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213話・ロゼッタ、行方不明? なら徹底的にやるんだよ

「お昼のチィーッス、なんだよ」


 昼が過ぎたので商店に戻って来た時の事。なんだか店内が騒がしい。

 いや、店内と言うよりはスタッフルーム?


「何かあったの?」


「あ、お、お嬢様、あ、えっと、その、あの、ええとぉ……」


 ダイニングルームにいたリオネッタが泡食ったように慌て出す。

 なにか、やらかしたなこの駄メイド。


「リオネッタ? 正直に言いなさい。嘘偽りなく、それが、一番私の怒りが少ないわ」


「ひぃっ!? ち、違うんです、私のせいじゃなくてですね、か、勝手に、そう、勝手にキリハちゃんともう一人が居なくなってただけで、その急いで戻ったけど見当たらなくて」


 キリハが、居なくなった?


「外に出たの?」


「あー、それは俺のせいだ、お嬢。お嬢に言われてたお使いってのをやって貰おうと、キリハに頼んでな。てっきりクイッキル達が一緒に行くと思ってたんだがよ、そっちのメイドと二期生だけが付いて行くことになってたらしくて」


「それだとキリハだけがお目付け役になるじゃない。なんでよりによってリオネッタなの」


「あれ? なにげに私お目付け役出来ないと思われてる?」


「一緒に行ったのはステーアと二期生二人?」


「ああ、話を聞くに大人としてクラムサージュに付いて来てほしいと言っていたようだが、本人が代わりに二期生二人に任せたそうだ」


 クイッキルは私が仕事任せたせいで断った、と、そして着いて来たのが、その面子。二期生の一人は前に野外活動した際、蝶々を追ってふらふら輪を離れようとした少女だ。

 ちょっとマイペースなところがあるトラブルメイカー。早速トラブルにキリハが巻き込まれた訳だな。


「お嬢、子供が君に会いたいらしいぞ」


 と、エルフレッドさんがわざわざダイニングルームに顔をだして告げて来た。

 カウンターに座ってる彼が動くとは珍しい。

 なので会話を切り上げ直ぐに向う。


 カウンター前に居たのは、浮浪児だった。

 凄く汚い恰好の少年だ。

 少年は私を見るなり告げる。


「あんただろ、あの一つ目のおねーちゃん連れてったの」


 うん?


「俺、見たんだ。あんたが一つ目のおねーちゃんたち連れてこの店に向かったの。だから、助けてくれっ! 一つ目のおねーちゃんが人買いに攫われたんだ。俺に優しくしてくれたおねーちゃんが、さっき、捕まって」


 ま、待て待て待て。誰この子?


「お前、チパナパか?」 


「クイッキル、知ってるの?」


「ああ。はい。俺とキリハが浮浪児になるちょっと前に路地裏で死に掛けてたから。キリハが近くの露天で焼き串買って食べさせてたんだ。俺らが孤児になったあとは見掛けなかったけど」


「そう。チパナパだっけ、もう一度確認するわね。キリハたちは、人買いに攫われたのね?」


「うん、麻袋をこう、被せられて、連れ去られた」


「そう、つまり、私に対する、敵対者……ね」


「……お嬢?」


 うん、よォくわかった。これからもこんなのが出ないよう、今回は徹底的にやるんだよ。


「チパナパ、場所、案内できる?」


「うん、大丈夫」


「そう、ではフラジャイル。着いて来なさい」


「え? 僕!?」


「さっさと来なさい?」


「ひぃっ!? は、はい、只今っ!!」


 おや? 随分と焦ったな。私そんな怖い顔してた? 優しく告げただけなんだよ?


「お、おい、お嬢、な、何する気だ?」


「何って? 徹底的にやるんだよ? 今回は自重はしません」


「今回はって、まさか今まで自重してたつもりだったのか……」


 ルインクさん、ちょっと酷くない?


「あと、影のおっちゃん。キリハたちには誰か付いてなかったの?」


「あー。それがな、付いてった影はリオネッタを監視してたせいでキリハたちは見失っちまってたらしい。減俸しとくが他に何かやらせるか?」


「なら、ここ・・に向かってキリハたちの安全を確保、万一襲われそうになってたらとりあえず相手を無力化だけさせといて」


 地図を広げて一カ所を指し示す。


「え? あの、もしかしてキリハちゃん達の居場所、分かってんの?」


 影のおっちゃん。なんでそんなきょとんとしてんの? 分かるでしょ? だってほら、あのペンダントの魔力反応見れば持ってるメンバー、誰がどこにいるか分かるんだし。貴族の常識でしょ? 奴隷が逃亡した時用にペンダントで追えるようになってるんだよ?


「え? そうなの?」


「いや、俺に聞くなよ影のおっさん。俺はただの料理長だぞ」


 ルインクさん、何時の間に料理専門職になったの? 寮長だよ、役職。


「かー、お嬢が落ち着いてんのはそういうことかよ」


「急ぐことには変わりないんだよ、影の人は全力でキリハたちの身の安全確保、ただし身の安全が保障されてるなら敵勢力は無力化しなくていいから泳がしておいて」


「は? いいのか?」


「言ったでしょ?」


 言葉を切って、私は皆に振り返る。満面の笑顔に悪意を乗せて、当然のように宣言する。


「他にも私の敵に成るような存在が出て来ないように、私に敵対する事がどういうことか、徹底的に見せつけながら潰す・・って」


 いや、だから、なんで皆そんなにがたがた震えるの? 怖くないよ? 怖くない悪役令嬢なんだよ?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最近のロゼッタ、やりすぎてなかったから久しぶりにやりすぎて欲しいんだよw
[一言] 前話の一言で間違えてしまって恥ずかしいんだよ。/////// でも、ロゼッタ嬢の身内が攫われたから、犯人の末路は同じなんだよ。
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