後日談:リズリンド、やっちゃったぁ
SIDE:リズリンド・メイドサンキングダム
やってしまった。
勢いに任せてやってしまったっ!
何であんなこと言っちゃったんだろう。
後悔しても後の祭りだ。
そしてこうなってしまってはもう修正など出来ようはずもない。
ナゲキノカルマ改め、新国家樹立おめでとうございます。
メイドサンキングダム設立しましたー!
あ、はは。やっちゃったぁ……
虚空を見上げ、私はお祭り状態の国の広場に設立された王族用の見学席で快晴な空を仰ぎ見る。
まさかこんなことになろうとは……
いや、元をたどれば自分のやらかしのせいなんだけどさぁ!
マギアクロフトからの侵攻防衛戦の折、私はメイドの旗を掲げて戦った。
その印象が国民に強く残ったことが一つ。
ナゲキノカルマの国が廃墟と化したことが一つ。ローディアルアめぇ、めちゃくちゃに破壊しといて自分はしれっと生き返るとか何なのあの女! しかも聖女認定されてるし!
今度この国に祈りに来た時は国破壊したことねっちねちと言ってやるんだから!
んで、新しくライオネル兵とヴァルトラッセが国を建ててくれるってことで、国民にも手伝って貰ってどんな国にしたいかを聞いてみたのだ。すると、もうナゲキノカルマの王族じゃない国王だし、この際新国家に変えちゃった方がいいんじゃね? という意見が出て、女王様はメイドの旗掲げてたし、メイドっぽい国で。
そしてあれよあれよと決まったのがメイドサンキングダムである。
ライオネル兵曰く、キングダムが王国という意味を持つらしいので、この後にメイドサンキングダム王国とか付けるとメイドさん王国王国という謎の名称になるので王国などは付けず、メイドサンキングダム、という国名で確定したのである。
その初代女王は私、リズリンド、苗字なかったのにメイドサンキングダムの姓を名乗らないといけないらしい。なんというか、メイドさんの王国が名前とか、恥ずかしいのでは?
しかも前世持ちとかいうライオネルの頭おかしいメンバーが楽しそうに国の法律決めやがったせいで、国内では女性はメイド服を着なければならないという謎ルール、男性は執事服を着るのがルールになった。
当然貴族だろうが平民だろうが全員メイドと執事である。
お貴族様は執事服を着たまま執事さんに奉仕されるのだ。皮肉が効いてやがるぜ。
しかも国民全員お茶の入れ方を学べだぁ? 私そんな法律作ってないよ!? なんで入ってるの!?
まぁお茶は入れれるからいいけどさぁ。
というかもう誰がメイドで誰が貴族かとかわからないから皆に丁寧に告げて行ったらメイド長に怒られるし、王族の矜持とか言われても全員メイドか執事にしか見えないからどうしようもないんだよぉ!!
近衛兵も戦闘が出来るメイドになってるし、兵士たちは執事服で剣振るってるし。
戦闘はメイドの嗜みじゃないんですよ!
執事もなんでその服で剣戟受けて切れてないの!?
ロゼッタ様ぁ、なんであんな変な鉱石発明したんですか!? アレのせいで執事服でも普通に防御力バカ高い戦闘服として採用されちゃったんですからね!!
しかもメイド服も和メイドやらロリータメイドやら猫耳メイドやらクラシックメイドやら、サイバーメイドやら意味不明な服でもメイドって付けたらメイド服、じゃないんだから!
なによあのエンジェルナースメイド服って! ダークネスデモニックサイエンスメイド服とかもう意味わかんない。
「はぁ、なんだ、これ……」
ただし、国民はとても晴れやかな笑みでお祭りだ。
何しろ今まで荒廃した土地でごろ寝してる人が多かったこの国が、生まれ変わって皆の家が存在するのだ。
もう外で寝る日々は終わりだ。
暖かいベッドの上で安全に眠り、三日に一度の食事を探して徘徊する必要もない。
お金も稼げば手元に残り、土地を耕せば野菜が実る。
嘆きの時代は終わりを告げた。
これからは奉仕の時代だ。
なんて歌ってる吟遊詩人迄出てきている。
だから、メイドサンキングダムとか名付けられてるからってメイドに全寄りしなくていいんだから!
私がメイド上がりだからってメイドを強要したりしないから、ね、皆普通に戻ろう!
普通の一般人に戻って普通に過ごそう。そうしよう?
「メイド王万歳! リズリンド王万歳! メイドサイコー!!」
いやあぁぁぁぁぁ!?
なんでこうなった!? 何でこうなるの!? 私ただのメイドぉぉぉぉ!!
新たな王国メイドサンキングダム。その特色は何と言っても多種多様なメイド服だろう。
市民はそのほとんどが執事服とメイド服を着込み、独自のメイド服や改造執事服の華美さや機能美を競い合うという。
メイド業、執事業が上手い者ほど各業種での採用率も高まり、貴族でさえも執事、メイドとしての嗜みを技術として修めているという。
後に、派遣メイド業が始まり、他国からも重宝される人材派遣国家となり、メイドサンキングダムの執事とメイドは質が高いと評判になったとかなんとか。




