表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1822/1857

1807話、???、戦いの始まり・親竜共和国

SIDE:???


「ほっほーぅ、壮観だなルギアス!」


「あまり身を乗り出してはなりませんメテオラ様っ」


「これ、今はお前の方が王だろう! 私のことは呼び捨てだ。ほれ、もう一回」


「むぅ。め、メテオラ……」


 なぜか様を付けないだけで顔を赤らめる厳つい男。

 そしてそれを見て悪戯な笑みを浮かべる小悪魔な女性を見ながら、俺はため息を吐く。

 ったくよぉ。本来ここはネイサンが来るはずだったんだぜ。


 守りの城壁も少ねぇから元帥のあいつが一番候補に挙がってたんだ。

 お嬢がナゲキノカルマに魔族纏めたせいでそっちの取りまとめが必要になってあいつが向かうことになっちまった。

 おかげでバカップルの御守りだよ、あー、冬の砦に戻って砦の上から雪にダイブしてぇ。

 あれ結構ストレス解消になんだよな。

 

「ほれ、そこの山賊顔。そろそろではないのか? 兵士どもが待っておるぞ」


 親竜共和国へと集まった国々の兵士たちが俺たちの眼下に集っている。

 ったく、なんで俺がリーダーやらねぇとならねぇんだよ。

 砦のリーダーだけで充分だって。こんな大勢の多国籍軍率いろとか無謀だって。


 一応フォロー要員としてバルガスがいるけどよ、このバカップルの姿見たくないからってあの野郎ライオネル軍として集まってる兵士たちに紛れ込みやがった。後で〆る。


「つか国王さんよ。普通こういうのって国王が号令すんじゃねーんすか? あとこの国の軍司令官とか」


「すまないがほぼ廃墟だった我が軍に猛将はおらんのだ。かといって私が号令をするのもな。君の方が発破の掛け方は上手いだろう? ライオネル式の掛け声は気合が入ると聞いているぞ?」


 誰だそんなこと吹き込んだ馬鹿野郎は。


「俺ぁ育ちの悪いおっさんだぜ? そっちの嬢ちゃんが言う様に山賊みたいな言い方になっちまう。それでもいいならやってみるがよ、この国の王であるあんたがやった方がいいと思うんだが……ああいや、その態度だと俺に言わす気満々だな。了解」


「よろしく頼む」


 はぁ。お嬢のせいでなんか大事になっちまったなぁ。

 ほんと、思えば遠くに来たもんだ。

 砦守る程度の暮らしが今までの常道だったのによぉ。


「全軍傾聴! 親竜共和国国王ルギアス王より、この軍の総大将を任されたぁ! ライオネル王国軍所属、大将バンディッシュ=グルームサイズだ!」


 風魔法を使って全軍にしっかり声が届くようにして、町壁の上から彼らに告げる。

 さぁって、ライオネルに恥じない戦争開始の文句を告げねぇとな。


「ここに集まってるのは親竜共和国周辺の国々、その兵士たちだ。お前らがここに集まった理由は分かってるか? まぁ言うまでもねぇとは思うが、祖国から避難して来た一般人を守る為。同じく避難して来た貴族や王族を守る為だ」


 っと、すでに遠目にヤベェのが見えたぞ。

 さっさと前口上終わらせて戦闘準備しねぇと。


「避難した理由はマギアクロフトが全世界向けて侵攻宣言を行ったせいだ。平和に暮らしていた俺たちに、突如侵略行為を開始したクソ野郎だ。そんなクソ野郎の思い通りに祖国を奪われるなんて許せるか? 無抵抗な一般人が虐殺されるのを黙って見ていられるか? クソ野郎の軍が祖国を土足で踏み荒らし、我が領地だ。お前たちは今日から我が国の奴隷だ。そんな戯言を素直に聞けるか? いいやムリだ。そんなクソ野郎の野望なんざ叶えてたまるか。俺たちの手でそんな野望は阻止してやろうぜ! 俺たち全員で祖国を、民を、守るんだ。俺たちの背後には彼らがいる。だから絶対に奴らを抜かせるな!」


 奪いに来るなら。奪い返してやれ! 自国を守って相手の国の重要なもん全部奪い尽くして、もう二度とやりませんと土下座してくるまで徹底的にぶっ潰せばいい。

 俺たちの国に仕掛けてきたんだ。そうされてもいいってことだろ?

 攻撃仕掛けるクソ野郎は、攻撃されるってことを覚悟して貰わねぇとよ。


「俺らは祖国の剣だ! 俺らは祖国の盾だ! 俺たちの背には国が、民が、家族がいるんだ! 肝に命じろ野郎共! お前らが戦わねぇとお前らの背後でお前らの安否を祈る大切な奴らが殺される! 相手がどれだけヤベェ奴だろうが、逃げたくなろうが、楽になりたくなろうが、歯を食いしばって立ち向かえ! 全員揃って凱旋すっぞ! お前たちを守ったのは俺たちだと胸張って大切な奴の元へ戻るために!!」


 剣を引き抜き、遥か遠く、親竜共和国向けて徐々に近づくマギアクロフトの軍勢へと剣を向ける。


「剣を取れ! 立ち上がれ! この国を守り切るのは俺たち一人一人だと覚悟を決めろ!!」


 すぅっと息を吸い、最後の言葉を思いきり吐き出す。


「勝つぞ野郎共! 死に物狂いで生き残れっ!!」


 鬨の声が鳴り響く。

 声だけだというのに気圧されるほど、大気が震える。


「くふふ、いいないいな。天竜討伐に向かう父上たちのようだ」


「メテオラ様、それはちょっと、その、縁起でもないですぞ」


「メテオラ、だろルギアス。っと、そうか、父上たち天竜に負けたんだったな」


 おい、マジで縁起でもねぇじゃねぇか!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ