表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/1848

117話・ロゼッタ、お城にとんぼ返りするんだよ

 リオネル様を助けた私達は、そのままの足で城へととんぼ返りした。

 キーリ、絶対だからね。絶対にタコ足とか出しちゃダメだから!

 再三注意して私はベルン、キーリはダールとしてロールプレイを敢行する。


 今回リオネル様を助けたのはD級冒険者のベルンとダールだけである。

 ゆえにロゼッタとばれても駄目だし、キーリだとバレてもいけない。

 なにしろキーリは侯爵邸で私の妹という設定で存在しているのだ。それが冒険者としてここにいると分かれば私に辿りつかれる。


 今、ガイウス王子に気取られるのは避けたいので、王の前だといえども偽らせて貰うしかない。

 その辺りはリオネル様も理解して下さったので私達は男性二人パーティーとしてリオネル様の護衛で王城まで戻ってきたことにさせてもらうのである。


「どうぞリオネル様、国王陛下がお待ちです」


 謁見の間へとやって来る。

 うわぁ、夜会の時とは全然違う厳かな雰囲気の国王陛下が玉座に座って待っていた。

 凄く気遅れする。侯爵令嬢としてここに来たとしても、この光景見た瞬間私は回れ右して逃げ帰る自信がある。


 だけど今回はリオネル様の付き人として向うので逃げる訳には行かない。

 兵士達が武装を解除しようとしてくるが、今回は無理矢理武装したまま謁見に臨ませて貰う。

 あくまでリオネル王子の護衛であるということで押し通らせて貰った。理由についても王に告げる。

 これは王族への侮辱でも反逆でもない。王族を守るためのものであると、大声でのたまえば、国王陛下も何かを察したようで許可が出た。

 許す、そのまま来るがいい。って言われたもんね。

 ふんっと鼻息鳴らして兵士にドヤ顔見せつけリオネル様の護衛として周辺を警戒しながら陛下の元へ。


 眼前の段差より手前の赤い絨毯部分で立ち止まったリオネル様。

 謁見の間って大体赤い絨毯が入口から玉座まで一直線に敷かれてるよね? なんかこういう間取りしなきゃいけない決まりがあるんだろうか?


 リオネル様が腰を折って平伏したので、私達もそれに習う。キーリも事前にしっかり教えておいたのでけっこう様になる片膝付いた平伏を見せていた。

 王の声が掛かるまでしばしそのままを維持する。

 よい、面を上げよ。その言葉が掛かるまで待たないと不敬罪で処罰されるのだ。怖いね謁見。


「リオネルよ、そなたには地方の挨拶周りを命じた筈だが、何故戻ってきた?」


「は、はい、それは……」


「失礼致します陛下、リオネル様にはショックが大きかったかも知れませんので、詳細については私からよろしいでしょうか?」


「貴様! 王の御前であるぞ!? 平民風情が意見する必要は……」


「よい、その方、リオネルが戻った理由を知っているということでよいな? 自分の名とリオネルに付き従ってここに居る理由を申せ」


「はっ! 我が名はベルン。隣に居る甲冑は我が相棒のダールと申します。冒険者ギルドにてD級冒険者をしており、此度王族の挨拶周りの護衛として雇われました」


「嘘を申すな! D級冒険者だと!? 護衛依頼はC級からだということを知らんとでも思ったか!?」


 そこの大臣煩い。なんか凄くつっかかって来るな。なんなのあのおっちゃん? 禿げ頭なんだよ。いや、むしろ、河童カット?


「誠かベルンよ?」


「それについては依頼主側からの指定でしたので私からはなんとも。ギルド長から受けた依頼内容は、D級の冒険者を王族の護衛として1パーティー雇いたい、とのことでしたので。値段もかなり高かったので引き受けた次第で。まさかあのような事になるとは想定外でした」


 ふぅっと哀しげに告げる。

 すると国王と宰相が何かを察したようだ。

 この場に居る重役は国王と宰相。それから河童大臣と狐大臣と狸大臣、あとなんかむっちゃマッチョなおっちゃん。これも多分大臣かな?


「何があった?」


「まず、盗賊に襲われました。本来なら迎撃に向かう兵士が全て裏切りました。リオネル様の傍付きであったネムロス? とかいう執事まで裏切りリオネル様を殺そうと致しました。ゆえに我々二人以外の護衛は全て敵となり、二人でリオネル様を守り通しました、が、このまま各地の挨拶周りに行くには人数が足らず、無数の裏切りに遭われたリオネル様では王族の務めをこなすに支障をきたしかねないのでは、と三人で相談した結果、一度陛下の判断を仰ぐべきでは、と戻ってきた次第にございます」


 兵士が敵に回った、の辺りで驚いていた国王と宰相、続く裏切りに言葉を失ってしまっていた。

 御蔭で言いたいことは一通り話終えれたよ。


「な、なんという……いや、よくぞ無事に戻ってくれたリオネル。危うくお前を失うところだったのだな?」


「は、はい。この冒険者達の御蔭で、命を取り留めました。王族とはかくも危険な旅をせねばならぬのですね……」


 いや、それはない。きっと国王と宰相は同じことを思っただろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 出来ないのに無茶をするのと出来るのにやらなかったは全然違うし、やらなかった結果傷つけた或は殺されたってなったら共犯だよな(笑)
2022/01/06 16:08 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ