134話・ロゼッタ、皆で魔法の勉強なんだよ
昼前には帰ってきましたロゼッタです。
本日はリオネル様がお父様に連れていかれてたのでキーリと冒険者ギルドに行ったんだけど、顔出しただけでギルド長がSAN値直葬になってしまったし、ペレーラさんまでキャパオーバーになってしまったので泣く泣くギルドから戻ってきた。
魔物買取所のおっちゃんがお前らこれ以上精神破壊するつもりなら出禁にすっぞ。とか脅し掛けられたから仕方ないんだよ。
ギルドの誇るSランク冒険者なのにギルドから出禁の危機なんだよ。おかしいな。
これはもうしばらく顔出さないほうがいいんだよ。
S級冒険者だから別にノルマはなくなってるしね。
別に顔を出さなくても問題ないんだよ。
永久冒険者名乗れるんだよ、やったね。
商業するためのお金もあるし……あれ? これってもしかして無理に冒険者ギルドに顔出す必要ないんじゃない?
よっし、冒険者ギルドはしばし休暇なんだよ。
お呼ばれするまでは顔出さないでおこう。
向こうも落ち着いて気づいたら私に使いだすだろうし、そうでなくてもS級冒険者の力が必要になったら声掛けしてくるでしょ。
んじゃ、明日からは商業関係に注力しよっと。
それから、今日から黒子さんたちに運動を教えちゃうんだよ。
ボーエン先生と協力して皆に叩き込んでやるぜぃ。
「やぁお嬢、今日は新しいことやるんだって?」
「影兵さんのスキルアップなんだよ、あと防御魔法と浮遊魔法を教えておこうと思います」
「おいおい、あんたら恵まれてんな。普通なら家が買えるほど金払って一つ覚えられりゃいいほうだぜ?」
「それと明日は商業ギルドに行くんだよ。いつ帰れるかわからないけど皆の修行はボーエン先生にお願いしちゃうんだぜ」
「おい。なんでお嬢の家庭教師なのにおっさんどもに教えるために来なきゃいけねぇんだよ。まぁ、金貰えるからやるけども」
「結局やるんやなぁ……まぁええけど」
すでにやるって伝えてたからだろう。いつものおっちゃんが出てくると、庭にわらわらと黒づくめの人々が現れた。おおぅ、十人以上ここにいるじゃん。
同じ場所に固まってるとたまに探査失敗するんだよね。
皆気配うっすいから。
「んじゃー、まずは皆さん魔法の練習しまっす。魔法使えない人ー」
ありゃ、皆魔法使えるのか。じゃー、結界魔法から始めるかな。
私は実際にやって見せながら結界魔法を教えていく。
皆首を傾げながらも必死に魔法発動を行いだす。
でも、かなしいかな、誰も成功させることができない。
まぁ、普通の魔法習うだけでも数日かかったりはザラらしいし。精進あるのみ、なんだよ。
あ、リオネル様お帰りー。
リオネル様も参加する?
「じゃあ、せっかくだし教えてもらおうかな」
まぁ、嫌だって言われてもこの結界だけは覚えてもらうつもりだけどね。ご自愛ください私の王子様。
おっちゃんたちと同じようにやって見せてみる。
最近、ようやくボーエン先生が結界魔法使えるようになったから私が説明するよりはボーエン先生の経験談話すほうが皆のためになるらしい。
おかげで薄膜張り出す人が出始めた。
「ロゼッター、遊んでやりに来たわよー」
おおぅ? なんでまたこんな時に皆集まってくるんだね。
リオネッタに通されてきたのはどっかの騎士爵令嬢様とフレデリカ、ユルゲン、ギリードの四人。ケリーアはなんで毎回私相手にあんな親しげなんだろうね。
いや、親し気というか、私を下に見てる?
結局皆も魔法練習に参加を始め、なぜか覚えのよかったフレデリカとギリード君が一番初めに結界魔法を成功させた。
二人とも私の言葉を素直に受け止めて魔法を思い浮かべて詠唱したから成功したんだよ。
皆見習いたまえ。純真無垢で私のいうことと実際に見た物理無効化結界を疑うことなく魔法として唱えたから成功したんだよ。
なまじ賢しく疑問を持ちながら使おうとするから上手くできないんだよ。
でも、二人の成功者がでたので、皆少しずつコツを掴み始める。
やるじゃん。とくに影兵たちは覚えが早いな。
皆すごく必死なんだよ。おっちゃん、すごいね、なんでそんなに必死なの?
「ンなもんお嬢に追いつくために決まってんだろうが! 陰から守るはずの護衛兵だぞ、護衛対象に撒かれてどーすんだよっ!!」
ごもっとも。
泣きそうな顔で怒鳴るように言われたらもう黙るしかありません。おっちゃんたちの必死さの理由はわかったから話しかけずにそっとしておこう。
がんばれ影兵さんたち。ちなみに私は常時筋力強化魔法使ってるけどそれも伝えたほうがいい?
その後、結界魔法はほぼ全員が使えるようになった。
ユルゲン君が私まで覚えていいのだろうか。とか遠慮しちゃってたけど、運がよかったってことで遠慮なく覚えていった。
ちなみに、ケリーアだけはどんなに頑張っても結界魔法唱えられなかった。やーい落ちこぼれー。私を信じないから使えないんだよーだ。
御布施しやがれこの野郎っ。




