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1202話、ロゼッタ、来年に向けて

「おお、お待ちしておりましたロゼッタ嬢」


 両手を開いて私の到着を待っていたのは、国土交通大臣である。

 本日、王城にやってきた私は、宰相閣下にお願いされて秘密裏に進めているライオネル王国観光地計画を推し進めるべく、国土交通大臣と秘密の会合を開いたのだ。


 ここにいるメンツは他の者たちに知られることなく、ライオネル王国の国土を改造するために集まったメンバーである。まぁ殿下とかサラディンもいるんだけど。


「ロゼッタ嬢、こっちだ」


 すでに座席についていた面々の一人が手招きする。

 一部メンバーは顔を仮面舞踏会用のマスク、というか眼鏡というか、それで顔隠しできてます? と困惑する仮面を被っている。

 高位貴族だから身バレしないようにという措置なんだけど、上座に座ってるのエリオット殿下だよね。

 私を手招きしたのもサラディンだし。

 まぁ本人たちは気付かれてないつもりらしいから指摘はしないでおこう。


「さて、メンバーは揃ったな。今回話し合いを行いたいのは、来年に迫るライオネル王国での国際会議に関してだ。今年は別の国になったので問題はないが、来年は確実らしい」


「確か、少し前まで今年にライオネルだと聞いておりましたが? そのため遊園地の設置も早めたと聞いております」 


「確かに、事実去年の年末までは私も国際会議は今年ライオネルだと聞いていた。しかし、マギアクロフトから提案があり、各国の数がかなり減ってしまったため、再度国際会議の場について話し合いをしたいとなってな。結果的に今回集まる場所は親竜共和国となった」


「えぇ……えり……っと失礼、マスクそれがし様親竜共和国は家すら存在していない場所では?」


「去年から急激に復興が進んだらしくてね。一応復興支援を行う名目で決まったんだよ。つまり、復興支援物資各自で持ち寄って来いということらしい」


 なんとまぁ……


「我が国から持っていく資材は選定中ではあるが、基本は建築資材だろうな」


「あとは備蓄の余りを国民に配るくらいだろう」


「その辺りは今回は関係がないので割愛だ。ロゼッタ嬢。今回の建設計画を頼む」


「かしこまりました。では今年一年の建設計画をこちらの図案にまとめました。お手元の資料をご覧になりながら説明をお聞きください」


 ボードをアイテムボックスから取り出して説明を始める。

 文官たちが資料を配り終えたのを確認し、私はプレゼンテーションを開始するのだった。


「今年の目的は他国が驚く街づくり。まずスラム街を滅ぼします」


 ざわつく大臣たちだが、言葉とは裏腹の資料を見て納得したようだ。


「ええ、滅ぼすと言ってもまだ残っているスラム街の住民に仕事をする機会を与えあぶれる者が出ないよう全ての者が働ける環境を作ります。さらに下水設備の増強。主要機関のトイレ、風呂の常備、町民用の大衆浴場建設と貴族街に他国用宿泊施設の拡大完備。一区画を丸ごと改造して外国要人用大型宿泊施設、ハイランク銭湯、通称スパリゾート施設を造ります。また区画から立ち退いた貴族用の新しい家の建設と彼らへの手厚い保証。さらに観光施設の建設を提案します」


「観光施設と言っているが、これはまた変わった施設だな。トラック? スタジアム?」


「簡単に言えば多目的運動場の建設です。今までは武闘会会場しかなかったので他のことはできませんでした。こちらはスポーツ全般がこなせるドーム型会場で武闘会はもちろん、マラソン、球技、コンサートに至るまで多目的の会場として使える運動場となっております。外周には武闘会会場同様休憩室や露店も完備、館内施設も充実させる予定ですので一日中過ごせる施設を予定しております」


「はは、シャワールーム、温泉完備、トイレも複数? こんな施設王城よりも豪華ではないか?」


「いや、王城はこの前新しくなったばかりだろう。トイレも温泉も設置されているし王族用の中庭もある。豪華さでいうならば王城に軍配は上がるだろう」


「つまり、王城よりは劣るが民間で使うには豪華すぎるほどの施設、ですな」


「もちろんチケット制にして入れる存在を区切ることもできますが、私としては一般市民も入れる施設を考えております。その辺りは宰相閣下などとよく相談していただければと思いますわ。あくまで提案ですので」


「ふむ。使用目的相手に関しては父……宰相閣下と相談してみよう」


 サラディン、自分で自分の身分バラしちゃダメじゃん。


「ロゼッタ嬢、この全天式ドームというのは?」


「晴れの日はドーム天井が動いて青空の元競技を行えるように、雨天などは天井を覆い室内として競技を行えるようにしてあります」


「ふむ。確かにこれは用途が沢山存在するし、理想的な会場だな」


「一考の価値はあるが。予算は?」


「基本私や兵士が建築しますのでコストカットが可能です」


「私が出した試算ですが、本来の建築費用が400億サクレと言ったところでしょう。建築費用はロゼッタ嬢のおかげで端折れるので、費用としては80万サクレ程あれば作れると思われます。後はどこに作るかにより値段は跳ね上がりますが」


「ふむ。騎士爵が多い市民街との境界に作るのが一番安く済みそうだな」


 今年の建築計画が徐々に形になっていく。さて、そろそろ私も親竜共和国への移動準備しないとねー、3月には皆で移動しちゃうんだよ。

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― 新着の感想 ―
[一言]  5万分の一のコストカットって……(^^;a  まぁ、公共事業だからコストカット云々は民衆には伝わらないだろうけど、これを彼らに絶対に下ろしちゃダメっすよ。建築業者が軒並み潰れる(- -a…
[良い点] コストカットのレベルじゃないよこんなの!!元の金額から見たらタダなんだよ!? [一言] 実際1日分、作業する人数の人件費あれば公務員にやらせるから金額交渉もいらないもんね…
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