後日談:テテ、巫女の一日
SIDE:テテ
「お、終わった……」
一日の終わり、ようやく自分の部屋へと戻って来た私は、豪奢なベッドに飛び込む様に倒れ込んだ。
仕事がきついわけではない。
人と会うのが辛いわけではない。
祝詞を唱えるのが億劫なわけでもない。
慣れない仕事と言われればその通りだ。
巫女になると決めたのは自分だけれど、これほど忙しいとは思ってもいなかった。
仕事一つ一つはそこまで問題にならないのだ。人と会うのも、一回一回は問題ないのだ。
祝詞を唱えるのだって毎度毎度思いを込めて祈っている。
でも、一日を分単位で様々な場所に移動して祝詞を唱え、合間に仕事を行って、人と会ってパーティーパーティー。なぁにこの休み時間のない一日?
本日も、今寝たら起きた時には明日の仕事が始まる状態だ。
睡眠時間は5時間くらい。なんとか確保出来た時間だけど、風呂に入ったりしたらさらに削れる。
だからもうさっさと寝るしかない。
寝るための準備をしている暇すら惜しいのだ。
移動時間を短縮するために覚えた転移魔法も、覚えたせいで行動可能な範囲が広がってしまい各都市に出向いて教会の支部で祈りを行うのが日課となった。
おかげで時間的余裕が消え去った。
祝詞を早く終わらせるために詠唱短縮や破棄、詠唱加速スキルを覚えた。
余った時間別の作業が割り込んできて時間的余裕は消え去った。
あまり会いたくない人物からパーティーの誘いが来るのが嫌で、別のお偉いさんのパーティーに出席した、誘いを断ることは出来たが、さらに高位のお偉いさんからのパーティーに誘われるようになった。
時間的な余裕が消え去った。
結果、あっちこっち移動してる間に一日が過ぎ去り、こうしてベッドに倒れ込むのが日課になった。
私はきっと、そのうち過労死するだろう。
朝に霊薬飲むのが日課になりつつあるのが怖い。
「ロゼッタ神様、どうかお助けください。巫女が過労死してしまいます」
と、祈ってみたところで、ふと思い出す。
ロゼッタ神様、むしろ過労状態でさらに自分から仕事入手しに行くくらいにワーカーホリックな人だった。
ダメだ、この神を信望していたら社畜ならぬ神畜になってしまう。
そんなことを考えながらいつの間にか意識を失い寝てしまった翌日。
すやすやぐぅぐぅと眠っていると、信者のお姉さんが部屋に入ってきて揺すり起こされる。
「ふえぇ」
「巫女様、今日も一日が始まりますよ。さぁ、霊薬を飲んで元気に行きましょう」
寝ぼけ眼の私に無理矢理霊薬が飲まされる。
うごげっとむせながらも一本空にすると、活力全快。体の汚れとかも一瞬でリフレッシュされるので風呂に入る必要もない。
一応生活魔法でささっと綺麗にしてから朝食へ。
教会に住み込みしている信者さんたちと食事を行い、礼拝堂に向かって最初の祝詞。
皆揃ってロゼッタ神様にカワイイヤッターを届けて立ち上がると、転移魔法で近場の教会から順に移動して祝詞を唱えていく。
別に私が各地に出向かなくてもいいんだろうけど、各国の司祭さんたちがぜひに、って私が来るの待ってるんだよね。
待たれるとさすがに行かない訳にはいかなくて、結局全国行脚して祈りをささげまくる。
全国の礼拝が終わるころには昼食の時間となっていて、ライオネルのロゼッタ神教本部に戻って食事。午後には礼拝時に回った各国で集めた書類を見ながら整理したり陳情を許可したり。
この辺りの書類は別に私がやる必要ないと思うんだけど、ここ最近書類を整理してくれていた教祖さんが帰ってこないんだよね。
そろそろ書類専用の信者、誰か任命しなきゃいけないかな。下っ端さん、やってくれないだろうか?
この書類整理をこなすためだけにクリストファーさんにお願いしてしばらく書類整理の仕方と魔法を覚えたからなぁ。おかげで山のような書類も一時間程で終了だ。
これで終わってくれれば午後からゆったりできるんだけどなぁ。この書類を各国に届けないといけないから再び転移祭りである。
書類を配り終わった頃には巫女に会いたいと面会願いして来た人とオハナシが待っているし、ソレが終ると夜会である。
今日の夜会はザルツヴァッハだったよね。遅れないように時間再確認しとかなきゃ。
そして全ての業務が終ったあとは、昨日同様自分の部屋へと戻ってベッドにダイブ。
ふひぃ。疲れたぁ。
そしておやすみなさい。
こうしてまた、一日が過ぎていく。
他の人に仕事お願いしたいけど、そんなことを選定する余裕時間が捻出できないので自分がやるしかない。
結果ずーっとこの状況がループするのである。
ロゼッタ神様ぁ、もう少し余裕をください、ほんと、マジで、お願いします。
というか、教祖さん戻ってきてぇ。私の作業ルーチン見直してぇ。




