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118話・ロゼッタ、周り中が敵とか、城に居させられないんだよ!

「そうか、護衛兵全てが……しかし用意したのはそなたであろう?」


 確か、護衛は自分が信頼できる兵士を用意するのが習わしだっけ?

 それなら確かにリオネル様の自業自得になるんだけど……


「そ、それは、その……ガイウス兄様が用意して下さったので、自分で選んだわけでは……折角兄上が選んで下さった兵士ですから、信頼してしまいまして」


「!?」


「なんと……」


 ガイウス王子、多分リオネル様殺せるだろうと踏んでたから普通に用意したみたいだけど、めっちゃくちゃバレちゃってるじゃん。

 どーすんだろ、これで弟暗殺しようとした事王様にバレちゃったよ?


「そう言えば、ネムロスはリオネル王子に仕える前ガイウス王子の執事をしていたはずですな」


 宰相さんはなんか三国志の軍師として出て来てもおかしくないハの字型髭を指でつまんでさすりながら思いだし発言を行う。

 国王陛下もそう言えば、と苦い顔をし始めた。


「仔細理解した。リオネル。今回の領地視察は取り止めにする。しばし自室でゆったりと過ごせ」


「それは止めた方がいいかと」


「貴様また!?」


「ベルンだったな。我が采配を覆すと言うのだからソレ相応の理由があろうな?」


 ぞくりっと背筋を嫌な汗が伝う。怖っ!?

 でも、ここで放置すると折角助けた意味がなくなっちゃうんだよ。


「確かに、今のリオネル様の精神状態であれば自室で落ち付いていただくのが一番でしょう。しかしながら、そこは本当に落ち付ける場所でしょうか?」


「何が、言いたい?」


 怖っ。これは遠まわしに言うべきじゃなさそうだ。勿体ぶった言い方は止めた方が良いな。


「簡単に言えば、ですね。部屋は落ち付きますが、そこに出入りする人物は信頼出来ないのではないですか?」


 私の言葉で宰相ははっとした顔になる。よし、後は任せたおっちゃん。


「陛下。ネムロスのようにリオネル様身辺にまだ命を狙う輩が居ないと確認できておりません」


「む、確かに……折角助かったのに城内で暗殺されては困る。ベルンとやら、そう告げるということは代替案がある、ということか?」


「リオネル様にとってこの者ならば絶対に信頼出来る。そういう人物にしばしリオネル様をお預けになるのはいかがでございましょう? リオネル様、そのような方はいらっしゃいませんか?」


「僕、いえ、私には婚約者がおります。かの家であれば、安心も信頼もできるかと……」


「ベルングシュタットか。どうか?」


 宰相のおっちゃんに尋ねる国王陛下。宰相はふむと顎に手をやり考え、そして告げた。


「なかなか良い案かと思います。侯爵家の護衛であれば婚約者であるリオネル様を全力でお守りするでしょうし、ベルングシュタットにとっても自分の仕事を引き継ぎさせる時間が取れるので喜んで引き受けるでしょう」


「ふむ。ならば同時にリオネルの付き人全てを徹底的に洗え。少しでも怪しい点のある付き人は別の場所へ。それとガイウスを呼び出せ。余自ら尋ねねばなるまいな」


「護衛兵は揃えておくべきかと。逃げ切る知恵がなければ馬脚を現し襲いかかる可能性もございます」


 宰相さんがガイウス王子を危険視し始めた。さすがのガイウス王子も父親相手に暴走は……しかねないな、あの人。

 ま、いっか。とりあえずリオネル様はこのまま私の家に連れて帰ろう。


「リオネル。下がって良いぞ」


「はっ!」


 リオネル様が立ち上がる。私達も帰るよ。キーリに合図を送って立たせる。

 リオネル様が王様に顔向けたまま後ろに歩きはじめたので、私はそれに習……キーリ!

 普通に背を向けて戻ろうとしたキーリの腕を掴み取り、無理矢理国王様向けて後ろから引っ張って行く。

 ええい、なんで私がこんなことっ。


 なんとか謁見の間を抜けたので、キーリを解放、粗相しなくてよかった。

 寿命が縮むかと思ったよ。

 不意に、くぐもった笑いが聞こえたので溜息吐いていた顔をあげれば、くすくす笑うリオネル様。


「ごめん、なんだかそんな焦った姿新鮮で……」


「もぅ、意地悪ですリオネル様」


 とはいえ、ここもまだ兵士さんがいらっしゃるので役職を脱ぎ棄ててロゼッタに戻る訳には行かない。

 リオネル様と連れ添って城を出る。

 馬車については既に宰相さんが手を打ってる筈なので外で馬車待ちだ。

 まぁ、すぐ来たんだけどね。お父様が。


 なんで王城の前で普通に待ってるの!?

 タイムラグがなさすぎというか何時連絡行ったの!?

 謎過ぎて驚きなんだよ。王族怖いなっ!?


「リオネル様、話はお聞きしました。ロゼッタとキーリは出掛けておりますが……ってロゼ? なぜそこに居る?」 


 なぜバレた!?


「えーっと、ギルド任務中なんだよ?」


「そうか、リオネル様の護衛に付いた冒険者……いや、話は屋敷に帰ってからだな。さぁ、乗ってくださいリオネル様」


 馬車に乗り込むリオネル様。

 お付きの人と護衛さんに守られ、ようやく一息吐く。

 ふむ。これからは王城に帰ってからも危険はあるし。この期にリオネル様にも結界張れるように覚えて貰った方が良い気がするんだよ。

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