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1832話、ツイテル、ヘルツヴァルデ防衛線2

SIDE:ツイテル


 ヘルツヴァルデ防衛線は、今のところ問題はない。

 他の国では突出していく他国の兵に苦戦させられているそうだが、この国周辺の兵士たちはむしろアルベールさんやヘロテスさんの指示をよく聞いて、軍隊長たちの指示で小型強化兵たちを各個撃破していっている。


 おかげでライオネル兵たちもフォローに回らなくていいので即行で中型強化兵を撃破して次の強化兵へ、と向かっていけている。

 かくいう我々もまた、中型強化兵を一体撃破したところである。


 こいつら、実力的にはそこまで強くはないのだが、再生力が高いせいで無駄に面倒くさい。

 一体を倒し切るまでにかなりの時間がかかるため、できるなら大型強化兵が来る前に中型は全て撃破しておきたいところだ。


「プリムローズ、次を頼む」


「はいよ、次はアレ行って見ましょ!」


 妻になってくれただけでなく、わざわざライオネル軍に身を寄せ、常に一緒に居てくれるプリムローズ。

 彼女の魔法により、飛行型強化兵が一体、落下してくる。

 落下の衝撃で動きの悪い個体へと盾を落として頭蓋を叩き割り、再生する前に全身を粉々に砕いていく。


「ふぅ、もう少し効率を良くしたいところだが……」


「姐さん、こっちにも一体ください!」


「あいよー」


 近くのライオネル兵たちも、中型を撃破すると、おかわりを所望。

 プリムローズが魔法で飛行型を撃墜し、落下してきた中型をライオネル兵たちがトドメを刺していく。

 プリムローズ以外にも魔法部隊や弓部隊が飛行型を落として近くのライオネル兵たちがトドメを刺す、を繰り返しているのだが、さすがに中型の数が多く、波状攻撃気味の中型相手に手一杯。


 相手の残存戦力を鑑みても、まだまだマギアクロフト軍は余裕があるらしい。

 大型強化兵が一体も出て来てないのがその証拠。

 我々はまだ遊ばれている段階なのだ。


 っと、別の国で戦っているライオネル兵たちから念話が届く。

 どうやら中型強化兵の撃破方法を考えてくれたようだ。

 細かく砕いてその部分を確実に消失させるのか。


 再生させる前に潰していくわけだな。

 プリムローズと視線を合わせると、こちらの強化兵を少しずつ焼失させていくプリムローズ。

 うん、確かに効率が上がった。


「これなら十分いけそうだ」


「あとは巨大強化兵が出てくる前にどれだけ潰せるかだな」


「それは、ちょっと難しいかもしれないわね」


 どういう……おいおい、マジか?

 せっかく中型の撃破速度が速まったとたんだ。大型が動き出すのが見える。

 つまり、マギアクロフト側もまた本腰を入れ始めて来た、という訳だ。


 今までは自分たちよりも弱い、あるいは同等のレベル帯強化兵ばかりだった。

 ここから先はさらなる脅威の襲撃だ。

 ライオネル兵がそちらに向かえば、中型の相手が居なくなる。


「全軍そのまま聞いてくれ! 総大将より各位へ! これより大型強化兵との激戦に入る! ライオネル兵はほぼそちらに取られる。すなわち、中型強化兵、小型強化兵の相手を他国の皆にしていただきたい。ライオネル兵たちの動きを見ていたはずだ。同じようにしろ、とは言わん。何人もで一体を撃破すると考えて動いてほしい。敵はとても強力で倒したと思っても再生してくる。そして長く一体に囚われ続ければ、小型強化兵を見逃しかねない。ここから先は今までよりも苛酷になる。我々も戦場に参加するため各自近くの上司の指示に従い適時的確に動け! いいか、一番最優先すべきことはお前たちの背後に敵を一兵たりとも向かわせないことだ」


 正直言えば、他国の兵士たちの士気はこの言葉で下がった。

 なぜなら今まで自分たちを紙のようにあしらっていた中型強化兵たちと戦えと言われたのだ。

 いくらライオネル兵が撃破しているからとはいえ、自分たちを痛めつけたような危険生物相手に自分たちだけで戦え、というのは酷だろう。

 しかし、やって貰わなければならない。ここが肝なのだ。

 彼らの頑張りがヘルツヴァルデの守りに直結しているのだ。


「恐れるな。今までの君たちとは違う。実力自体は一緒だが、すでに戦えるだけの力はあるのだ。レベルは皆9999だろう? ライオネル兵も同等だ。彼らが中型を倒していたのは見ているだろう。つまりやり方さえ分かっていればお前たちも倒せる。覚悟を決めろ。一人きりで倒そうなどと思うな。仲間を信じろ、連携しろ、お前たちは、マギアクロフト強化兵にだって負けることは無いと理解してくれ!」


「ツイテル、大型が来たわ!」


 身の丈は3メートル越え。異様な危険生物が我々の前へと現れる。

 中型よりなお大きい強化兵。

 筋力量も同じ分強く、そして、知能も高い。


「ぐぬぅ!?」


 ノーモーションからの縮地、そして抜刀されたような速さで繰り出された拳。

 ぎりぎり盾で受け止めるが、衝撃を受けきれず大地が陥没する。


「ツイテル!」


「ま、まだまだァ!!」


 足元を起点としたクレーターがさらに陥没したところで、拳が離れた。

 すぐさま次の拳が撃ち込まれそうになるが、その時には相手へと踏み込みシールドバッシュ。

 ぐぅ、動かん!?


 思いきり体当たりをしたのだが、微動だにしない大型強化兵。

 ダメだと分かった瞬間身を引いてバックステップしたが、少しでも遅れていれば拳に頭を割られていたかもしれない。

 これは確かに、一筋縄ではいかないようだ。

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