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19話・ロゼッタ、クールビューティーなエルフさんに惚れそうです

 朝起きる。

 ラジオ体操を行い、早朝ランニング。

 柔軟体操、側転や転回を行う。

 朝食は家族揃って。でも両親よ。私との位置がおかしくない?

 やっぱり、この長テーブルで食事するのがおかしいと思うんだ。まるで一人きりで食べてる気分だよ? 異世界来てまでボッチなの? 


 お昼過ぎは読書タイム。と言っても、もう難しい本しか残っていないので解読から始めて行かないといけない。

 というか、これこの世界の文字なの? 絵本とかに書かれてる文字とは全然違うんだけど。

 つまり、古代文字、とか? どっかに辞書とか無いのかね?


 結局、古代文字辞書は無かったので魔道書売ってるところに買いに行くしかない。

 三つあるけど、一番参考書とか辞書とかがありそうなのはエルフのお兄さんのとこかな。

 お婆さんの所はディープな難しい本はありそうだけど解読書はなさそうだ。

 モミ手男の魔道具店は絶対に偽物掴まされそう。


 思い立ったが吉日、私は早速読書を止めてリオネッタと共にエルフお兄さんのお店へと馬車を走らせる。

 本音を言えば走って行きたいところだけど、流石に貴族として馬車無しはマズいらしい。

 護衛も一緒に居た方が良いしということで、しぶしぶ馬車に乗ったのである。

 護衛の騎士は、またあの騎士だ。マッスルボディが汗臭い。




「お兄さん、解読書くださいな」


 お店に着いたら開口一番。カウンター前に向かって行って身を乗り出し、エルフのお兄さんに直談判。

 当然、眉間に皺寄せたエルフのお兄さんが反応する。

 その表情、素なのか怒ってるのかウザがってるのか分からないのが、ちょっと不安です。でも、顔の作りが美形過ぎて萌える。


「いきなりですね。何の解読書でしょう?」


「呪文とか、魔道書? 古代文字の辞書とかあればいいかなぁ。家にある本、古代文字っぽいのがあって読めなくて」


「申し訳ありませんがそういう本はございません。基本古代文字などの解読は学者が率先して行っており秘匿されるものですので、ご自身で解読いただくしかないかと」


 マジっすか!? なんだよぅ、辞書ないの? 異世界遅れてるぅー。

 クソ、自分で法則性探すっきゃないか。

 でも地球の古文書とかも、いろんな解読法があったから面倒なんだよね。解読だけで何十年とかかる奴もあるらしいし。


「エルフ語であれば子供用の本がありますが?」


「え? そうなの?」


「主にエルフの子供に文字を覚えさせるものです。エルフ語を覚えたい人間もいますので店で売ってます」


「ください。エルフ語覚えます」


 エルフ語辞書を手に入れた。てってれー。

 子供用辞書だったので結構安かった。3000サクレだって。

 いいの? エルフ以外からしたら結構欲しい奴いるだろうし、3百万サクレとか言われてもおかしくないと思うんだよ?


「良いんですか? しかもこんなに安く」


「適正な値段です。変に高くしても買い手は付くでしょうが、私は正規の値段で売りたいので」


 きっちりした人なんだろうな。気苦労が多そうだ。

 もうちょっと儲けないと潰れちゃうぞ?

 というか、あのぼったくりの店とかお婆ちゃんの店はそれなりに人がいたのに、ここだけ全くいないよな。私が来た時だけかもだけど。


「ところでお兄さん、閑古鳥鳴いてません?」


「なんだその鳥は? 鳥の鳴き声は聞こえてないが?」


「あー、えっと、率直に言いますけど、売上ちゃんとありますか?」


「ああ、そういう隠語か。それなりだ。……と言いたいところだが、お嬢さんのお察しの通りだ。どうも人間の貴族には適正価格というのは好まれないようだ」


 そっか。見栄えを気にする貴族ならぼったくり店、ちょっと変わってても唯一を求める貴族ならお婆ちゃんの店に向かう。

 でも適正価格のこの店は良くも悪くも普通なのだ。変わった何かを求める貴族たちにとって普通は敬遠されてしまうモノであるらしい。


「ままならないモノですねぇ」


「全くだ。だが私はエルフなのでな、時間はたっぷりあるし、食事は仲間から定期的に送られている。基本減った魔道具を買い寄せるだけなので、そこまで維持費は掛からん。もう十年以上ここで売買を行っている」


「はー。それは御見それしましたっ」


「心配してくれたようですまんな」


「いえ、こちらこそ差しでがましいことを言ってしまい、もうしわけありませんわ」


「とはいえ、確かに経営はかなりマズい状況だがな。平民街に移動を考えるべきか、いや、そろそろ街からの撤退も考えた方が良いのやもな? この国の気風は好きなのだがな」


 ふっとニヒルに微笑むエルフさん。

 くぅ、イケメンの溜息とか、萌えるっ。

 思わず結婚してくださいとか叫びそうになったわよ。


 そんな事したら絶対に一言で切り捨てられるだろうけどね。

 エルフと人間となったら、まず確実にエルフが長命で死に分かれになるだろうから敬遠されるだろうし。

 好みに合わなかったら、そもそも即答で断られるだろう。


 一度その場で大きく深呼吸して精神を整える。

 会計済ませてここを出よう。

 長居するとオトされてしまいそうだ。

 いけないわエルフさん。そんなクールなツンデレさん演じられたら、私、告白してしまいましてよ。

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