表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1285/1896

1272話、レッド、明日の方針

SIDE:レッド


 宿に戻ってくつろいでいると、ようやくブルーたちが帰って来た。

 珍しいな、三人揃って帰ってくるなんて。

 彼らは俺がいることに気付くと、三者三様の様子を見せた。


 心ここにあらずといった様子で部屋に置かれていたテーブルの傍にある椅子に腰かけるリーリル。

 興奮した様子でベッドに寝転んでいた俺の元まで駆け寄ってきて何か喋り出すクエリス。

 興奮しすぎて何言ってるかわからない。とりあえず、ブルー、説明頼む。


「今日俺は市民に行ってみろと言われた映画を見に行ってな」


「もう見に行ったのか、俺も行こうと思ったんだけど皆と向かった方がいいかと思って戻って来たんだけど……」


「そこでこの二人と再会した」


 えぇ!? 俺だけ皆と行こうと思って我慢したのに、皆個別で見に行って再会したのか!?

 なんだこの置いてけぼり感!?


「で、映画どうだったんだ?」


「それについてはまぁ、後で話そう。まずは情報共有だ。いつものようにレッドから頼む」


 お、おう、そんな出し惜しみするようなことだったのか?

 俺はクエリスを促しテーブルを囲う様に設置されていた四脚の椅子にそれぞれ腰掛ける。

 右回りに俺、リーリル、ブルー、クエリスの順だ。

 クエリスが話したくてうずうずしているが、とりあえず放置で良いだろう。

 興奮した彼女の言葉は順序がおかしくなって意味不明なパズルになっているから重要なことを話されても理解できずに苦しむ結果になる。


 映画についてはブルーも見ているのだから、彼の言葉に期待するとしよう。

 決してクエリスの言葉を信頼してないわけじゃないんだ。

 ただ、俺には理解し辛いってだけなんだ。


「ああ。いろいろ聞き込んで来たぜ。覇王ロゼッタについては映画見ろとしか言われなかったが、ここには遊園地だろ、伝説の木エメラリーフ、映画広場、神の声を聴ける神官が二人もいる神殿、貴族街だけど宝石の成る大樹が見られるらしい、他にも……」


「景勝地ばっかり」


「仕方ないだろ、ほとんどの奴がプライダル商店薦めてくる中聞けた貴重な場所だぞ。明日皆で行かないか?」


「あー。悪いがそれはまた次の機会で頼む。リーリル、はまだ復活しないな。クエリスの話を聞くか」


 ああ、やっぱり聞くのか。

 まぁ落ち着く意味ではそれが一番か。


「任せろ! クエリスは武器屋に行ってきたぞ。武器屋なのに鍛冶屋とか言ってたがちゃんと武器貰って来た」


 うん? 武器貰った?


「金は払ってないのか?」


「くれるといったから貰ったぞ。バハムティオンだ!」


 と、自慢げに新しい弓を取り出すクエリス。

 え、なんかすげぇ業物っぽいんだが、これ大丈夫か、まさかかっぱらってきてないよな?


「あー。一応聞くが、店員が問題ないと言ったんだな?」


「ん? ちゃんと矢は買ったぞ。一本1000サクレの1000本束二つだ!」


 めっちゃ散財してんじゃねーか!?

 ちょ、ブルー!?


「ふむ。捕まるようなことはしてないな?」


「ん? なんのことだ?」


「……大丈夫よブルー。ここの兵、変なことしたらすぐ捕まえに来るから。まだ捕まってないってことは問題ないってことよ」


 あ、リーリルが復活した。


「そうなのか?」


「ええ。クエリス、後は映画見に行くまで何もしてない?」


「クエリス行ったのは鍛冶屋の武器屋と屋台沢山。いっぱい美味しかった」


「それじゃ映画についてはブルーに任せるわ。私は市民の服を見に行ったのと、防具屋を見に行ったわ。ちなみに今着てる服は市民用の服飾店で買ったこすぷれ魔女ルックだそうよ。正直これだけでも魔力抵抗値高かったんだけど、防具屋はヤバいわね。思わず一つ買ったけど……ヒヒイロカネのローブっていう防御力が意味不明なローブよ。見て」


「うわ、こりゃすげぇ。なんだこの柔らかいのにめちゃくちゃ硬い素材」


「ふむ。これはいくらした?」


「クエリスの矢束よりは安かったわ」


「ちなみにこのバハムティオンの弦、一番高い」


「いろいろ値付けがおかしくねぇか?」


「ゲームでいうところの魔王城に一番近い村に売られてる装備品って感じだな」


「値段が安すぎる気がするけどな」


 一通り、ローブを見せて貰った俺たちは、改めてブルーの話を聞くことにする。

 

「さて、俺からの話だが、向こうからの接触があった」


 は?


「一応謁見は取り付けたが向こうの出方がわからん。なので俺ともう一人で向かい、レッドともう一人は予備人員として待機しておいてほしい」


「ちょ、待ってくれ、皆で行けばいいだろ、なんで俺は待機なんだよ!」


「俺が行くからだ。もしもの場合には敵陣を突破して助けに来れる人材がいる。俺とレッドがのこのこ出かけて捕まったらリーリルとクエリスで俺たちを助けることになるんだぞ、全員で行って罠に嵌められたらさらにどうしようもない。ともかく、俺ともう一人、最悪の場合お前たちに知らせるために逃がせる人材がいる。どっちが行く?」


「んー、リーリルどうだ? クエリス冒険者ギルド行きたい」


「おっけ。んじゃ私が行くわ」


「明日、一日戻らなければレッド、後を頼む」


 そこまで言われたら、反論なんて言えないじゃないか……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ