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237話・ロゼッタ、守護者がいるとか聞いてないんだよ!

「痛い痛い痛たたたたたたたっ」


 久しぶりの急激なレベルアップに体が悲鳴をあげている。

 痛みのまま見れば、キーリと守護者と呼ばれた鹿さんがなんだこいつ、みたいな半眼でしらけたようにこちらを見ていた。


「主様……相変わらずやらかすなぁ」


 ―― 北と東の山などに居れば我も死んでいたということか、末恐ろしい人間だ ――


「ま、待って、待ってっ。守護者がいるとか知らなかったんだよ! というかなんでキーリはそれ知ってるの!?」


「封印される前はウチ邪神やってたんよ? そこらじゅう破壊しまくっとったら守護者も出て来るし、敵対したり頭垂れて来たりでいろいろ便宜計ったりしたんよ。なぁ?」


 ―― ああ、あの時の邪神か。そう言われてみれば見覚えがあるな。その節は、ご配慮痛みいる。北側と東側はほぼ代替わりしていたし我らの知り合いではなかったしな、こちらと南側の次期守護者でも配置しておく ――


「そうしてくれるとありがたいわぁ。あ、南の守護者はんアレやな」


 触手に掴まって移動して来た象の頭を持つキングコングっぽい図体の生物がキーリの前にがんじがらめで連れて来られる。


「とりあえず暴れんとってなぁ。拘束解くさかい」


「おのれ貴様! 一体何を……キーリクライク様ァ!?」


 なんかすごい剣幕で怒り暴れそうになっていたエレファントなキングコングさんはキーリの姿を見るや、その場で土下座を始めた。

 ふーむ、ということは、守護者ってのはキーリが封印される前から今まで存在してる結構強い魔物様ってことになるのかな? そりゃ私のレベルも上がっちゃうんだよ。


「なんやぁ、覚えとるん? ごめんなウチあんさんのこと覚えとらんのよ」


 ちょっとキーリ失礼だよ!?


「めっそうもない、私のような木っ端の事など覚えていただく程も無く、貴方様に守護していただいた赤子の頃よりかはマシになりましたが未だに山一つの守護者でしかなく……」


 めっちゃくちゃ腰の低い象さんだった。

 鹿の守護者さんもジト目である。

 ところで鹿さん、北と東の守護者さんってどんなの?


 ―― 確か、北はソラマグロ種だったと思う。東は入れ替わりが激しくてな私が覚えている限りではオーガキングだったはずだ ――


「次の守護者さんからは守護者は攻撃範囲から抜かすことにするんだよ」


 ―― 我々も、一定以上の魔物は山を下りぬよう厳命しておくことにする ――


 呆れたように言われてしまった。

 しかし、見れば見る程神聖な鹿さんだな。

 あの、ちょっともふもふしてもいいですか?


 許可を貰って背中部分を触ってみる。

 やばい、このさわり心地はモフ天だ! もふもふ天国と書いてモフ天なんだよ!

 ふわっふわだ。しかも寄生虫やらダニは居ないようだ。

 守護者の魔物は自身でそういう生物を遠ざける方法を持ってるらしい。

 え? そっちの象さん持ってない? ひぃ、近寄んないでほしいんだよ!?


 もふもふは正義、と言う訳で鹿に抱き付き頬ずりしながら近づこうともしていなかった象さんを拒絶するように掌で拒否。

 象さんが凄く傷付いた顔をしていたけどこればっかりは無理です。

 頬ずりした瞬間にダニの群れがぶわっと来たらこの周辺の山ごと根絶やしにする未来しか思い浮かばないし。

 

「とりあえず、主様もこれからは配慮するってことなので、鹿さんと象さんはそこにまとめた魔物から自分の森に必要な実力者おったら引き抜いといたって。北と東は軒並み実力ある魔物消し飛ばされとるからそこも考慮してなぁ」


 くぅ、今回はキーリの方がMVPなんだよ。私も生け捕りにしとけばよかった。

 ま、まぁレベル上がったからそれでよし、ということで。

 うわぁ、もう600になってるよ……


 守護者と彼らが必要と判断した強力な魔物だけを魔力登録して攻撃対象から除外して、私達は彼らを山や森へとお帰りいただいた。

 それ以外の魔物は触手で纏めてキーリが処分。

 正直絵面が酷いので、倒した。とだけ告げておく。


 盗賊さんに関しては兵士さんに丸投げしました。

 うーん、こっちも丸投げした方が報酬も出るみたいだし、よかったなぁ。

 北と東は壊滅させちゃったからなァ、一応兵士さんに盗賊がいただろう集まってた場所だけを告げておいた。後で捜索隊出して捕まってる人がいないか確認に行ってくれるらしい。


 んで、私とキーリは得意満面冒険者ギルドに戻り、ギルド長室へ。

 しっかりと安全になったことを報告すると、何故かギルド長が虚空を見上げて鼻歌歌いだした。

 なんでそんなやさぐれたような哀しい歌歌うのかな? 夕焼空、ブランコに所在無げに座るくたびれたおじさんみたいな顔しないでください、まるで私たちが会社倒産とかやらかしたみたいじゃない。


「やっぱり主様やりすぎなんよ」


「ちょっと数が多いから横着しただけなんだよ。おかしいな?」


 結果、私達は一応任務達成した。ただし、ギルド長の精神にSAN値チェックが入ったらしい。

 おかしいな。正気度失うような行動はしてない筈なんだよ?

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― 新着の感想 ―
[一言] ロゼッタ嬢本人には自覚が無くても、この物語のタイトル通りなんだよ。 でもそこが良いんだよ。 さて此れから更に蒸し暑くなる時期になりますので、作者様には身体に気を付けて頂きたいんだよ。
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