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1118話、ロゼッタ、魔改造の薦め・2

「あ、あのぉ……」


 国土交通大臣がおずおずと手を挙げる。

 どうやら場違い感に堪え切れなかったようだ。


「私めはどういった用件で呼ばれたのでしょうか?」


 できればもう少し後にしたかったけど早々にお暇したそうだし、先に伝えるか。


「本当ならばこの後警備体制の綻びについて意見交換したり、新規警備方法の模索など話し合いたかったのだが、これは確かに国土交通大臣が居なくとも可能だな。では先に今回暗殺者が気軽に王城内を闊歩できたことについて議題を上げる。大臣級会議でもこれは問題であるとして早急に改革すべしと許可が出た。すなわち、ライオネル城改造計画だ」


「ま、まさか私を呼んだ理由とは!?」


「ええ、王城内工事に関しては国土交通大臣の許可が必要であると宰相閣下が教えてくださいましたので、下手に手を加える訳にもいかず、この度会議に参加させていただきました」


「し、しかしですな。王城の改築となると多額の費用が必要になりますし、我が国の国庫はこの四年ほどで数倍になったとはいえ、改築を行えるほどの余分な資金は……」


「そこでこちらが改築案になりますわ。フェイル、他のメンバーに資料を配って」


「了解しました」


 まさかの副総司令官がプリント配りだしたので下っ端の若い近衛兵二人が慌てて手伝いに向かった。

 他のメンバーも腰を浮かしかけたけどフェイルに止められて配られるままになる。

 いや、なんかごめん。すぐ近くにいたからついフェイルにお願いしちゃったんだよ。


 しばし、皆が資料とにらめっこし始める。

 ペラ、ペラっとめくれる音だけが響く室内ってちょっと暇を持て余すなぁ。


「あ、あの……この用紙は一体どうやって作ったのですか? 羊皮紙とは違うようですが?」


「プライダル商店の錬金術師が作った用紙ですわ。錬金術師の数が少ないのであまり数は作れませんが、軍の用紙として多用しておりますの」


「そ、そうですか……なんとつるっとした紙で……いえ、失礼。改築案でしたな」


 大臣さん紙の材質に夢中だな。やっぱり木から作った紙は書きやすそうで欲しいんだろうね。

 残念だけどそこまで量産できるものじゃないからプライダル商店でもあまり取り扱いがないんだよ。

 すぐ売れちゃうし。


「これは……本気ですか軍務総司令官殿」


「ええ。では皆さん大体読み終えたようなので順を追って説明いたします」


 ホワイトボードをアイテムボックスから取り出し、皆の前で城の図を描いていく。


「今回、敵の侵入経路がこちらとこちらとこちら、あとここですね。まさか王族の緊急避難設備が侵入に使われるとは思いたくありませんでしたが、実際に使われてしまったのでこの辺りの脱出口は実質使えないということになります。そしてこことこことここ。あとここは侵入者が入り込んでしまうとただ通過されるだけの通路となってしまっています。さすがにこれは捨て置けません。また謁見の間前の通路、あるいは陛下が向かう王族用の部屋への通路。これらにも侵入防止や認証装置が必要かと思われます」


「うぅむ、確かに、必要ではあるのだがね。改革を行うとなれば、これはもうここにある通り、王城を一旦全壊してしまう方がいいでしょうな。しかし、本当に可能なのですか、たった一日で城を立て直すなど」


「私一人だとさすがにこの大きさは難しいけれど、兵士たち全員とであれば問題なく建てられるでしょう。あとは図面通りに作りますので図面の詳細な配置図が必要になることと、建築後の移転作業ですわね。陛下の私物などは私のアイテムボックスで管理いたしますが、それ以外はまだ決まっておりません……それと、陛下の後宮と殿下の後宮を分けて再建したく思いますのでついでに図面を作っていただきたいのです」


「ふむ……魔法で作る、か。確かにそれであれば実質建築費用は0サクレ。移動はメイドや執事を総動員すれば問題は無い、か。陛下の身の安全は近衛部隊が全力で警護。ふむ。確かに現実味を帯びておりますな。罠の作動に関してもこれならば問題にもなりますまい。あとは……配置図ですな」


「ええ。城内を見回って必要な部屋数は確保したと思うのですが、やはり建築関連は国土交通大臣の方がよく知っておられるでしょう? 隠し通路に関しては私と宰相閣下とで作りますので、国土交通大臣には図面の不備確認と後宮の図面作成をお願いしたいのです」


「ううぅむ。このような大事業は私の代では初めてなので不安もありますが。ここまでお膳立てしてあるとなればやらないわけにもいきませんな。何より陛下の身の安全を思えば確かに王城の改築は必須。わかりました。宰相と話をさせていただきます。この図面は持ち帰っても?」


「構いませんわ。正式な図面を楽しみに待っております」


「了解した。最優先で行うとしよう。では、失礼する」


 国土交通大臣が退出し、私は兵士たちとの話し合いに専念する。

 これからの近衛部隊の配置や陛下の警護に関しての改良案、ついでにライオネル軍の今後の活動や配置などなど、この際決められそうなものはさっさと決めさせてもらうことにした。

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― 新着の感想 ―
国土交通大臣さん、あのロゼッタを相手に頭の切り替えが早い。 有能だな… ライオネルは、割とボロボロだったくせに人材は結構転がってるよね。 さすが物語の中心といったところ
[一言] さてさて!どんなお城になるのかなぁー?機械仕掛けの魔法のお城とか夢がありますよねー! サイエンスフィアとマギアクロフトの出鼻を打ち砕いてほしいなぁ!
[一言] > 「今回、敵の侵入経路がこちらとこちらとこちら、あとここですね。まさか王族の > 緊急避難設備が侵入に使われるとは思いたくありませんでしたが、実際に使われて > しまったのでこの辺りの脱出…
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