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166話・ロゼッタ、売るモノなんにしよう?

「さて、では皆さん、本日の授業は……売り出す商品について話し合いしましょう!」


「売り出す商品?」


 授業開始から数日。

 計算もそれなりに出来るようになった子供たちには次のステップに進んで貰おうと思うのですよ。

 チェルシー以外は売り買いの基本も出来て来たし。

 なんでチェルシーはあそこまで失敗するんだろ。というか、今までどうやって生活してたの? 買い物するだけなんだよ? まぁ、トラブル発生時の対処としては反面教師として最適か。

 なんかこう、別の要因がありそうだね。

 一応ギルドが自信を持って紹介した訳だし、本来はそつなく仕事がこなせる程度の実力はある筈なんだけど? もしかしてワザとか? さすがにそれはないか。


「さて、一応売り出す商品をいくつか用意したわ。これはあくまで候補でしかないから皆売り出すモノは皆で決めて行きなさい。ああ、安心していいんだよ。この商品は選ばれなくても気が向いたら出す予定ではあるから。自分で売ってみたい商品があれば提案してもいいんだよ」


「それって、何か意味があるんですか?」


「売るモノってオーナーが決めればいいんじゃねーの?」


「そういうことじゃなくてね。これも授業の一環です。皆で決めて一つの何かを売りだす。そうなると、それが売れると嬉しいと思わない? 逆に売れなかったら何故売れないか考えられるし。つまり、これは皆のプレゼン力を鍛える授業なのだよ」


「いや、お嬢、さすがにまだ子供たちにゃ無理じゃねーかな。俺でもあんましよくわかってねーし」


「そっか、うーん。どうするものかって言うと皆で会議を開いて今日はどの商品に力を入れて売るかっていうディスカッションしたかったんだけどなぁ。まぁ、ちょっとやるだけやってみよ?」


 全員強制参加でまずは売りだすモノを三つ用意。


「ではまず候補一つ目。商品名はマヨネーズです。だちょなさんにお願いしてなんとか手に入れた卵とお酢、そしてオリーブっぽいのから絞った油で作ってみたよ。キーリが」


「主さん酷いんや。なんなんあれ? 延々(えんえん)一定速度で混ぜろとか、拷問やない」


 マヨネーズ作りは拷問なんだよ。とりあえず早急にマヨネーズ量産出来る自動生成装置を作らないと腱鞘炎で皆の腕が死んでしまう。


「これはなに?」


「黄色いどろっとしたの? んー? 味が薄いよ?」


 味を濃くするならもっと混ぜなきゃなんだよ。キーリお願……無理だな。


「用途はサラダに掛けて食べる奴だね。デメリットは作るのが大変なのと、中毒性があるかもしれないこと? あと生卵使うから細菌と卵アレルギーが怖いところだよね? ついでにマヨラーは恐ろしいんだよ」


「なんだそのマヨラーってな?」


「簡単に言えば食べれるモノならなんでもまずマヨネーズを掛ける。そして喰う。そういう種族だよ」


「おいおいさすがにご飯に直で掛けたりすんなよ? 折角お前さんが手に入れた食料が水の泡だ」


「でも残念。マヨラーたちにとってはマヨネーズが掛かってこそ真価を発揮するのさ」


 危ない奴らだよ、奴らからマヨネーズ盗んだら地の果てまで追って来るから


「二つ目はタコ焼き。安全は保証済み。メリットは無限に湧き出るから素材費が少し浮くこと。デメリットはタコがキーリの触手なので事実を知った後売れるかどうかが不明、あとは触手食べて人体に有害にならないかはまだ検証中? 今の所私に変化が無いから問題はなさそうなんだよ? くらいかな」


 タコ焼き機は鍛冶屋のおっちゃんに頼んで作って貰った。

 さすがにぽこっと飛び出すタコ焼き機は作れなかったが歪なれども使えなくはないのができたのでソレを使って作ってみたんだタコ焼きさん。

 材料は邪神の触手です。


「最後に、カラクリ扇風機。これはカラクリの組み合わせ方ミスったら全く動かないんだよ」


 扇風機作ってみた。鍛冶屋のおっちゃんから紹介して貰った木工屋さんに木で歯車いくつか作って貰ってなんとか作ってみたなんちゃって扇風機である。

 動力は魔力。スイッチというか魔力流す所を押さえると羽が回る仕組みだ。

 当然魔力流す所から離れると回らなくなるんだよ。


 不便すぎる道具ではあるけど扇風機自体無いから夏には欲しがる人がいそうなんだよ。

 いや、できるかなって試作してみただけだから、出来れば売る気は無いんだよ。作るの面倒だし。

 むしろこれは布石だね。カラクリが有効そうならちょっと作ってみたいモノがあるんだよ。

 まぁ、作れたから結果は上々。なので既に作り終えた以上この扇風機は役目を終えてるんだよ。

 ふふ、この世界、音楽と言えば吟遊詩人か宮廷楽師くらいしか居ないんだよ。

 音楽録音出来るようになれば、ふふふのふ。楽しみですな。


「んー。この三つからどれか選べってことかぁ」


「他に売りたいモノがあればそれでもいいんだよ?」


「あ、あの、屋台でよく見かけた兎肉の串焼きは?」


「そういうそこいらで見られるモノはアウト。競合店は競い合わないといけなくなるから他店舗に負けかねないんだよ。それよりはウチはオンリーワンを目指します。コンセプトはここにない出会いを」


「う、うん?」


「あ、そっか。お店で売り出したら屋台のおじさん、売れなくなっちゃうかもしれないんだ。それで辞めちゃったら、あそこの肉奪ってた子供たちが飢えちゃう」


「成る程、んじゃー別の奴考えなきゃだよな。んー。まよねーずかタコ焼き、だよなぁ。最後のは魔力いるっていうし、ずっと流してないと動かないんだろ? ガラクタじゃん」


 クライマル君、もうちょっと駄目出しはオブラートに包んでほしいです。

 いいんだよーだ。これは試作、試作なんだもん。泣いてないしっ。

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