃっかり好感度上げてるのか!?


「つ、付き合ってるの!? 上手く行っちゃってるの!?」


「えーと、好感度的には30くらい? で、でもさ、ゲーム時代だとここまで上げるの半年以上必要なのよね、でもほら、今まだ三カ月くらいじゃない。これ、凄いことよね?」


 着実に、恋愛に発展しかけている!? 少なくとも二人でデート出来るまでは好感度が上がっているらしい。

 こやつ、やりおる!

 私もうかうかしてらんない。リオネル様とデートくらいしなくては。

 ああ、でも、今商店を休むといろいろ滞っちゃうし、なんかやりたい事一杯あるし。

 あああ、ど、どうしよう。どうしたらいいクラムサージュ!!


「え? どうしたら……って、どっち取るかなんじゃない。仕事メインならこのまま仕事してりゃいいし。私は恋愛取るから重要そうな事以外は見習い達に任せちゃったわよ。シラササの奴が結構飲み込み速いから簡単な調合任せれるし」


 シラササって確か能天気でチョウチョ追いかけてた子だよね?


「あの事件以来自分がまたとらわれた時にキリハだけでも助けられるように魔道具作って身を固めておきたいらしいわよ。錬金術にもいろいろアイテムあるから、釜一つあればいつでも調合可能なのが彼女には合ってたみたい」


 意外な才能だ。

 まぁ、そう言うことなら休んでも問題なく回りそうだ。

 最悪私が手伝えばいいわけだし。


 でも、それだったら早めの日に会議終わらせて、そのついでに助っ人さんを頼んどけば多少は楽になりそうかな。

 よし、その方針で行こう。

 クラムサージュ、さっきの書類だけど、ちょっと変更で。うん、日付を早めで提出するんだよ。

 私が自由に動ける方が二人とも安心してデート出来るでしょ?


「え? 応援してくれんの?」


「そりゃするでしょ。私だってクラムサージュは転生仲間だし? 幸せになってほしいのよ」


「うっ、なんて眩しいっ。純粋過ぎて恥ずかしくなってきたわ。無断でデート決めた件、後で必ず埋め合わせするから」


「あはは、期待はせずに待っておくんだよ」


「うん、じゃあ……あっ」


 ん? 今、何か気付いたようなリアクションしたんだよ?


「クラムサージュ?」


「あー、えっと、水鎮祭、六月よね? 確か最初の一年目、ゴブリンの襲撃で潰れたような……」


 さらっと重要な案件が暴露されたんだよ!?

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― 新着の感想 ―
[一言] ロゼッタ嬢ネバーマインドなんだよ。
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