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1201話、レッド、覇王を知るモノ

SIDE:バーニングレッド


 応接間に通された俺たちは、転生者を名乗るファーガレアの王と王妃を前に、ティータイムとしゃれこんでいた。

 意外とおいしいなこのクッキー。

 っていうか、こんなにリラックスしてしまって大丈夫なのか?

 相手が転生者かどうかもよくわかってないんだぞブルー。


「はー、地球に秘密結社。それに怪人、かぁ」


「正義の味方なんて初めて会ったよ。僕は病院から一度も外に出られなかったからなぁ。たまにテレビでやってるのは見てたんだけどね」


「ジームベルク、それは特撮だから、この二人は本物らしいわよ。私の居た世界じゃ居なかった本物さん」


「やはり、別世界の日本から来たのですか」


 ブルー?


「別世界って、日本は日本だろブルー?」


「いや、少し考えてたんだ。俺たちがこの世界に呼ばれたのは仕方ないとして、異世界が無数にあるのなら、俺たちの知らない日本人を名乗る異世界人がいてもおかしくないんじゃないかって。王妃様の話を聞いてわかったよ、異世界日本は存在する。王妃様の前世には戦隊ヒーローや怪人、秘密結社は存在しなかったってことだ」


「あー、一応秘密結社は存在噂されてたわよ、あくまであるらしいっていう噂だったけど。でも怪人を作ってるとかじゃなくて普通の秘密組織」


 秘密組織の普通ってどんな普通だよ。


「しかし、エグエール王国で勇者召喚が行われていたなんてなぁ、これロゼッタさんが知ったらどうなるんだろ」


 ろぜ……ロゼッタ!?


「ファーガレア王、今、ロゼッタと言われましたか!?」


「ん? そうだけど、ブルー君、何か問題が?」


「いえ、実は……」


 俺たちがここに来た理由を、ブルーが話し始める。

 その話、言ってしまってよかったのか?

 ただ、話を聞いていくごとに、王妃が何とも言えない顔をし始める。

 いや、あれは、含み笑い?

 ファーガレア王も困ったような、呆れたような顔をする。


「ああ、うん、きっとそれはロゼッタさんのやらかしだろうね」 


「あいつ、なんで遠く離れたエグエールの邪神滅ぼしてんのよ。タイミング良すぎでしょうよっ」


 やはり、あの噂のロゼッタなのか。

 邪神を滅ぼした存在。

 本当にこの大地から魔法を行使してエグエールで復活した邪神を滅ぼした……


「あの、そのロゼッタという存在について、教えては貰えませんか?」


「いいけど、何であれのことが知りたいわけ?」


 王妃が怪訝な顔をする。

 なんだろうか、やはり下手にちょっかいを掛けるなとでも思っているのかもしれない。

 何しろ邪神すら滅ぼす危険な存在なのだから。

 でも、だからこそ放置するわけにはいかないだろう。

 もしかしたら、どこかの誰かを虐げているかもしれない。

 気まぐれに殺しているかもしれない。


「私たちが得ている情報では、曰く、たった一人でドラゴンを切り裂き、ゴブリンパレードを駆逐し、数多の王国を滅ぼしたとか」


 その言葉に、王妃と国王は互いに顔を見合う。


「意外とまぁ、正確?」


「そうだね。噂って尾ひれ背びれが付いてるもんだけど……ああいや、数多の王国は滅ぼしてないか。それは僕の噂と混同してるんじゃないかな」


 ああ、なるほど。確かこのファーガレアは国王がスグニマケイルを滅ぼし、周辺国家を平らげたことで巨大国家になったとか。確かに数多の王国滅ぼしているけど。


「あ、アレじゃないジームベルク。確か天竜帝国滅ぼしたわよね」


「え? ロゼッタさんからはあれやったのミリアだって聞いてるけど」


「私がそんな大それたことできるわけないじゃない!?」


「あー、そういえば、確か婚約者を暗殺されそうになって暗殺組織雇った国々に反撃した時、いくつか国滅んだんじゃなかったっけ?」


 婚約者がいるのか?

 しかし、暗殺の反撃で国を滅ぼすのか。

 やはり危険人物らしいな。


「あと、他の情報では邪神を指先一つで降し、邪魔するものをことごとく粉砕し、世界に己の常識を押し付ける悪夢だという。逆らった竜種の群れはたったの一撃で全て滅んだともされているとか」


 再び互いを見合う王妃と国王。


「だいたい、合ってるな」


「だいたい合ってるわね」


 合ってるのか、俺はさすがに最後の一文は言いすぎだと思ってたんだけど。

 竜種の群れを……一撃で?

 本当のことだと知った今、背筋を得体の知れない何かが駆け抜けたような気がした。


「それで、噂の存在の名前が……覇王ロゼッタ「「ぶふぉっ」」」


「覇王っ、覇王なの!?」


「ぶふっ、そ、そうか、そう伝わっているのかい」


 どうやらツボだったらしい。覇王とは呼ばれてないのか?

 俺はまたゴツイ男みたいな女傑だと思ってたんだけど。


「そうね。今の彼女を言い表すなら、覇王より、アレよね?」


「そうだな。アレだろう。先ほどの話にも有ったように、彼女には確かに二つ名はあるんだ」


「それは……?」


「竜滅姫、だ」


 竜を滅する姫……竜は一度、戦ったことはある。生まれたばかりの炎龍だったけど、皆死にかけたのは記憶に新しい。

 正直成体竜がどれほど危険な存在なのか、想像すらしたくないのに、それを殺したことで竜滅姫と呼ばれた女。

 俺たちだけで、勝てるんだろうか……

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― 新着の感想 ―
[一言] >もしかしたら、どこかの誰かを虐げているかもしれない。 ロゼッタ「やって何が悪いか、なんだよ。 どうやっても反省も更生もしない悪党ども相手に、甘い対応をしてもロクな事なんて無いんだよ。 そ…
[一言] レッド……まだロゼッタ相手に喧嘩腰スタートする気とは……節穴アイも甚だしいですな 航海途中で見た魔物が討伐されてた光景も未だ丸々無視したままですし……
[一言] 正義の味方とっての悪て 強い者は弱いものを迫害する可能性が あるからすなわちロゼッタは悪 自分より強いものは化け物すなわち悪 すなわちロゼッタは悪と言うが 負けるな僕らのロゼッタ 正義は勝…
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