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1788話、ロゼ、絶望は唐突に

SIDE:ロゼ


「ロゼッタ!」


 それは唐突に、空より来る。

 重量物は落下と同時に拳を振り降ろし、間抜けな顔で見上げたロゼッタに拳を振り降ろした。

 結界にぶち当たったことで少しずれたものの、横への動きを加えることで修正。

 反射結界十連全てを粉砕し、血だらけの拳をロゼッタの側面から打ち込んだ。


 おそらく、反射結界が弾くだろう、と慢心していた馬鹿なロゼッタは、無防備にその一撃を喰らっていた。

 空気の層をいくつも破壊し、遥か彼方に突き飛ばされる人体。

 並みの人間ならあの一撃で消し炭になっていてもおかしくはない。

 そんな一撃を馬鹿正直に食らうとか、あいつ馬鹿なの!?


「キーリ、動きを止めて!」


「え、あ、了解や!」


 一瞬呆けていた邪神も私の言葉で慌てて動き出す。

 即座に降って来たバケモノを触手で拘束する。

 が、腕力に物を言わせて強引に引きちぎるバケモノ。


 ええい、キーリの触手が時間稼ぎにならないなんてっ!

 一般人に被害が出る前に、私が突撃してタゲ取りをしておく。

 くっ、最高硬度の剣を受け止めるとか何なのよこいつ!?


 相手を見る。

 マギアクロフトの強化兵だ。

 元々の人体を無理矢理強化し続けた結果、全身がありえないくらいに膨れ上がった姿になってしまった筋肉達磨。

 体長は2メートルいや、3メートル……まではなさそうね。じゃあ間取って2メートル50センチくらい。

 

「るああああああああああああッ」


「うるさいっての!」


 剣を握り潰そうとしてきたので相手の腕を蹴りつけ剣と共に距離を取る。

 ちょっとロゼッタ。これ最新の硬度持ってるのよね。曲がってるんだけど!?

 あいつどんな腕力してんのよ!

 

 ええい、ロゼリアソードだかなんだったか忘れたけど、この剣無数に使い潰すつもりでやるしかないわね。

 曲がった剣をその辺に投げ捨て、共同アイテムボックスから新しい剣を引っ掴む。


「ええい、止まれや!」


 キーリってば邪神よね。なんで相手の足止めにもなってないのよ! 仮にも神名乗ってるんだからバケモノ相手に無双位しなさいよ! 


「ごぉぉぉるぉぉぉぉずッ!!」


「うるさいって言ってんでしょうが!」


 剣で切りつけると裂傷はできるが、すぐに塞がる。

 超速再生とかマジウザい!


「何ぼさっとしてんのヌーデット! レオンハート! さっさと国に退避なさい!」


「あ、で、でも……」


「何か、手伝いが……」


 ああもう、何で私が戦いもこいつらの世話もやらなきゃいけないのよ! さっさと起きろロゼッタ!


「分かるでしょっ、ロゼッタが吹っ飛んだのよ! あんたたちが参戦できる奴じゃない! 足手まといだって言ってんのよ!」


「国の前方更地になる覚悟したってぇ! 退避や退避! 急ぎぃ!!」


 キーリも拘束を続けながら直接攻撃に向かうらしい。

 珍しく武器を手にして走り寄る。


「キーリ!」


「ひえぇ!? ラリアットかいな!?」


 デカブツのくせに動きが速い。

 私もキーリもレベルはカンストしてんのに、こいつの動きについていけてない!?

 まさかこいつ、人間のレベル限界値、越えてる!?


「どんだけ再生力強いのよ!」


 さっきから何分割もしてるのに、すぐにくっつく。

 さっきコパたちから連絡来てたけど、まさかあいつらもコレと戦ったわけ!?

 つまり、勝てない訳じゃないってことよね。


 あいつらが、多分私たちの数倍の数いて、レベルは同じ9999。そのうえであいつらは回復アイテム全部使い果たしてギリギリの勝利。

 勝てる? 私とキーリだけで?

 無茶振りにもほどがあるわよ! なんなのよこの生物!


「くたばれ!」


「がああああああああああああ!!」


 切り裂かれるの覚悟で拳を放ってくる。

 油断すると結界がぱりぱりと割り砕かれていく。

 無効化や反射結界がまったく意味を成してない。


 さすがに結界である以上、一定以上のダメージで粉砕されてしまうのだけど、どれだけ凶悪な腕力してんのよ!?

 今の結界硬度からしてレベル9999に上がったバハムティルウスの渾身の一撃くらいなら余裕で跳ね返せるのよ!

 つまりこいつの一撃はそれを上回る。

 人体でまともに食らったらいくらレベルカンストしてても致命傷かも。


 打ち込まれた拳に飛び乗り、頭を狙う。

 どんなに強力でも人体なら脳を壊せば……

 逆の腕を伸ばしてきたので伸身宙返りで華麗に飛び退き強化兵の頭をサイコロサイズに寸断してやる。

 これで、死ね!


「があぁああああああああああああ!!」

 

「うっそだぁ?」


 着地と同時に背後から迫る拳をサイドステップで躱す。

 振り向いて相手を見れば、角切りされたはずの頭部は超速再生のせいですぐにくっついていて切り口すらも見当たらない。

 再生力が高すぎて脳を切っても死亡するより早く戻ってしまうらしい。


「つくづくバケモノね……人の身でこんなモノ作れるわけもないし、あの野郎、一線超えたわね」


 まったく、私ただの悪役令嬢なのだけど、なんでこんなバトルマンガの絶望的戦闘に駆り出されてるのかしら? 嫌になるわ。

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