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1825話、フェイル、ライオネル防衛線1

SIDE:フェイル


 ライオネル王国周辺に、無数の強化兵が押し寄せる。

 正直言えば怖い。

 何しろライオネル王国を埋め尽くさん勢いで四方八方に強化兵たちが押し寄せているのだ。

 彼らの向こうにある国々がどうなったかなど想像したくもない。


 とはいえ、彼らの国には人はおらず、全てライオネル国に逃げ込んでいる。

 今回はキーリ嬢が封印されていたダンジョンを開放し、避難民を階層ごとに分けて収容させて貰っている。

 そのためダンジョン内には魔物が一切出現しない状態になっていた。

 いや、最下層の方はいつも通り魔物が湧いており、頭のおかしい破滅主義者などがダンジョンを破壊してしまわないようにはしているのだが。臨時で高レベルの魔物を闊歩させているのでここのダンジョン核が何とも言えない顔をしていたのを思い出す。


 竜の谷ダンジョンのダンジョン核が生み出した魔物をこっちに連れてきてボス役やらせているのだとか。

 レベリングのせいでここの魔物では倒されかねない人間が多くなったからだな。

 ま、それはどうでもいい。


 ライオネル周辺国の兵はお嬢の影響もあり、ライオネル兵と組ませても十分機能する練度を持っている。

 おかげで私が何かしら指示し続ける必要はなく、各軍団長任せで十分撃退出来ているようだ。

 数の多い小型強化兵に交じって襲い掛かって来る中型強化兵も、難なく撃破しているが、ぽつぽつと出てくる大型強化兵を複数の兵士たちが怒号飛ばして互いに指示し合いながら撃退している。


 互いに指示をしているのに皆動きが的確なので二つの場所から同時に別の指示が飛んでもしっかりと対応してくれていた。

 他国の部隊長とライオネルの部隊長だと判断がたまに違ったりするのだ。

 ま、一瞬迷いはでるのだろうが、思考回路も早くなっているのだろう。即断即決でライオネル側の主張と取ることが多い。

 どっちの指示でも問題はない状況なので今のところは問題になってはいないな。


 しかし、念話で連絡を取っている各地の戦闘状況はまだ中型がちらほら出て来たくらいだと聞いているんだが……ライオネルだけおかしくないか?

 普通に大型強化兵が出てきているんだが。


「フェイル総司令官、超巨大強化兵動き出しました!」


「しかも一番デカいのじゃないか、早期決着でも付ける気か!?」


「フェイル総司令官、国王陛下から連絡、アレは父上に任せた、と」


 父上? エリオット王の父といえばグランザム元王だが……


「今玉座にグランザム前王が着座し、エリオット王はここへ向かい移動中にございます」


 国王自ら前に出るつも……あっ。

 ライオネル城から砲塔が生まれ、超巨大強化兵へと照準が合わされる。

 いつか見た波動砲。それが迷うことなく放たれた。


 巨大強化兵も、まさか城自ら攻撃してくるとは想定していなかったようで、真正面から激突する。

 波動砲は巨大強化兵の上半身を吹き飛ばし、真後ろにあった森に巨大な丸い空洞を開け、さらに遥か遠くの山へと激突していたようだ。

 どこまで行くのかは知らんが、お嬢、やり過ぎじゃないか?


「巨大強化兵再生開始!」


「今のうちに大規模魔法で撃破しまくれ!」


「セルドバレー、アレはお前たちに任せる!」


「嘘だろ!? はぁ、仕方ない。ヘイデン、カラード、さっさと片付ける、着いてこい」


「マーカム隊、パッサム隊、魔法であの巨大強化兵を足止めしておいてくれ」


「了解ですフェイル隊長! あ。総司令官!」


 ったく、まだ私が隊長だった頃のことが抜けないのか、たまに間違うよな、お前たちは。


「フェイル、戦況はどう?」


 彼らを送り出した私に、リオネル様が話しかけてきた。

 エリオット王も近くまで来たようで、兄弟そろって戦況確認に来たようだ。


「全周囲から攻められております。他国はまだ中型が少し出て来たところですが、我が国への侵攻は見ての通り、中型兵が中心に、大型兵がちらほらと。そしてあちらの超巨大強化兵が一体接近中です」


「アレが町壁に近づいてくると面倒だな」


「ええ。壁が簡単に崩されるとは思いませんが、乗り越えられると城下町に被害が出ます」


 それと、と視線を空へと向ける。


「弓部隊が対応していますが、強化兵の一部が羽を生やし飛行しています。あれらが移動を始めると趨勢は直ぐに変化するかと」


「方法はあるのか?」


「お嬢の話では玉座にその辺りの対策は組み込んである、と」


「そうか。あちらは父上と元宰相に任せた。今元宰相が説明書を熟読しながら父上にボタンを押す指示を出しているところだ」


 元国王に何やらせてんだこの王様は……

 あ、ライオネル城から何か飛んできた。

 あれは……ああ、お嬢が楽しそうに話していた誘導式ミサイルポッドか。


 飛行型強化兵の近場迄向かい、破裂したミサイルポッドから無数のミサイルが放出。

 まるで花火大会でも始まったかのように飛行型強化兵が爆破され始めたのだった。

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