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246話・ロゼッタ、優勝受け取り代行

「それでは、見事大会優勝を果たしたシオン選手、の代行でロゼッタ選手、前へ!」


 わーっと皆の声援が高らかに響く。

 会場をゆっくりと歩く。

 花というか紙? 吹雪舞い、ラッパか何かが高らかに鳴り響く。

 勝者への称賛の声が盛大に響き渡る。


 知ってる? これ、全部シオン君の代行してる私に向けられているんだゼ?

 いや、優勝商品受け取り代行ってなんだよその職業。

 称賛浴びる必要無いのになんで私が優勝者として称賛されてんだろ? オカシイナ?


「これが、優勝者に贈られる伝説の鎧となる」


 というか、これって確か優勝したら貰える鎧よね? なんでここで? もしかして毎年伝説の鎧手に入るの?

 それ、伝説じゃないよね?

 私は思わずクラムサージュを見る。

 クラムサージュはさっと顔を逸らした。


 あんにゃろー、観客席でエルフレッドさんの隣座われてるからって調子乗ってるな。

 あとでしっかりシメないとなんだよ。

 覚悟してねクラムサージュ♪

 あ、クラムサージュが謎の身震いに襲われてるんだよ。ざまぁ。


 私はあの一位とか二位とか三位とか競技大会とかでよく見かける台座の上に乗せられ、なんかいろいろ貰って行く。

 優勝者はメダル貰えるらしいよ。

 ついでに月桂冠っぽいサークレット貰えるらしいよ?

 さらに優勝盾もくれるかもよ。


 もういいって思ってるのに、優勝杯まで貰っちゃうかもよ。

 って、でっか!? おっも。

 いやいやいや、この状態で優勝賞品の道具持ってこられても!?

 装備? 無理無理、よく見て? 全部持っとくの今この時だけだって。

 一応代行なんだからこれ全部シオンくんのだからね。

 連覇してるからそっち系の数連覇記念杯とかも貰えるらしい。しかも全部純金とか純銀とかめっさ重い……まぁ私の腕力ならなんとか持てるけども。レベル600越えは伊達じゃないんだよ。


 と、とりあえず、落ち付け、ただ立ってるだけでいいんだし、代行だから。皆もそれはわかってるから。勘違いで私が称賛されてる訳じゃないから心苦しさもないはずだ。

 けど、なんだろうね、この納得いかない変な感じ。


 しばらく司会者さんの言われるまま称賛され続け、私はようやく賞品抱えて引っ込む事が出来た。

 何かよくわかんないけど、シオン君の元にこれ持ってくか。

 リオネル様のとこに戻った方がいいのかな? その辺り誰も教えてくれないからどうしたらいいかわからないんだよ。


 医務室に向うと未だにシオン君は気絶中だった。

 とりあえず持ってる物全部置いていいかな?

 置いていっちゃおっかなぁ。リオネル様の元へ戻ってしまいたくなってきた。


「……ん」


 あ、起きた? もう、タイミングが悪い。

 もうちょっと寝といてくれればさっさと帰れたのに。

 って、身じろぎしただけかーい。


「……んん?」


 あーもう、下手にここに来たせいで身じろぎするたびにもう起きたのかと確認しなきゃいけないじゃない。

 ちょっと、起きるなら起きなさいよっ。

 ていっ。


「ぐふっ!? ……ん、んん? ここ、は?」


 おー、起きた起きた。

 やっぱりこういう時は斜め45度にチョップするのが正道ね。


「ん……お前は……ロゼッタ嬢?」


「起きたかしら? なんか知らないけど優勝者代行させられたからこれ、持って来たわ」


「持って来た……というより、身に付けているようだが?」


 とりあえず優勝盾とか杯を床に置いて行く。

 防具も……アイテムボックスに入れときゃよかった。

 ふぅ、身軽になった。床一面にシオン君用のアイテムが散乱したけど、まぁ別に問題無いよね。


「しかし、強いな。その年でよくそれだけの頂きに辿りついたものだ。一体どうやったんだ?」


「んー。魔法がイメージって言われてるじゃない? 外にある魔力を使って魔法出来るようにして一人で極大魔法を作って山に打ち込む、とか?」


「……待て。そう言えば去年辺り、突然俺の居た隣の山が消し飛んだ事件があったんだが、あれ、お前の仕業かよっ!?」


 まさかの当事者だった!?

 私とシオンは同時に頭に手を当て虚空を見上げた。


「確かに、山一つ分の魔物全部の経験値がありゃ子供でも即席英雄になり得るか……」


「あと、結界魔法したまま邪神洞窟入って相手の攻撃全反射してたかな?」


「発想が飛んでもねーな。こりゃたかだか大会優勝程度で満足してたら勝てんわ」


 まさにレベルが違うのだよレベルが。

 そして私の方式は殆ど参考にならないと理解し嘆息。


「だが、お前さんみたいに強くなれる方法があるってことは理解した。改めて、シオンだ。縁があったらまた会ってもらえるか?」


「基本プライダル商会で商品売ってるからいつでも会おうと思えば会えるんだよ」


 手を差し出して来たので握手で応じる。

 なんだかんだ言って、大会に情熱を掛けるスポーツマンみたいな人らしい。

 俺もまだまだがんばらねぇとな。とベッドから降りて体をほぐす。

 ちょっと、一応レディーの前なんだから自分の状態確かめずにベッドから飛び降りないでよ。

 上半身包帯だらけで下半身はズボン履いたままだったからよかったけど、もし医務員の人が気を利かせて服全部剥ぎとってたら大問題だよ。

 淑女の前で全裸で体操し始めた変態扱いされかねないんだからねっ!

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