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13話・ロゼッタ、初めての魔法

 さって、気持ちも新たに今日も走り込みである。

 しっかり走るぞ! 今日もまずは二周から。

 足を伸ばしてストレッチ。んじゃぁ走ると致しますかぁー!


「ああ、お嬢様、今日もなさるのですか!?」


「リオネッタも走るといいのよ。おほほほほー」


 呆れ顔のリオネッタはまさかの走らず私を見送る。

 屋敷周りを一周して来ると、困った顔のリオネッタが全く動いておらずに私を見送る。

 なんてこった、動く気ゼロだ。

 でも私はめげないっ。


 走り終えると荒い息を吐きながらゆっくりと歩く。

 走り終わった後はゆっくりと歩いて心臓が落ち着くのを待つのである。

 じゃないと急に立ち止まったり寝そべったりすると心停止してもおかしくないんだよ。気を付けてね。


「あら? お嬢様?」


 ようやく落ち着いて来たので本日から新たな動きを加える。

 そう、腕立てだ。そしてスクワットだ。リオネッタ、足持って。からの腹筋だ!

 全部十回ずつ。簡単? 最初だからいいんだよ。

  

「今日は走るだけじゃないんですね」


「むっふっふ。身体作りは一日にして成らず、なのだよ。少しづつ数を増やすよリオネッタ」


「かしこまりました」


「ちなみに昼からは初期魔道書を読むわ。魔法も練習したいのよ」


「はぁ、かしこまりました。では昼からは隣の部屋に待機しておきますので何かあれば呼び鈴を鳴らして下さいませ」


「了解なのよ? 何でもない時だって鳴らしまくるわ」


「止めてください」


「冗談よ。ジョーク。ロゼッタジョーク。ブラックジョークなのよ?」


「お嬢様のは冗談に聞こえません」


 言い切りやがった!? まぁロゼッタの昔の記憶からしても初めてベル貰った時は楽しげに鳴らしまくってたなぁ。そのたびにメイドさん走って部屋にやってきて、最後の方は死んだ魚のような目で「鳴らすなクソガキ」とかドスの効いた声を一言。さすがのロゼッタも「はい」と思わず答えて以降、余程必要な時以外に呼び鈴鳴らさなくなったのよね。

 ちなみに、その時のメイドさんは辞表叩きつけて翌日に去ってしまった。


 うん、冗談にできんわ。普通に前科があったんだよ。メイドさん一人の人生壊しちゃってるんだよ。ロゼッタは悪役令嬢だったんだよ。犯人はヤスなんだよ! だからヤスって誰だよ!?

 と、とにかくこれは発掘しても誰も幸せにならない事実だったんだよ。埋葬案件、死体遺棄、そのまま記憶喪失、私は何も知らない悪くないんだよ。 

 何も無かったことにして総スルースキルを磨くんだよ。政治家になるんだよ。私は記憶にございません。


 昼食を終えて自室に戻る。

 まだまだ始めたばかりなので時間が余ってしまう。こればっかりは仕方あるまい。

 でも余分な時間をとっとかないと後々増やせなくなるんだよ。

 ブラック企業になっちゃうんだよ。馬車馬のように働かされるんだよ。お前は社会の歯車だー。なんだよ。


 昼から行うのは初期魔道書による魔法の使い方。

 ベッドにうつ伏せに寝そべり膝から下を上げたり下げたりしながら本を読む。

 なんだろう、前世でも日曜日とかやってたね。就職する前とかやってたね。ビバ、ニート生活。


 えーっと、なになに。魔法とは魔力を意思の力を使って変質させることで魔法として扱うことができる。

 個々人には得意な属性もあるが、これは性格や自分が扱いたいと思っている魔法ほど親和性が高い?

 要するに熱血タイプは火が得意。とか冷静沈着だと氷が得意、とかかな?

 私の場合は闇が得意な筈だけど……思考によって魔力が魔法になるってことは、イメージしながら魔法を練り上げれば……


 私は片手を開いて掲げるように持ち上げる。

 うーんと魔法発動をイメージしながら、告げる。


光よライト


 ぽぅっと小さな灯りが掌に生まれた。

 うそん。

 普通魔法ってもっと大変なもんじゃないの?

 簡単に出来ちゃったよ。イメージ出来てたから?

 論理立てて魔法使ったからかな?



 うぅむ。これは……現代知識チートの予感がするのだよワトスン君。

 えーっと室内で使っても問題無さそうなのは風魔法かしら? でも分かりづらいよね風。

 そうだ、緑色に着色して、っと。

 ウインドボール。


 ふわりと風が掌に渦巻き緑色の球体となる。

 おぉー。すげー。マジ卍ー。

 これは魔法ってかなり簡単にできる気がするぞ。あ、でもMPに気を付けないと。

 MPって確認出来ないのかね? あ、それも魔力で作ってみよう。ゲームでよくあるステータスっぽく。

 ほいや!


 しかし、そんな魔法は、なかった。

 というか私が想定出来なかった。

 出来たのは頭の上にバーが出現しただけだ。

 文字とかは無い、見上げれば見える感じ。


 ちょっと分かりづらいので、姿見の前で座って見ることにした。

 どうやらHPとMPだけが分かるバーらしい。

 これを見た感じ、HPは全快の緑色バーだけど、その下に表示されたMPは紫色が半分くらい。残りが真っ赤になっている。

 ふむ。たった三つ魔法を使っただけで半分か。


 一先ず魔法を全て消して本に戻る。

 なになにー。えーっと、MPが切れると気絶します? 気絶すると魔力容量が増加しますが、やり過ぎると衰弱して死にます、と。

 もろ刃の剣か……だが、面白い。魔力容量増やしまくろう。生かさず殺さずよ。え? 自分に!? 何て酷い奴なのロゼッタ。自分で自分をいじめるなんて、いけないわ。悪い子よ。悪役令嬢だわ。


 MPバーを確認するようにしながら態勢を変える。

 普通に寝る態勢になってからバーを自分の目から見える位置に移動させ、適当に魔法を使う。最後の魔法には自動拡散をイメージしながら風のボールを作り……

 私は、意識を失った。

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