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1793話、ロゼッタ、アローライズ魔王国

「アローライズ魔王国ねぇ」


 確かアルラウネ系の魔物が王様やってる場所だっけ?

 妖精とかが住んでるとは聞いたことあるんだけど、一回転移登録の為に素通りしたくらいだなぁ。

 あそこに行けばいいの?


「私たちは王城から会議に呼ばれてるので今から向かいます。ロゼッタさんは一旦アローライズ魔王国に立ち寄って端末体? を迎えに行ってください。おそらく会議の際に居た方が良いかと思いますので」


 はぁ……よくわからないけど、その端末体さんが何かしら必要なのね。

 転移使えばすぐだからいいんだけどさ。


「では、私たちは会議に向かいますね」


 聖女たちまで動員するとか、本格的に国家的な会議をするつもりみたいだねエリオット王は。

 地下室から出た私は早速アローライズ魔王国へと転移を行う。

 さて、一体何が待っているのやら……


 転移を使って上空へ。

 ぱっと出た眼下に広がるのは、巨大な密林地帯。

 その中央部に、ぽっかりと穴が開くようにして色とりどりの花が咲き乱れている場所がある。

 あそこが今回目的地となるアローライズ魔王国だ。

 基本ここの魔王国は家がない。

 妖精たちは木々に止まったりして休んでいるらしいし、植物系魔物が多いので綺麗な花畑に見えて魔物がひしめく危険地帯だったりするのである。

 んー、ヴァルトラッセ一体位連れてくればよかったかな。


「よいしょっと」


 結界を反射から無効に切り替え、花畑の真上くらいに着地。いや、地に足付けてないから着空?

 ざわざわと小さなささやきがいくつも聞こえてくる。

 おそらく妖精たちだろう。

 ふわりふわりと光の球がいくつも浮かび上がってくる。


「おっと失敬。女神様に言われて来たんだよ。魔王さんはいずこ?」


 っと、ダメよ。いたずらしようとして近づいて来た妖精が無効化結界に阻まれ困惑している。

 ふっふっふ。残念でしたー。

 しばらく周囲を飛び回り、私が対策済みだと理解した妖精たちは見せつけるようにあっかんべーして去っていく。

 いや、去るな!? アローライズの魔王さんどこー?


 妖精たちは私を遠巻きに見ているし、他に魔物らしき姿もない。

 いや、花の一部に擬態した魔物がいるようだけど、一切動く気配がない。

 おそらく意思疎通出来ないタイプの妖精を捕食する奴だろう。


 後の魔物たちは森の中かな。

 息を潜めている気配がいくつも存在している。

 魔王もおそらくだけど私の到来を知って隠れ様子を見ているんだろう。

 と、なると……


 アローライズの魔王出ておいでー。出ないとお花を焼き討つぞー。


「ちょっと!? どんな脅しよ!」


 お、いたいた。姿は見えないけど声で場所も特定できたんだよ。

 結構近くに居たんだね。他の魔物が近くに沢山いるからわからなかったんだよ。

 もう少し離れてればこんなことせずともわかったんだけどなぁ。


 森の奥から触手が飛んで来る。

 緑色の茨だったけれど、私に巻き付く手前でとどまってしまう。

 避けても良かったけど脅威ではなかったのでその場に佇んだままになっておく。


「むっ?」


「無効化結界張ってますんで、そういうの効かないですよ」


「そう。で、何の用かしら!」


 かなり警戒されているようで姿すら見せずにソイツは威嚇してくる。

 んー、完全に死角になってるなぁ。相手の姿見えないや。

 私の眼で見えないってことは隠れてるというよりも視界に映る箇所にはいないとみていいだろう。

 多分木の後ろとかだな。


 まぁいいや、下手に警戒させ過ぎて敵対されても面倒だし。

 これから会議があるから時間も惜しい。

 さっさと端末体とやらを受け渡していただこう。

 ただ、兄神さんが見てる可能性あるから端末体とか伝えちゃうのはマズいよね。えーっとどういえばいいかな?


「聖女アルマティエからえーっとここに迎えに行けと言われたんだよ。兄神には知られたくないんだよね?」


 お、ようやく蔦が戻っていった。

 どうやら警戒解いて貰えたようだ。

 これで話ができる。さて端末体は受け取らせて貰えるかなーっと。


「……ああ、ようやく来たのね。こいつの周囲だと向こうの神に見えないらしいからさっさと連れて行きなさい。全く言葉が通じないって苦痛よね。ほら、行きなさいよ!」


 と、森の奥から押し出されるように何かがやって来た。

 それは……緑色の肌を持つ少女だった。

 全裸に見えるが隠すべき場所を蔦で隠しており、深緑の髪の上には、風にそよぐ双葉が生えていた。


「おっ!」


 元気に手を上げ挨拶してくる幼い少女。これが、端末体?


「えーっと、端末体? のアルセデアルだっけ? という名前らしいわ」


 はぁ。

 私の元へやって来た元気な少女にもう一度視線を向ける。


「お?」


 どうしたの? と小首をかしげる緑の少女。

 可愛いけど、これ、本当に端末体でいいの? っていうか端末体って人、じゃなかった魔族だったの!?

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