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127話・ロゼッタ、初っ端でパニックなんだよ?

「今回来た理由ですが、こちらに居るロゼッタ様が新魔法を開発なさいましたので、その登録にまいりました」


「ほぅ、新魔法とな? それは重畳。しかし近年なかった新しい魔法が出来たと言っても王族まで御同行なさるほどのものなのですかな?」


「え? いや、僕は……」


「はい、それほどの事です。新魔法の内容はまず障壁、そして新たな火属性魔法です。それと、雷属性魔法」


「なんと!?」


 ん? 今雷属性の所で眉が跳ね上がったんだよ?

 障壁と火属性はまたか。みたいな顔してたのに、雷属性が一番びっくりしてるんだよ。


「せっかくやぁ、ウチも魔法登録しといたろーかなぁ。召喚魔法とかも登録いけるん?」


「え? ええ、しかし魔族の召喚術はあまり知られておりませんですからな、登録した後で他の魔族の方と争いになっても我がギルドでは責任を追いかねますぞ? 我がギルドは人間族、亜人族のみを対象としておりますでな。魔族の魔法は少し特殊なのです」


「別にえーよ? ウチの魔法なんてまずだぁれも使えへんし、一応で登録させたろか、思っただけなんえ?」


「いいですかね? ギルド長?」


「う、うむ。別に登録自体は多くて困ることはないからのぅ。新しい魔法は皆歓迎じゃ」


 とりあえず、魔法登録はいいけど、私の魔法は想像による創造魔法だから全部オリジナルみたいなものなんだけど、良いんだろうか?

 ま、一先ずは言われた魔法だけ登録しとけばいいかな? あ、でも浮遊魔法も一応ないか聞いとこっと。なかったら登録しちゃえば皆に教えれるしね。


「では、場所を変えようかの。観測官も呼ばねばならんから少し時間を貰うぞえ?」


「構いませんよ。今日は時間を空けていますので」


 でも夕方までに帰らないとお父様が暴走しちゃうんだよ?

 下手したら血涙流しながら大剣携えてボーエン先生狩りに来ちゃうんだよ。

 モンスターじゃなくてボーエンハンターなんだよ。狙い撃ち?


「では、演習所でお待ちください」


 ギルド長に促され、受付嬢さんに案内された私達は演習所へと向かう。

 魔法を実際に使って新しい魔法かどうかを判断する場所らしい。他にも普通に練習もできるんだって。覚えた新魔法の試し打ちとかできるんだよ。

 それはいいんだけどボーエン先生。なんでさっきからギルド長の後ろ姿に十字切ってるの?

 まるで安らかにお眠りくださいって言ってるようなものなんだよ?


 ギルド長は途中で観測官とかいうのを呼びに向かい、私達は受付嬢さんに演習所へと連れて来られた。

 演習所は木造建築の中に作られた砂地の広場で、ドーム球場くらい広い。

 何人か演習しているようで、貴族っぽい豪奢な衣装のおっさんたちが厨二言語な詠唱唱えながら魔法を案山子に打ち込んでいる。

 案山子と言うか、なんて言うんだろアレ? 人型にした十字の丸太?


 すごいよ、カイゼル髭のおじさんがジョジョ立ちを彷彿とさせる動きで「祖は炎帝に属すクライェーレ下位なる精霊ペルカガーラ我願うは球華エル・クレス我が敵を穿つブライレス一撃を望むシュペラフラーラッ、ファイヤーボール!」とかいちいちポーズ付けながら打ち放っている。いや、あれは……カッコイイ撃ち方を検証しているッ!!?


 他にも、的に背中を向けたまま後ろに放つ人が居たり、 寝た状態で気だるげに魔法放ってる人も居た。

 なんというか、貴族って変人多いな。

 私の視線を感じたらしい、ボーエン先生が私にもわかりません。と首を横に振っていた。


「待たせたの」


 ギルド長と三人の男女がやって来る。

 職員さんだろう、皆衣類が統一されている。


「まずは今回観測官としてこちらの三人が魔法を判定する。右から属性判定官、範囲測定官、新旧判定官じゃ」


 えーっと属性判定官が眼鏡にお下げのお姉さん。範囲測定官がユルゲン君を大人にして眉間のしわをさらに増やした感じのお兄さん。そして新旧判定官がよぼよぼのおばあさんである。

 筋張ったお婆さん、なぜかギルド長を顎で使っていらっしゃる。

 多分だけど最古参のお婆さんなんだろう。権力もその分持ってるようで、ギルド長のお爺さんを友人扱いしていらっしゃる。

 ただのしわがれた老婆なんだけどなぁ。


「それじゃあ、お嬢、雷魔法から行こう」


「む。新体系からかの? 尻すぼみにならんか?」


 雷魔法ねぇ、はーい、雷属性ですよーっと。お爺ちゃんの心配をよそに私は魔力を練り上げる。

 魔法を唱えて近場の案山子に撃ち放つ。

 ぱちぱちと放電しながら私の手に集まった雷撃が紫電を走らせ案山子に激突。バリバリバリっと案山子を焦がして消失した。


「なんと、無詠唱か!?」


「はは、新属性魔法を無詠唱とは、恐れ入ったねぇ」


「か、確認完了です。本当に雷属性、新たな属性の発現です」


「範囲は単体、速度から有効射程は20m程、付加属性は……麻痺!?」


「こりゃ文句なく新魔法だねぇ」


「うむむむむ、こりゃあ想像以上の出来じゃわい」


「お、来たよ、祖は雷帝に属すクライェーゼだよ」


 なんかお婆さんが聞き慣れない言葉を告げて来たんだけど、それ、多分詠唱時の呪文だよね?

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