表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1801/1857

1787話、ロゼッタ、悪意の襲撃

「お世話になりました、お嬢し……ロゼッタ様」


 本日、ようやくクライトラント王族から解放された私たちは、クライトラント町門前で主要メンバーとの別れを行っていた。

 ライオネルに向かうのは私とロゼ、キーリの三人。

 挨拶に来てくれたのはヌーデットとレオンハート君。その婚約者となったメンバー全員。

 いや、まさか全員来るとは思わなかったんだよ。


 さらに主人公君とオルライン嬢、兵士長以下兵士たち、王子と宰相、の代わりに代理としてやって来た近衛兵のおっちゃん。

 王子や宰相も来ようとしてたらしいんだけど、国政投げ出すのもどうなの、と王たちに怒られたようで、というかこれ以上ライオネルと関わって変なことするな、と釘刺されたようで今回はお留守番になったようだ。


「ロゼッタさん。ウチの兄がご迷惑をかけたようで、あなたにはレオンハートと婚約するきっかけを作ってくれたお礼もあるというのに、嘆かわしい限りです」


「ユーデット王女、レオンハート君の側室なんか一杯になっちゃってごめんなさいね。でも貴女の幸せを祈ってます」


「ふふ、ありがとう。結婚式には来てくださいますか? 必ず招待状を送りますわ」


「ええ、よほどのことがない限りは必ず出席いたします」


 ヌーデットやレオンハート君からも送られてくるだろうしね。参加するに決まってる。


「ロゼッタ嬢……」


 ユーデット王女の挨拶が終ると、レオンハート君が近づいてくる。

 挨拶、なぜかヌーデットが一番だったけど、王族先じゃなくてよかったの?


「僕の頼みでわざわざクライトラントまで来てくれたのに、最後の最後でなんかその、すまなかった」


「いえ、結果的にはヌーデットも守れたわけですし。あ、そういえば今後の危険は?」


「母とその近辺の危険人物は軒並み捕縛済みだよ。父ももう僕らに関わる気はないらしく領地の方で療養という名の軟禁を受け入れた。ヌーデットを狙う奴はもう、いな……一人居たな」


 ああ、あの伯爵令嬢。まだあきらめてないんだ。


「ま、ヌーデットを百合の世界に送り込む気はさらさらない。最悪僕自身で身請けするつもりだ」


「お、お兄様!?」


 な、なんと、そう来たか……シスコンここに極まれり。

 返事は、まぁ聞かないでおこう。あとはヌーデットたち次第であって私は関わり合いない訳だし。

 それから先はレオンハート君の婚約者たちとの簡単な挨拶。

 全員私とヌーデットのおかげでレオンハート君の側室入りしたから感謝を表したいらしい。


「あー、ロゼッタ嬢?」


 最後に、近衛兵のおっちゃんがきまり悪そうに近づいてくる。


「ごきげんよう」


「えーっとその、俺の言葉じゃないんだが、王子と宰相殿から、今後ともクライトラントをよろしく、我が国はライオネルと友好国であり続けたい、しかと、しかと国王陛下に伝えてほしい、とのことだ」


「お仕事お疲れ様ですわ、おほほほほほ」


 伝えはするけど物のついでくらいの軽い口調で告げてやるんだよ。


「ロゼッタ。そろそろ帰りましょ」


「なー、ロゼはん、なんで馬車なん?」


「仕方ないでしょクライトラント王からわざわざ安全確保のために送らせてほしいとか言ってきたんだから。転移なら一瞬なのにね」


 こっからしばし馬車で帰ることになった。王様がぜひに、と手配したのだ。

 一応王様からの心遣いなので無碍にすると問題になる。

 乗らない訳には行かないのが面倒なのである。


「ほら、キーリさっさと乗りなさい、後が閊えてるのよ」


「ロゼはん先に乗ったらええやんかー。ウチ主はんと一緒に乗りたいんよ」


「ったく、ほらロゼッタ。さっさと来なさい、キーリが待ってるわよ」


「主はーん、膝枕してもええー? 甘えたモードやのんっ」


 なんだその甘えたモードって?

 たまにキーリが意味不明な珍生物になってしまうんだけど、育成間違えたかなぁ?

 小首をかしげつつ二人の待つ馬車へと向かう。


 っと、なんだ? 念話来た?

 随分と雑な念話だなぁ、どこの誰だぁ?


―― ザ……ザザ……う、お嬢っ! よし、繋がった! お嬢緊急連絡ですっ、グラハム隊、指定国家探索中にマギアクロフト強化兵襲撃、その、部隊壊滅、しました ――


 ……は? 部隊壊滅? え? どゆこと?


―― コパです。グラハムの話じゃヤバそうなので訂正、俺らの部隊は壊滅的打撃を受けつつ敵性生物の撃破に成功。死者は、ゼロ、霊薬の在庫もゼロです。これ以上敵と遭遇すると確実に誰か死ぬんで一旦ライオネルに帰投します ――


 ちょ、まっ。情報が……

 嘘でしょ!? グラハムとコパの部隊が壊滅? 霊薬ゼロってどんだけ使ったのよ!? 万は在庫持ってたよね!?


「主はんっ!」


 キーリの声にはっとした。

 真上から何か重量物が降って来る。

 顔をあげたその先に、拳を振り下ろそうとするマギアクロフト強化兵。


 視線が交錯する。

 拳が振り降ろされる。

 反射結界十連が反応し……


 パキパキパキ……


 嘘、壊れ……


 次の瞬間、強い衝撃が私を襲った――――

明日の投稿は人物紹介のみを予定しています<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>「ま、ヌーデットを百合の世界に送り込む気はさらさらない。最悪僕自身で身請けするつもりだ」  身請けは絶対にアカン。  身請けしたら「義妹と義姉なんだから、素直にお義姉(ねえ)さまと言ってくれ」とか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ