1619話、とある信者、騎士団に、なれない!?
SIDE:とある信者
ぬがあああああああああああああああああああああ!!
ロゼッタ神教教会にて、俺は頭を抱えて悶えていた。
憎い、ロゼッタ神教信者になってしまった自分が憎い。
なぜ俺はロゼッタ神様を信じる教団に入信してしまったんだ! 立札を見ただろう、ロゼッタ神様直々に騎士団を作るのだぞ、まさに神聖騎士団ではないか!!
「ああああああああああああああっ」
「どうしてっ、どうして!!」
「ああ神よ、なぜ私ではいけないのですか!!」
今、ベルングシュタット領支部のロゼッタ神教教会では、信者たちの嘆きが蔓延していた。
皆、立札を見た瞬間にこれぞ我が神命、と入団しようとしたのだ。
そして※の文字を見て愕然と膝を着いた。
神は、私設騎士団を作成したのに、ロゼッタ神教信者はお断りだとおっしゃるのだ! なぜだ!!
こんな、こんなに私は貴女を盲信しているというのに!
ああ、神よ! ロゼッタシンサマカワイイヤッター!!
「さて、本日も……なんじゃいこりゃ? なぁにを狂ったように泣きわめいとるんだお前さんらは?」
「教祖様! 教祖様は見ていないのですか!?」
「あぁん? 何をだい?」
「立札ですよ、ロゼッタ神様の私設騎士団設立についての!」
「ああ、あれかい。あれが何か?」
「※をお読みでないのですか! 信者お断り、ですよ! なぜですか! 我々の方が市民よりもロゼッタ神様の騎士にふさわしい「黙らっしゃい!!」ひぃっ!?」
「全く、嘆かわしいとはこのことか。お前さんたちこそしっかりと読んでないではないか」
はぁ、とため息を吐いた教祖様は教壇へと向かうと、私たちを振り返る。
「ロゼッタ神教教団員は教会の業務優先していただきたいため入隊禁止、しっかりと読んで記憶に刻んでおります! ここにいる者、全員です!!」
俺の言葉に皆も頷く。
皆、思いは一緒だ、ロゼッタ神様の騎士団になりたい、あの方の為に命を懸けて戦いたい!
俺の命で良いのなら、喜んで差し出そうとも、オーガだろうが、ケルベルロスだろうが立ち向かう用意は出来ている!!
「そうじゃ。教団員は、教会の業務を優先していただきたいため、入隊禁止。ロゼッタ神様の思いがここに込められておるではないか」
教祖様の言葉に、信者たちは小首をかしげる。
俺もさすがに理解できずに怪訝な顔になる。
「信者力が足らんのぅ。いいか迷える信者共。ロゼッタ神様は教団員をただ入隊禁止にしているだけではない。入隊するよりも教会の業務を優先しろ、と言っておるのじゃよ。そもそも、この教会で信者たちが行っているのは、ロゼッタ神様が直々にお前たちにやってほしい、そう御命じになったことじゃぞ? 孤児たちがやっていた業務は滞れば国が滅びかねない業務だ。臭いし汚い。並みの精神ならば病んでしまう。それほどに過酷な業務だからこそ、自分を信じて付いてきてくれる信者たちにだけ頼んでいる。その業務を放り出して騎士団に入ってくるなどロゼッタ神様への冒涜ではないかっ!!」
ッ!!
目をカッと開き叫ぶ教祖様。
その言葉に、俺たちの誰もが全身を雷に打たれたかのような衝撃を受けていた。
確かに、信者になって行いだしたことは、とても辛い下水掃除や町中の清掃。決して周囲から喜ばれることはなく、むしろ蔑まれるほどの臭く、汚く、病気にもなる地獄の作業だ。ロゼッタ神様を信じている我々でなければ早々に放り出しているだろう。
そしてそれは、国を陰から支えてほしいとロゼッタ神様自ら我々信者にやってくれとお頼みくださった我々が行うべき誇りある仕事である。
そうだ、それを投げ出して騎士団となるなど、まさに神の願いを投げ捨て自分の欲望を叶える唾棄すべき願いだ。
「教祖様、お、俺、なんということを!?」
「わ、私が間違っておりましたっ! ああ、ロゼッタ神様に顔向けできません……」
「よいのです。こうしてロゼッタ神様の御意思を再確認できたのです、もう貴方たちが迷うこともないでしょう。ロゼッタ神様は我々をないがしろにしたりはしないのです。騎士団の仕事も魅力的でしょう? しかし、我々信者には信者でしかなしえないことがあるのです。ロゼッタ神様のためを思うのならば、信者として、やるべきことを成しましょう」
「はい! 我々の全てはロゼッタ神様の為に!」
「我が手、我が足、我が体! 魂、精神、構成する全てを持って、私はロゼッタ神様に捧げます!!」
「「「ロゼッタシンサマカワイイヤッター!!」」」
「ふふ。持ち直したようでよかったのぅ。騎士団の仕事などを聞いて来たが、基本は私兵団の補助的役割のようじゃ。訓練や見回りで人の暮らしを守る職業じゃそうじゃが……儂ら信者が行っているのは人の暮らしの根幹を守ることじゃからの。滞らせれば国が亡ぶ、どっちがよりロゼッタ神様に重要かなど分かり切っておろう」
もう、迷いはない。
ロゼッタ神様の信者でよかった。
俺はロゼッタ神様に俺の全てを捧げるぞ!!




