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164話・ロゼッタ、寮長さんと副寮長さん5

 チェルシーが風呂から上がってきたのはそれから一時間以上後だった。

 掃除もしてたらしいから仕方ないか。

 もう昼食時だったし、一旦お暇してチェルシーの仕事ぶりは午後からに回すことにしたんだよ。


 食事を取りながら今日行った事をリオネル様やお父様に告げた後、寮に向かう途中で鍛冶屋を尋ねる。

 いつものおっちゃんが久しぶりだなーっと出て来て今まで作った刀を見せてくれた。

 受注した依頼の合間に趣味の範囲で作ってたから数は出来てなかったんだけど、徐々に腕が上がっていらっしゃる。


 最初の方は刃が欠けてるのとか、ちょっといびつなのとかあったんだけど、最新式のは普通に刀として使えるものになっていた。

 しかもおっちゃんが打ってるの見て弟子たちも仕事の合間に作りだしたせいでなまくら刀が大量に出来てしまったらしい。

 どうにかならないかと言って来たので包丁をお勧めしておいた。

 ナマクラになった刀は包丁として生まれ変わるようだ。

 多少キレ味は悪くとも食材切るだけだし、結構使われそうだと喜ばれたので良し。あと短刀にも変えるらしい。上手くできると良いね。


「で、だな嬢ちゃん。このよく出来た刀の一つを店頭に飾らせて貰ってもいいか?」


「ん? 私の許可必要?」


「一応、な、嬢ちゃんも貴族様だからよ。下手に無断で飾るといろいろ面倒だろ」


「あー。問題はないんだよ。でも盗人さんに盗まれないよう気をつけてね、斬り方が西洋剣と違うから直ぐ折れるとは思うけど」


「はは、作ってるところはここしかねぇから使ってる奴見たらすぐ犯人分かっちまうがな」


「なんならウチの家紋柄に彫り込んでもいいんだよ? そしたら下手に盗もうなんて思わないから」


「お、そりゃいいな。いいのかい家紋使っちまって?」


「影さん、お父様に伝えた方がいいかしら?」


「いいだろうなぁ。一応お嬢がお館様じゃねーし、お館様の許可はさすがにあった方が良いぞ?」


「そっか。じゃあ一度持って帰って聞いてきますわ」


「おう、それができるなら細工師に頼んで高級感も出しておくぜ」


「あはは。あ、そうだわ。家紋で思い出したのだけど、ペンダントを作って貰えないかしら?」


「おいおい、ここは鍛冶屋だぜ?」


「何処で頼めばいいのかわからないので仲介をお願いしたいんだよ。ペンダントは首掛けの紐は切れにくい素材で。ペンダント自体は肌に触れる部分は革製で軽めの金属を主軸にして再加工困難にしてくださいまし。そして前面には我が家紋をお願い致しますの。ああ、でもこれもお父様に許可を頂いてからですわね」


「お嬢、それって、所有宣言用の首飾りか?」


「あら? もしかして既にありますの?」


「あるっつーか、それは偽造防止が必要だから専門の製作所があるぞ。お館様に頼んだ方が良い」


「まぁ、では、これは頼めませんわね。では代わりに、新しい武具の創作画ですわ。良かったら暇な時に作ってくださいまし。上手く出来れば言い値で買いますわ」


「お、おいおい、刀だけでもまだ最高の出来がねぇのに次がくんのかよ」


「これは剣とするにはあまりにも難しいのですわ。作り方もちょっとわかりません。でも形状だけはわかりますの。再現できるかどうかはわかりませんが、暇潰しに作ってみてくださいませ」


 そして手渡した図面に書かれていたのは、柄から真っ直ぐに伸びた剣、それに枝のように別れた七つの剣先。そう七枝刀である。蛇腹剣と迷ったけどとりあえずこっちをお願いしてみることにした。作れるようなら蛇腹剣お願いしてみよう。


「そうそう、こいつを見てくんな、どうだい、俺の息子が打った刀なんだが、なかなか良い出来じゃないか?」


「んー。八丁念仏団子刺しって感じかな?」


「なんだそりゃ?」


「名刀ってことなんだよ」


「団子刺す刀がか?」


「影のおっちゃんうるさい。お買い上げだよ」


 由来は僧侶さんぶったぎったとか杖代わりにしたら石が団子状に突き刺さったとか名前の割に割りと笑えないエピソードの名刀なんだよ。つまり、よく切れるのさ。

 おっちゃんからいくつか刀を買いあげる。

 ふっふっふ。この怪しい煌めきがうつくしい。今宵の虎鉄は血に飢えておるわ、なんだよ。

 さすがに団子刺しは可哀想かな? 圧し切り長谷部と呼ばせて貰おう。

 信長さんが坊主に切れて隠れ棚ごと斬り殺した時に使った刀なんだよ。うん、ヤバいな。団子刺しのままでいいや。


「あと、盾とか鎧作りたいけど何処に頼めばいいのかな?」


「おう、それなら仲介してやるぜ? 腕のいいところはそれなりに知ってる。どういう鎧が欲しいんだ?」


「こんな鎧なんだよ」


 と、鎧は鎧でも日本製の鎧を書いた企画画を見せる。

 さすがに鎧全部は重過ぎるのでかなり端折った軽装で書かせて貰ったけど。

 冑はないんだよ。さすがにアレは頭が重過ぎるし。鉢巻きっぽい防具いるかな? サークレットで代用しちゃおっか。


「お、おいおい、また斬新な鎧じゃねーか……リングメイルやスケイルメイルが近い、のか?」


「金属プレート重ねるタイプだな。動きやすそうでがあるが、防御力低い所が多くねーか?」


「だからおっちゃん煩い。致命傷が避けられればいいんだよ」


「なるほど……まぁ頼んでみるわ」


 さすがおっちゃん話が分かるんだよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ロゼッタお嬢様には鎧ドレス(ドレスアーマー)を着て貰いたいんだよ。
[良い点] 影のおっちゃん、ぶつくさ口を出しているけど、その内ロゼッタ印の忍者装備になってそうw
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