1892話、???、神の勝利、その裏で……
SIDE:???
神が高らかに演説するその裏で、今、一つの生命が終わりを告げた。
それは誰かが待ち望んだものであり、誰かたちはいっせいに動き出す。
「さぁ、仕事の始まりじゃ。儂は今から世界各地に連絡するぞー!」
「おーおー、せいぜい頑張れや。っと、この携帯あんま使ったことねぇから間違えないといいが……あ、私、私。オレオレ詐欺じゃねぇっつの。アレだよ、前に言ってた奴、あたしちゃんがお願いするんだぜ監視者さんよ。うん、認証頼むわ」
「では、私も連絡を始めますかな。女神様も動き出したようですし」
「む、私だけなにも用意していないのが肩身が狭いな。幼女たちでもいれば彼らに伝えたものを。仕方ないので先に祈りを捧げておきましょう。ロゼッタシンサマカワイイヤッター」
ベヘモータの死した場所、その近郊で、四人の人物が動き出す。
一人は不思議な魔道具を使い遠方との会話を始め、一人は杖をフリフリその場を後に。
さらに一人はその場で両手を組んで祈りだし、最後の老婆は大手を広げて念話を飛ばす。
それは一度ではなく繰り返し、何度も何度も同じ言葉を各地に送る。
そして何度目かのことだった。
―― さぁ皆様、お待たせいたしました。主は来ませり。主は、来ませり! 両手を組んで目を瞑り、理不尽な神への呪詛と共に賛歌を今、ここに。皆様祈りを捧げましょう、ロゼッタシンサマカワイイヤッター ――
―― ふざけるな貴様等! 貴様等の信望するロゼッタ・ベルングシュタットは負けた! 負けたのだ!! ――
どこからともなく返す言葉が飛んで来る。しかし老婆は譲らない。
―― 戯言に惑わされてはいけません。祈れば届くのです。皆様の願いを今、ロゼッタ神様への祈りに変えるのです ――
そして、これが全ての始まりだった……
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SIDE:とある信者
「さぁ、皆様、神託は降りました。共に祈りましょう。ロゼッタシンサマカワイイヤッター。主は来ませり。主は来ませり!」
各国で、空へ向け、人々が祈りを捧げ始める。
初めは、ロゼッタ神教の教団員たちだけだった。
だが、異変を察したライオネル兵が、ヴァルトラッセが同じように祈りだす。
それは徐々に広がり始め、敗戦による降伏の祈りを始めようとしていた人々が、最後の最後、縋る様に祈り始めた。
市民から、貴族へ。
兵士たちが、冒険者が、闇に潜む脛に傷ある者たちが。
人も魔族も魔物でさえも、知性ある者たちが祈りだす。
その場の全てが祈りをささげ、それを見ていた王族たちも、会議を取り止め、祈りに入る。
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SIDE:とある星の双神教信者
それは、本来全く関係のない存在だった。
ことが起こっている星から数光年離れた遥か空の先、この次元に存在する無数の知性体が住む星の一つ。
「神託が降った! 我らが女神より、新たなる神の出現が訪れる。皆、祝福し、祈りを捧げよとおっしゃられた。祝詞はロゼッタシンサマカワイイヤッター、さぁ、我らも新たな神の門出を祝おう!」
妹神により、はるか離れたいくつもの星で、同様に祈る者たちが現れた。
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SIDE:とある星の樹たち
【B3226184JFY38の星界樹より全ての星界樹へ依頼する。新たな神の出現兆候アリ。知性体からの祈りを求める】
【珍しい。そういえば我が星の住人達も祈りだしていたな】
【よかろ、眷属の樹木林草に伝えよう】
【我らが神を創り出すか、面白い】
【協力する、楽しいことはよいことだ】
ヴァルトラッセたちから連絡を受けた新たな星の星界樹もまた、同時に祈りの依頼をだしていた。
本来ならば、知る由もない遠く離れた星々で、ロゼッタ神が祈られる。
それは知性体として星々に存在し、人でもなく、動物でもなく海洋生物でもない。
魔族でもなく魔物でもなく、奇怪な形容しがたい生物でもない。
ごく普通に存在し、多種多様、星のあらゆる場所に存在し、ネットワークにより繋がる知性体。
植物たちの間でロゼッタ神が祈られ始めた。
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SIDE:???
ソレは、ずっと、見つめていた。
危険な兆候かどうかを見定めるために。
危険であれば処理するために。
あるいは、祝福を与えるために。
遥か次元のその先で、たった一人の女が無数の何かに求められるその光景を。
(次元外上位個体からの推薦、有り。これより審査を開始する)
誰も見聞きすることのない場所で、ソレは身じろぎすらせずに視線だけを彷徨わせる。
(肉体的経験値、飽和。魂魄限界突破可能値の突破、確認。素体の状態は規定値を越えていると判断。許可。推薦者外の上位個体、10名以上の承認、有り。危険性固体の可能性、微。危険性次元処理対象、除外。信望、次元内知性体の信望数急上昇。規定値に……到達。よって、許可する)
ソレ、は何かを決断した――――




