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241話・ロゼッタ、格闘大会二回戦

「しかし、貴族も普通にでてるんですね兄上」


「ああ。この格闘大会は腕に覚えがあれば貴族も出れる。しかし、父上が見てる大会だからな。無様に負ける姿も見られる可能性があると思えば、余程の胆力が無ければ出ようと思うまい。それでもたまに勘違いした貴族が出るからな。今回の貴族も弱そうな相手で闘って貰い、勝利を一度経験した後優勝候補などどう逆立ちしても敵わない存在と当ててさっさと御退場願う、といった方法を取るようにしているらしい」


 エレインがオカシイだけなんだよ。

 確かに見栄こそが生き甲斐なお貴族様にとっては栄誉ある格闘大会であると同時に一人以外は確実に敗北することが約束させられている戦闘を王族に見られるのだ。

 優勝者はほぼ確定してるようだし、シオンかハスタールね。

 負ける可能性しかないなら出ようとは思わないだろう。

 あとは、どう劇的な敗北を喫するか、かな、さすがにそんな貴族はいないか。


 つまり、貴族もでることはできるけど、その後の夜会などでいろいろ言われる可能性が高いため名誉を棄損するかもしれないこの大会に出る危険を冒そうって貴族がいないだけである。

 ただしエレインは除く。あいつ基本一位にならないと気が済まない人だからなぁ。誰かに唆されて大会にでやがったな。

 ……あれ? ディムロスも貴族じゃなかったっけ? ま、いっか。


「どうかなロゼッタ嬢、気になる選手はいたかい?」


「兄上?」


「エリオット様、私がいますのに、弟の婚約者と話すだなんて、酷いわ」


「おや、マルチーナ嫉妬かい? 折角弟とその婚約者が初めて大会に顔をだしたんだ。気に掛けない兄はいないさ」


「あら、つまり親切心で緊張しないよう話しかけていらしたの? 私には綺麗な娘を見付けて弟から奪おうとしているようにしか見えませんでしたが?」


「おいおい、困ったな」


 なんか、思ってたのと違う。

 あれ? おかしいな、この二人ってこんな性格だっけ?

 エリオット様ってもっと理想の王子みたいな感じじゃなかった?


 マルチーナさんは知らないけど、普通の侯爵令嬢って感じだね。

 自分が一番、他の女性を見下してます、みたいな顔してる。

 困った顔のエリオットの腕を掴み、席に引き戻るマルチーナ。

 私を一瞬見たあと、なぜかこれは私の男よ。いいでしょ? みたいな勝ち誇った顔された。

 うん、勘違いなんだよ? 私はエリオット王子狙いじゃないんだよ。あ、でも悪役令嬢のロゼッタならここでリオネル様死んでただろうし、一人所在無げに見てたとすれば声掛けて来てくれたエリオットに恋心描いてもおかしくなかったし、マルチーナに殺意を覚えてたかもなんだよ。でも残念。私はリオネル王子大好きッ娘です。きゃっ、言っちゃった♪


「どうしたのロゼ?」


「何でもありませんわ。あ、でもリオネル様、ほら、二回戦が始まりますわよ。最初の試合は二人とも知り合いですの」


「え? そうなの!?」


「はい、A級冒険者チームフライムブレスのリーダーさんと銀狼旅団チームのケリークお爺ちゃん」


「へー。どういう知り合い?」


「えーっと、一緒に依頼を受けたんだよ。確かゴブリン集落の偵察、だったかな?」


「え? ゴブリンって、駄目だよロゼ、あいつら女性を襲うっていうじゃないか。危険なことはしないでね?」


「まぁリオネル様ったら。大丈夫ですわ。全部駆除しておきましたもの」


「え? いや、そういう……まぁロゼらしいからいっか」


 あ、凄い、ケリーク爺ちゃんが勝った!

 やっぱり遠距離魔法強いなぁ、烈風で吹き飛ばして場外か。こういう試合では、普段強者だったとしても場外敗北があるからなぁ、これは仕方無い。ラオスムさん、どんまい。

 って、だからなんで私見付けて青い顔するの!?

 笑顔で軽く手を振っただけなんだよ!


「あの貴族は前に会ったよね? 確か商店によく顔出してる貴族令息」


「エレイン様ですわね。どうにも目立つ事が好きらしくて、無駄に実力もあるので誰かに唆されて大会に出たみたいですわね」


「ああ、なるほど。でも運が悪かったね。相手は優勝候補らしいじゃないか」


 リオネル様、さっきエリオット様が言ってたじゃない。仕組まれたんだよこの試合だけは。

 でもそんな指摘したりはしない。だって私は慎ましやかなる侯爵令嬢。ここはただ同意するだけでいいんだよ。


「ホントに……あ、負けた」


 ふははははっとか叫んでたエレイン。なんやかんややってたけど全部大剣に薙ぎ払われて吹っ飛ばされた。

 さすがに貴族に蹴り入れる訳には行かなかったようで、シオンさんは面倒臭そうに首根っこ掴んでぺいっと場外に投げ捨てていた。


 負けてから馬鹿な!? とか叫んでるけど、いや、どうして勝てると思ったし?

 にしても、シオンさん強いのは確かだね。

 ねぇリオネル様。


「うん、正直あそこまで大きな武器使ってあんなに豪快に魔法を弾くのってちょっと憧れるよ」


 リオネル様も男の子だねぇ。

 でも魔法程度なら私の魔法反射結界の方が派手に弾くんだよ。

 無効化結界でも連弾撃ち込まれても砂煙の中から無傷で出て来て「何かやったかね?」とかさらに逃げようとする相手に「何処へ行こうというのかね?」とか言っちゃえば結構恰好良くないかな? かな?


 んで、なんやかんや結局シオンもハスタールも連勝し、ケリーク爺ちゃんもがんばったけどやっぱり魔法弾かれて負けてしまっていた。

 剣を突き付けられての降参だったのは、さすがにシオンさんもケリーク爺ちゃんに近づくのは危険と判断したためだろう。なんか奥の手の魔法用意してたっぽいし。


 いやー、しかし、なんて言えばいいのか……


「お遊戯会、やねぇ」


 そうだねぇ。って、キーリぼそっとつぶやくな! というか何時の間に私の膝に座った!?


「えへへ。なぁ主様、あのシオンとかハッスールとか、大会決勝とかでイキっとるけど、真の強者がこぉんなところにおるん、気付かんのも間抜けた話ちゃう? 正直飽きてきたわぁ。ウチより弱い奴らの闘い、それもここまで酷い闘いは見てて面白ぉもないで?」


 キーリやめて、ちょっと見上げてこっち見てる目に深淵が覗いてる気がするんだよ? なんかそれフラグな気がしてきたんだよ。やらかしちゃダメだよ?

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