後日談:リーマス、連合国国王の受難
SIDE:リーマス・ウラギ
「以上のことから、我々はリーマス王を盟主として、ここにウラギ、プライジャコリャ、ヨラバタイジュ、ミギニイワク、ヨヨイノヨ、ヒダリニイワタ、モブノモリ、ヨワカロウ、シタニミール、ウエカラマツダ、ドスコイカドタ、クライトラント、以上十二国家を連合国として統一国家の樹立を明言する。盟主リーマス、挨拶を」
なんで、こうなった?
周囲の国の中でもマギアクロフト側に鞍替えした国が滅んだために空いた領地、さらに連合国として共に戦った国々が、なぜか私を盟主にして連合国作ろうぜ、と言ってきたのだ。
無数の国が賛同し、なぜか少し離れた場所にあるクライトラントまで同調してくると、もはや逃げ場などなかった。
一国治めるだけでも大変だって言うのに、なんで私が十二国の代表にならねばならんのだ。
くっそぉ、皆キラキラした目で見やがって。
今に見ていろ、貴様等を国王に据えて私は左団扇で隠遁生活してやるからな!
「不肖ながら十二国家連合、盟主となったリーマス・ウラギだ。正直言えば一国でも大変な国王の盟主として十二の国を見ろ、と言われてもさすがに無謀だと言わざるを得ない。盟主は盟主として国家運営については既存の国王たちに行って貰おうと思っている。とはいえ、せっかくの連合国家、連合国としてのルール、法律を早急に定め連合国名と共に発表したく思う」
さて、ほんとどうしような?
こんな過労死確定の盟主なんて私には務まらないぞ。
「また、私が盟主となったことでウラギ、ヨラバタイジュ、プライジャコリャの国王が空席となっている。クライトラント側から国王候補としてレオンハート殿が推されているが、他に二人、どこかの国から国王候補を出してほしい」
ざわつくのは仕方ない、しかしウラギ国には国王をやれる存在は居ないし、ヨラバタイジュにももういない。プライジャコリャの王族も、軒並み死んでるからなぁ。遠縁なら何人かいそうだけど、いきなり国王やれとか言われても、だ。
さて、最悪レオンハート君という生贄が出てきた訳だし、プライジャコリャ国王をお願いしてヨラバタイジュとウラギも兼任して貰うとしようかな。ふふふ、これで私はもう王族の使命から解放される。
あとは各国の状況把握しながら年一回くらいの集まりに顔出すくらいでいいだろ。
盟主は何もしなくていいような法改正しちゃうぞー。
……
…………
……………………
なんて、思っていた日が懐かしい。
なんで、こうなった?
眼の前にはうず高く積まれた書類の群れ。
十二国の王たちから裁決催促が矢のように飛んで来る。
なんてこった、せっかく休めると思ったのに、彼らを束ねる盟主になってしまったから十二の国の経営方針の最終決定権が私のところに次々やって来るぅ!?
「全く、何の考えもなく盟主なんぞ受けるからこうなるのだぞ」
「すいません、ほんとすいません、反省してます。だからお助けくださいっ」
結果、一か月もしない間に私はライオネルに泣きついた。
書類どうにかしてください。そんな情けないことをお願いすると、派遣されて来たのはクリストファーさんという老人と、人型の犬、コボルトが数名。そしてヴァルトラッセが数名である。
いや、もっと大人数の派遣を、思った私は、彼らの仕事速度を見せつけられて驚愕した。
一日で一か月くらいの書類が溜まる私の机から乱れ舞うように書類の束が消えていく。
各国への配送はヴァルトラッセが転移で輸送し、まさにピストン輸送で次々に消費されて行った。
「とりあえずそこにあるのが君が判断しなければならない書類だ。それ以外の確認書類は全てこちらで処理するぞ」
クリストファーさん、頼もしすぎる!
気のせいか、クリストファーさんの動きが残像付きで見えてきて、まるで千手のように見えてくるから不思議だ。思わず祈りを捧げてしまうくらいである。
それにしても、書類、私が判断するのが10枚もないぞ?
ぽんぽんぽんっとハンコを押してしまえばすぐに済んでしまった。
え、今までの苦労って一体?
「リーマス殿、書類仕事は基本優秀な文官が数人いれば一日と掛かりませぬ。本当に必要な書類は先ほどの10枚程度。それ以外は別の者に任せればいい仕事でしたな」
そ、そうなのか……
「文官候補を10名程選んでくだされ、私どもで訓練いたしましょう。なぁに即席で一月もあれば十分な人材も育ちましょう。コボルトたちもそのくらいで覚えたのですから、人間が出来ない道理はありませぬ」
後から聞いたことだが、このクリストファー殿、ライオネルで宰相を何十年と勤め上げた超ベテラン文官だった。そりゃあの処理速度だわ。
ライオネルはこの人が居たから回ってたんだろう。でも、もう引退したと聞いたけど、ライオネル大丈夫か? この人の仕事分量を回せる人材育ってるのか? 文官たちまで化け物かあの国は!?




