後日談:リンドブルム、こいつらどうにか追い出せないかな?
SIDE:リンドブルム
ベルングシュタット領主邸にて、私は今、形容しがたい想いを募らせていた。
眼の前ではわいわいがやがやとテーブルを囲んでカードゲームをしている暇人たちが集っている。
子供を抱いたままウノ? とやらをしている妻のポアラはいいとして、だ。
ダンジョン核のドルフィ、謎の居候リライラ、ロゼッタ嬢の護衛解約で暇になったハテノ。
ビリッツ、お前確かウチの護衛隊長だろう、なんでここで油売ってるんだ? ええ?
あとメイド服のペペリとピッキア。お前ら仕事はどうした?
ロゼ嬢と領主のリオネルが視察に向かってるからってサボりはダメだろ。
なぜお前らは普通にカードゲームに参加してるんだ?
「あ、リンドブルムさんの番っすよ。ほら、次出して次」
「ふん、スキップでいいな?」
「いやぁー!?」
「あらあら、さっきからドルフィさん狙い撃ちねぇ」
「別に狙ってるいるわけではない。次の相手がドルフィだからこうなっているだけだ」
まったく、こんなカードゲーム。ポアラに誘われなければやったりなんかしないんだぞ。
「ドルフィよ。アステルやラビリル、メイズは既に自分の領地に戻っているはずだが、お前は戻らないのか?」
「いやー、私のダンジョンは辺境にあるし、レベル的に旨味もないので滅多に人来ないんですよね。そもそも皆さんのレベルがカンスト越えになってますし、ダンジョンに潜る旨味も消えてるのでダンジョン経営はお休みです」
なるほど、なるほど?
どうせ誰も来なくて寂しいからこっちにアバター置いているだけだろうが。
まったく、最近のダンジョン核共は、なぜアバターをこの領主邸に置いたまま自分のダンジョンに戻るのか。たまにここのアバター動かして暇潰ししに来てるだろう。
ここは暇人共の寄り合い場じゃないんだぞ。
「それからリライラ、ロゼッタ嬢が連れて来たのであまりとやかくは言いたくないが、そろそろ就職先を探せ」
「うぅ。耳に痛いです……」
ほんと、同時期に来た亜依とかいう女は既にプライダル商店の店員として働いているというのに。
お前もだぞハテノ。そろそろ別人の警護でもしたらどうだ?
「リオネル様にその話持っていったらもう少し待ってくれっと言われたのよ。それに、私には米を量産するという使命があるので、ロゼッタ神様直々にお願いされてるから」
「ちっ、奴の負の遺産がここには大量だ。神だかなんだか知らんが後始末位やってから天界に上がれ、誰が始末をすると思ってるんだ」
「ぶつくさ言いながら率先して後始末をしてるのがリンドブルムのいいところなのよね。こういう奴だから、なんかこう、放っておけないのよ」
「わー、惚気ですよリライラさん」
「ドルフィもそういうの覚えたんだねぇ」
「メイドども、お前らもそろそろ仕事したらどうだ? ビリッツ、貴様もだ。減俸がお望みか?」
「俺だけ酷くないっすか!? そういうリンドブルムさんはなんでウノしてるんですか」
「当然、妻に誘われたからだ。妻からの誘いでなければなぜこんなゲームなど……」
「はいはい、次リンドブルムよー」
「ワイルド ドロー4」
「ぎゃぁぁぁぁーっす」
ドルフィが山札から四枚引かされて悲鳴を上げる。
すまんな。手札にあるから使わねばならんのだ。
「そういえば、最近人形を見てないな? あの動く劇物はどうした?」
「あれ? リンドブルムさん知らなかったっけ? 市松ちゃんならキーリ様たちとまだ見ぬ世界へ。とか意味不明なこと言って冒険に出かけたまま帰って来てませんよ」
そういえばキーリの奴、孫みたいなんと世界一周してくるわー、とか意味不明なこと言って出て行ったな。
そうか、まだ帰って来てないのか。世界一周だし、一年くらいは帰ってこないかもしれんな。
アレがいてもうるさいだけだし、いないならむしろゆったりした時間が過ごせて良いか。
市松人形も持っていったならありがたい限りだな。
夜中に浮遊する市松人形を発見すると恐怖だからな。
特に夜中にトイレに起きた時、不意を突かれて空飛ぶ生首とか見た日には、いつか本当に漏らすかもしれん。あれはもう二度と見たくない光景だった。
「リンドブルムの番だよ」
「よしきたリバース」
「なんでっ!?」
次は私の番、と気合を入れていたドルフィが涙目で叫ぶ、こちら用の何か仕込みでもしていたのか? 残念だったな。ちなみに手札はあと一枚だ。
丁度リバース返しで順番がこっちに来たので手札を提出して上がり。
「えぇぇ!? まだ反撃の狼煙がぁ!?」
すまんな。その反撃は次の相手にやってくれ。
さて、一抜けしたし、決着がつくまではリオネル不在で溜まっている書類でも見てやるか。
いろいろ言っている自分が率先して仕事に戻らねば示しもつかんしな。




