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123話・ロゼッタ、味方だとは言った覚えがないんだよ?

「ロゼッタァ! どういうことだっ!!」


 その日、私が皆と共にボーエン先生の魔法講座を受けていると、ガイウス王子が屋敷に突入してきた。

 肩を怒らせ憤怒の顔で、リオネル様が居るのに気にせず怒鳴り込んで来たのだ。

 皆意味不明なガイウス様登場で慌てふためき右往左往。

 御蔭で私は驚きはしたものの、少し冷静になれた。


「あら義兄上様。ようこそいらっしゃいました。どうぞこちらに、個室で話を聞きましょう」


 私の言葉に開きかけた口を閉じるガイウス様。

 私の後ろに居たリオネル様に気付いたのだろう。

 凄く不満そうに鼻息を鳴らし私に付いて来た。


 リオネッタにしばらく二人きりにするように告げて、扉を閉める。

 ガイウス様がどかっとソファに座り、私は対面にそっと座る。

 さて、何を怒っていらっしゃるのかねっと。


「よくも、やってくれたなァッ!!」


「よく、話がわかりませんが?」


「何だと!?」


「だってそうでしょう? ガイウス様が何かしら画策していたと思ったら何故か我が屋敷にリオネル様がいらっしゃいましたのよ? おかげでリオネル様に何かあれば我が侯爵家の責任になりますのでお父様は本気で警護することになりましたの。身動きが取りづらくて仕方ありませんわ」


 うん。これは本当のことなんだよ?

 ただ、身動き取るの意味合いは冒険者ギルドに行き辛くなったという意味だけど。


「それはっ」


「そもそも失敗する可能性のあるモノを証拠隠滅もせず使用するのは愚策ではありませんこと?」


 何とは申しません、ええ、暗殺だとは言っておりませんよ。つまり私は貴方の協力者ではございませんわ。


「ぐぅぅ……」


「しかし、リオネル様も災難ですねぇ、まさか冒険者以外全て暗殺者だなんて、それではもう暗殺を画策した犯人は誰かなど自分から告げているようなモノではありませんか」


「くぅぅ……」


 太ももにおかれた手が太ももに爪立て始めた。

 なんか血涙流しそうな勢いだな。


「それに、リオネル様を襲った事が発覚したのは、義兄上様がその護衛モドキ全てを用意した人物だから、ですわよね? 普通、そういう足が付きそうなことは半分普通の兵を雇うなりでごまかすべきではありませんの?」


「それ、については、俺は知らんと告げてある。知らずに雇った兵士全てが偶然にもリオネルの暗殺者だっただけだ。俺のせいではない」


 苦しいよ。言い訳が苦し過ぎるよ!?

 それでよく許してもらえたね。


「陛下はなんと?」


「今回は証拠もないのとリオネルが無事に戻れたということで不問だそうだ。俺ではないと告げたが疑惑の視線を終始叩きつけられた。それもこれもリオネルが俺の雇った兵士に暗殺されかけたと告げたからだ」


 事実じゃん。


「まぁまぁ。ですが、それなら我が家に怒鳴り込むのは筋違いでございましょう?」


「ふざけるなッ! 分かってんだよ!! あのD級冒険者を雇ったのはお前だろ!」


「話が見えませんわ義兄上様。私冒険者を雇うようなことはしておりませんが?」


「D級冒険者だぞ!? 仮にリオネル暗殺を回避できたとして、無傷で暗殺者全てを殺し切るなど出来るわけがないだろ!」


 まぁ、実際に相対したのは邪神様なんだよ。


「でしたら、冒険者ランクを上げる手前の冒険者なだけだったのではありませんか? 冒険者ランクは低くてもCランク用の護衛依頼、しかも王族の護衛ですし。ギルド長も信頼出来る人物に託すでしょう。それこそ私が画策などできようもなく、ただの偶然ですわね。義兄上様ったら、なんでもかんでも人のせいにするのはいけませんわよ」


 ふふっと微笑する。

 今のはちゃんと普通に笑えた気がするぞ。


「くぅぅ……」


 何か言いたいことはあるだろう。

 でも私に反論が出来ないらしい。

 そもそも私を誘おうとしたのはガイウス様だし、自分に任せろと勝手に行動を決めたのも彼自身だ。つまり、今回の事で私を怒るのは筋違いなんだよ?


「ガイウス様、お願いですから邪魔だけはしないでほしいですわ」


「邪魔だと!? 俺が、く、ぐぅぅ、し、失礼した。今日は、少し嫌な事があったのでな、頭を冷やして来る」


「かしこまりました、御自愛くださいませ、義兄上様」


 ちりんっと呼び鈴をならしてリオネッタを呼び寄せる。

 彼女も一応不問なんだよ。最後まで側仕えさせておかないとゲーム進行がどうなるか分かんないんだよ。既にルートからは脱線してる? 言わない約束なんだよ。


 リオネッタと共に、ガイウス王子を見送って。私は自分の部屋に戻る。

 ボーエン先生にリオネル様、影のおっちゃん数人が魔法訓練中だ。


「兄上はどうだって?」


「暗殺失敗でこってり絞られたようですごく悔しそうでしたわ」


「これで、止めてくれるといいんだけど……」


 それは、無理だろうなぁ。さすがに目立ったことはしばらくしないだろうけど。マルチーナさん暗殺計画はまだ続行するだろうし。

 リオネル様については、もしかしたらこれ以上は暗殺しないつもりかもしれない。

 ガイウス様にとってリオネル様はライバルに成るかもしれないだけで敵対する意味は無いに等しい。なにしろ自分の方が継承権上だし。


 暗殺のうまみも無いのでこのまま放置してくれると嬉しいな。

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