後日談:ミリア、聖女認定式典
SIDE:ミリア・ファーガレア
「よって、聖女サクリファの名において、ミリア・ファーガレアを新たなる聖女に認定します」
少女の必死な可愛らしい声が響き渡る。
本日、ファーガレアではライオネルからやって来た聖女の一人、サクリファにより、第四の聖女が認定される式典が行われていた。
ファーガレア支部の純愛神教教祖と共に壇上に上がったサクリファから、私は証書を受け取る。
正直、なんでこうなった、感が強い。
別に聖女になりたい訳じゃなかったんだけど。
どうやらマギアクロフトとの世界大戦で国を守る結界を作ったことが聖女認定される理由になったらしい。
昔の私だったら当然でしょ主人公なんだから! とか言っちゃってたんだろうなぁ。
あー、なんかそう思うと、この世界に来たのが凄く昔のことみたいに思えてくる。
いろいろ、あったなぁ。
ゲーム世界に転生しちゃったし目指すなら逆ハーエンドっしょ、って必死に男たちにアピールしていた学生時代。
本来邪魔してくるはずのロゼッタが一切邪魔してこないしサラディンいないし、意味わかんないカップル出来てるし、でなんかもうめちゃくちゃだった気がする。
それでも何とかできるはず、とロゼッタを敵として空回って……
ロゼッタと敵対して、私よくもまぁこの程度で済んでたわね。
なんか一国滅ぼす手伝いさせられた気はしなくもないけど、それ以外はあいつ結構いい奴だったし。敵対さえしなければなんというか、ほんとキューピッド役がハマる奴だったわね。
おかげでなんかよくわからないうちにジームベルクに告白されたし、気付いた時にはもう結婚状態。
男との結婚エンドを求めていたはずなのに、いざ実際に辿り着いてみると、逆ハーより純愛だよね。とか思ってる自分が居たりして。あー、なんだろうね、この掌返し。私そういうの嫌いだったはずなんだけどなぁ。
どうでもいいことを思い出しながら証書を受け取る。
皆に見せびらかすようにして見せつけるのはパフォーマンスだ。
一応王族の一人としてちゃんと市民に受け取りましたよアピールしないといけないらしい。
「ミリア様、一言お願いできますかな?」
「はい。正直に言えば、私のような者に聖女が務まるのかどうか、皆さんもご存じの通り、私はライオネルで生まれ、ジームベルクの嫁としてこの地に参りました。皆様、他国の女によくしていただいて、どうにかお返しができれば、そう思って行動していただけのことをこうして聖女であると、認定していただくと、戸惑いの方が強くございます。ですが……聖女を承った以上、聖女の名に恥じぬよう、誠心誠意、ファーガレアの繁栄と世界平和に貢献していけたなら、と思いますわ」
市民たちが歓声に沸く。
すまぬ、一切そんなこと思っちゃいないんよ私。
ジームベルクとキャッキャウフフの毎日が過ごせれたら他どうでもいいし。
でもまぁ外面は良いに越したことないんで、このまま行かせていただこう。
私は聖女。ふっふっふ。皆感謝感涙しながら私を聖女と褒め称えよーっ。
「あ、ミリアさん、早速ですがこれ聖女の仕事内容、覚えてくださいね。日付になりましたらヴァルトラッセが迎えに来るんで」
はぁ? 仕事なんて聞いてな……なぁに、これ?
「瞬間移動でパパッと移動できるんでとりあえず各国のお祭りと新年祭などの行事に顔出せるようにとスケジュール組みました、いやー、四人に増えたおかげで皆の負担も少なくなりましたよーえっへん」
「は、はは……」
満面の笑みを浮かべるサクリファ。
お前、これを割り振るために私を聖女認定しやがったな!
「謀ったわねサクリファ!?」
思わず小声で怒る。
衆人環視の手前、さすがに大声で怒鳴る訳にもいかないが、彼女に怒りをぶつけると、ニッコリ笑顔で対応された。
このガキ、すでに百戦錬磨の令嬢みたいな顔してやがる。
「聖女少なくて過労になりそうなのです。ロゼッタ神教程ブラックじゃないので、よろしくですよー」
ぐぬぬ。これじゃあ祭りの際に他国にでずっぱりで新年とかジームベルクと祝えないじゃない!
妻のいない新年を国王に祝えっていうの!?
「聖女として自国よりも世界平和を選ぶ、当然ですよね。憧れますぅ」
ぜんっぜんそんな顔してないわよね!?
「正直言うと、新年はアルマティエ様がライオネルから動きませんとか言い出したので二人だけなんです、一人増えてくださって助かりました」
おおいアルマティエ! あんたライオネル総司令官の第二夫人じゃん、別に一緒してなくていいだろ。聖女の仕事優先しろよ。私に丸投げしてんじゃないよ!
「ふふ、同じことローディアルアさんが言ったら、私聖女を卒業して普通の女の子に戻りますとか言い出したから苦肉の策で新年だけライオネルに居させることになりました」
よぉし分かった。ちょっとオハナシが必要みたいね。聖女同士でちょっとオハナシいたしましょう。私、ロゼッタ程甘くなんてないわよ?




