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1626話、ロゼッタ、夜勤部隊の初期訓練

「あらあら、まぁまぁ」


「ぬあぁっ!!」


 顔を真っ赤に全身汗まみれで、震え始めた腕で必死に握った剣を大振りに薙ぐ。

 首に当たるぎりぎりで余裕を持って回避。

 下っ端顔君は剣の遠心力に体が持っていかれて一回転。そのまま無様に倒れ込む。


「かひゅー、かひゅー。な、なんで一撃も……かすりも……」


 私は劇が終りました、とでもいうようにその場で皆さんにカーテシー。


「す、すげぇー!」


「優雅だわ。あれ本当に私にもできるの?」


「貴女がやったら豚の踊りだわ」


「貴女もじゃない」


「「なんですって!?」」


 なぜかオバサンたちが取っ組み合い始めてるけど、まぁいいや。それよりも、キーリ、これ撤収。というか面接の時いたっけ?


「ウチ見覚えないなぁ。もしかして集合場所どっかで知って潜入して来たんちゃう?」


「それは無いはずだけどなぁ。影の人もちゃんと見てるはずだし。ベルングシュタット家所属の影だから見落としや間違いはないと思うんだけど、お婆ちゃんたち耄碌しちゃった?」


「いえ、ちゃんと見ております。ただまぁコレに関しては居ても問題ないと判断したので。こちらで回収しますぞえ」


 影のお婆ちゃんが訓練生たちの間から出てきて男を回収する。


「今の婆さんどっから出て来た!?」


「お、俺見てたけど、お前の背後からだったぞ!?」


「え、俺の背後!? 何それ怖いっ」


 あの婆さん、まさか若い男性の傍で変なことしてなかったでしょうね?

 

「まぁいいや。とりあえず皆さん清聴」


 ほんわかしたムードが戻って来たので会話を続ける。


「先ほどお見せしたように、剣を持った相手と相対することがあっても優雅に避けるだけの余裕と実力を身に着けていただきます。訓練時間は昼間のメンバーの半分となりますが、それでも十分身に付けられると私の経験から判断しました」


 ごくり、生唾を飲み込むおっさんたち。

 ただ言葉だけならここまでの意気込みはなかっただろう。

 実際に目の前で見せつけたことで自分たちがどれほどのことができるようになるのかが分かってくれたと思う。

 あれくらいの実力を身に付けられるのなら頑張ってみよう。そんな気概がそこかしこから感じる。


「とはいえ、先ほども言いましたように、これから一週間は基礎訓練です。走ったり、柔軟体操したり、決まった動きを繰り返したりで面白味はありません。しかし、強くなるためには必要なモノですので、どうか、一週間、続けてみてください」


 うん、さっきよりもやる気が感じられる。これなら途中脱落者も少なそうだ。


「ではこれから四時間、最初の訓練なので軽く流れを掴んでいきましょう」


 最初はお遊戯会でいい。

 軽い運動、このくらいなら俺でもやれる。私でもやれると思えば続くはず。

 高台へと戻って皆に見える位置に移動すると、柔軟体操を行う。

 はい、皆さん私の動きを真似してください。ラジオ体操開始なんだよー。


 軽い運動を行って、次はアキレス腱伸ばしなど筋を傷めないようにストレッチしていく。

 さって、まずは一周、この外周走ってみよっか。

 ゆっくりでいいですよ。はい、いっちに、いっちに。


 走るの久しぶりって人も結構いるみたいなのでジョギング程度の速度でも十分すぎる運動になる。

 息が切れてる人もいるな。運動不足だよおっちゃん。

 

「ぜぇー。ぜぇーっ。はぁー。はぁー。っん。ぐ。はぁー。ちょ、この距離でこんな疲れるもん、か?」


「待って。無理、あ、足がくがくしてる……」


「む、昔は町中駆け回ってたのに、ここまで鈍ってんのか俺の体……」 


「ぶひー。汗だくで化粧落ちちゃったわ。どうしましょう」


「大丈夫よ、すでに豚だから」


「あんただって見れたもんじゃないじゃない!」


「「なんですってぇ!!」」


 オバサンたちは取っ組み合いするだけの元気があるらしい。

 途中リタイア出るかと思ったけど、意外と皆頑張ったな。

 

「ろ、ロゼッタさんよ。悪い、ちょ、休憩を……」


「ええ。構いませんよ。今日は大体こんな感じだと理解してますから」


「くぅ、反論できねぇ」


「ほ、本当にこんなんであの動き、出来るんか俺ら?」


「はは。先は遠そうだ……」


 そうでもないんだよ。多分一か月くらい後には意外と動けてると思うんだ。


「まず一週間、おそらく皆さんは筋肉痛という激痛との闘いが待っています。日常生活を送るのも大変な辛さになりますが、一週間も我慢すれば今まで以上に動きやすく、日常生活も過ごしやすくなるでしょう。なので、諦めずに頑張ってみてください」


「うす。これを機にちょっと自分の生活態度も見直してみるっす」


「うぅ。明日の肉、仕込みできるかな?」


「今日はしっかり寝れるわね」


「ウチはこの後子供の寝かしつけよ。一緒に寝ちゃおうかしら?」


 いろいろ言ってるけど訓練自体は続けてくれそうだ。兵士ならともかく一般市民もちゃんと訓練続けてくれるか不安だったんだよ。

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