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1241話、ホーエンハイム、お嬢の様子がちょっとおかしい

SIDE:ホーエンハイム


 最近、よくお嬢が来る。

 男園島では男たちの営みが行われるのであまり来たくなさそうな様子だったお嬢ことロゼッタ嬢なのだが、ここ最近は夜中によく現れる。

 深夜帯で普通は寝てるはずなんだが、不思議なこともあるものだ。

 しかし、うむ、彼女ならばやりかねない。だから、気にする程ではない違和感だ。


 いや、それだけなら違和感とすら思わなかっただろう。

 この前、お嬢が来たことで半ば確信に変わりつつある。

 目が、違うのだ。


 いつものお嬢はまだ理性的というか、多少のやさしさが目からこぼれているのだ。

 彼女と出会ったからこそ理解できた。

 お嬢はまだ、交渉の余地がある存在だということに。

 では、自分は何を違和感だと感じているのか?

 確証はない、しかし、なんとなく、違う。


 夜中に現れるお嬢の目はこちらを人と見ていない、虫けらを見る目だ。

 暗く澱んだ、下手に逆らえば確実に殺されるのが分かる、まさに悪人のような目をしている。

 だから、違和感がある。


 この前に来たお嬢も夜に来ていたお嬢との話で決まったことを告げると、身に覚えがないような感じだったし、もしかしたら、いや、そんなことありうるのだろうか?

 そして、もしも私の考えが正しいとなれば、一体誰が彼女を止められるというのか。

 お嬢を取り巻く者たちは気付いているのだろうか?

 いや、おそらく気付いてすらいないだろう。


 お嬢自身気付いてないようすなのだ。

 あれはきっと、脅威なのだろう。

 お嬢にとっての最大の脅威。なんとなく、身に感じているからこそ追われるように強くあろうとする。しかし、ソレは強くなれば強くなるほど強くなる、言ってて意味が分からなくなりそうだが、おそらくそうだと思う。


 ソレに気付いたのは、男たちの一部が同じ症状を発症しているからだ。

 いつもは普通の男性として振舞うが、いざ男たちの楽しみを行おうとすると、男娼のような性格になる。

 そう、嫌なことを、あるいは辛いことを忘れるために自分とは別の人格を自分の中に作り、嫌な状況になった際にその人格に体を譲り渡すのだ。


 辛いと思われることは悲しいが、今までが今まで、嫌がる相手も無理矢理引き込んでいたツケというものである。

 ともかく、今のお嬢は二つの顔を持っている。

 そこに気付いていればいいが、おそらく気付いていないので対策ができない。

 我々としても対策など不可能だ。

 実力が違いすぎて我々ではお嬢を止めることすら不可能なのだから。


 さらに言えばこの島にいる間は何も行動ができないだろう。

 飼い殺しされている状態の我々は、成り行きを見守るだけしかできないのだ。

 そんな我々にとって、お嬢からの提案である、ライアネリオのリーダー化、私より上の地位に彼を付けるらしい。なぜそんなことを今更、とは思ったモノの、実効支配という考え方からすると、私よりも彼の方が扱いやすいのだ。


 皆が彼に負い目もある、彼の言葉ならば、ついつい反論を噤む。

 つまり、彼にさえ連絡事項を伝えれば我々全員がそれに倣うこととなるのである。

 少々、不味い展開になっている気がするな。


「ごきげんよう」


「お嬢、また来られたのですか。最近よく来ますね」


 本当に、夜は毎日のように来てないか?

 おかげで兵士たちも彼女が来るまで何もせず待つようになった。

 なんとなく、彼女が来た時に愛し合っていると殺されそうな気がするのだ。


「私の部隊だもの、メンテナンスはしなきゃでしょう?」


「なるほど、ああ、この前言っていたライアネリオのリーダー化ですが、ライアネリオ以外は皆賛成しております」


「あら、そうなの? じゃああとはライアネリオだけね、なんで彼が一番嫌がっているのかしら?」


「どうも皆を差し置いて自分が上の立場になるのが申し訳ないそうですな。もともと一兵士でしたし」


「そんなことどうでもいいのに。使える者を使える立場にするのは部隊の基本でしょう。次に来るまでに確実に首を縦に振らせなさい」


「本人に伝えてください。我々は皆そうあるようにとすでに伝えているのに拒絶されているのです」


「チッ、案外面倒ね」


 やはり、昼間に出会うお嬢とは少し違う気がする。


「ああ、それと、悪いんだけど次に来た時場所を変えるわ。こんな悪趣味な島より普通に陸続きの場所で生活したいでしょう? エグエール王国とかいう離れた大陸にいい場所があるのよ。ふふ、そこに移動しましょう」


「陸続き、よいのですか? 我々がここに隔離されているのは……」


「私の考えに何か文句があるとでも?」


「……いえ」


「ふふ、そうよ、私こそがライオネルの立役者。ロゼッタ・ベルングシュタットなのだから……ねぇ、――――」


 最後、呟きが小さすぎて聞き取れなかったが、ひろ……こさん? 誰かの名前だろうか?

 ともかく、好機とみていいだろう。

 下手をすれば殺されるやも知れないが、私しか、おそらくいないのだろうな。覚悟を、決めよう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 866話見る限り既に兆候はあったんてすねぇ(連続感想すみません) [一言] 流石にこれ以上一気見は無理……Zzz
[一言] 悪役令嬢が、来た...!
[良い点] もしかして本来のロゼッタの側面も限凸でフリーダムに前面に出てきてる? [一言] そういえば読み返してたらキーリにテイム紋が浮かんでたけどロゼッタにもついてるのでしょうか もしかしたら何処か…
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