187話・ロゼッタ、ちょっと困ったんだよ
困ってしまった。
いや、予想以上に子供浮浪者が多過ぎる。
うん、少ない方がいいんだけどちょっと声掛けたら凄い勢いで集まってきてしまった。
やって来たのは五十人程。うん。完全にキャパオーバーなんだよ。
さすがに面倒見切れないな。
いや、出来なくは無いか?
ただ、いくらか駄目そうな気配の浮浪児が居るんだよなぁ。ちょっとこれはカリバルの仕込みがあるかもだね。
あ、そーだ。折角だし安い家買ってそっちにまずは住まわせてみよ。雑魚寝だけど問題無いよね?
とりあえずレコール君には悪いんだけどそっちの家で皆の面倒見て貰おう。
食事係として最近料理の腕が上がりつつあるララーレとリックルをフォロー要員にして、あとは家からメイドさん二人ほど連れてくれば問題はあるまい。
まずはもう一回ここに来るから一時間程待ってと告げておき、急ぎ商業ギルドへ。空き家で前にちょっと買いたかった郊外近くの屋敷を買い取る。
幽霊屋敷みたいだけど問題無し無し。
私は一先ず子供たちの元へ引き返し、子供たちを引き連れ屋敷へ向う。
うわーお、なんかすっごく怖いな。
とりあえず敷地内と外を分ける魔力結界を張って、子供たちには外には出ないようにと告げておく。
一緒に屋敷に入って一先ず休ませる。
食事を持ってくる事を告げて一旦お暇。
レコール君たちを連れて戻って来る。
いやー、さすがに大盛況の店からレコール君引き抜くのはちょっと怖いけど、暇してたライリーたちが呼び込みや最後尾看板係の方に回ってくれたので問題はなくなった。リリンさんがレコールの代わりしてくれるからなんとかなりそう。
レコール君達にはしばらくこっちでの生活をお願いし、子供たちの食事を作って貰う。
その間に私はお風呂関連を魔法で増設。
適当に作ったけど温泉としてなら普通に使えそうだなぁ。いや、一回限りかな。さすがに即席だしボイラー無いから皆の身体洗うだけで終わりそう。
メイドさんやレコール君達と必死に浮浪児たちを丸洗いしていく。
私は魔法があるから魔力消費するだけで疲れも無い。
何人か変な虫が無数にくっついてたのでリフレッシュしていただいた。
さすがにアレを丸洗いしたら感染しそうだったし。
あと、多分だけど恙虫っぽいのを身体に飼ってる子がいたから駆除っちゃったけど、ペットだった? え、知らない? 怖い? んじゃ殲滅で。
お風呂を終えたら適当な部屋を決めて貰って休んで貰う。
メイドさんたちは悪いけど居残ってもしもの場合に備えて貰おう。
あと影の人も一人残っておいてね。なんか不穏な子供が何人かいるから。ヤバそうだったら追い出すかんじで処理をお願い。
しっかし、浮浪児だけでも結構いたなぁ。他にもいちゃったりするんだろうか?
場所変えていろいろ募集して行くしかないなぁ。
ま、当分はこんだけのメンバー居れば問題ないかな。
んで、一旦店の方に顔を出して閉店まで働く。
五時頃になったら後片付けして家へと帰る。
そしてリオネル様の隣で食事を取って、一日を終えてまた明日。
店の開店を手伝ってから新しい子供たちの元へと向ってみれば……
うん? 困ったんだよ?
えーと、メイドさん、どゆこと?
はぁ、成る程。皆一緒に出て行ったと、ふーん。じゃ、仕方ないね。既に目印は付けてるからもう誘わないんだよ。
んじゃー次はあっちの子たちを募集してみるか。
カリバルが知り合いに愚痴って私が人の補充に来たら一日だけ利用して全員連れ出せって命令受けてたらしいんだよ。うんなんかイラッとしたから見付けたら徹底的に潰しておこう。
それから私は適当な路地裏に入る。
浮浪者とか厳ついお兄さんが絡んで来たのでちょっとしたイライラをぶつけて浮気撲滅断罪拳が火を噴いちゃったりなんかしちゃったりして数人の男性が女性になった気がするけど、まぁ御気になさらずに。
集めた子供たちの中に数人勝手に出て行った奴がまぎれていたので、アレは徹底的に潰しておくことにしよう。
まずはマーキングしてある子供だけは結界で弾かれるようにして再びボロ邸宅へと向う。
すると、敷地内に入る寸前で弾かれた五人の少年たち。
ちょっと顔が柄悪いですよと主張してる奴らだったので皆の前でしっかりと教えてやった。
一度出た貴方たちは絶対に雇われることは無いって。
他の子供達も私の言ってたここから出たらもう二度と雇われないってことを理解してくれたらしく、今回の二十人の少年少女はちゃんと居残ってお仕事頑張ってくれそうだった。やっぱり論より証拠実際に入れない子がいた方が伝えやすくて助かるね。サクラ役御苦労。
んで、家の前で罵声浴びせてくれたガキ共は衛兵呼んで捕まえて貰った。貴族に罵声浴びせたって身分明かして告げておいたから、まぁ手酷く扱われるんだろうね。知らんがな。
自業自得だって諦めなさ……あれ? なんかこの行動、ロゼッタみたいな気が……
あ、いや。私は確かにロゼッタだけど、なんか今の、ゲームの悪役令嬢が取る行動みたいだったような……?
私、こんな性格だったっけ? なんだか知らないうちに、悪女に向かって全力疾走してない? 困ったんだよ!?