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106話・ロゼッタ、傍から見ると大ピンチだったらしい

「コボルトはんがようけこといらはるわぁ」


「コボルトの巣だねぇ、えーっと、地図の上に書き込んどいた方が良さそうなんだよ。コボルトさん、リーダーさんいる?」


「主様、コボルトは会話出来へんよ?」


 しかし、コボルト達の合間から、一際凶悪そうなコボルトが現れる。

 ぐぁうっと鳴き声を一つ、攻撃する気配が無いのでとりあえず話し合いをしてみるんだよ。


「えーっとはじめまして。人間の冒険者なんだよ」


「ぐぁぅ?」


「冒険者っていうのは、えーっといろんな場所に向かって、そこに何があるかを見て、たまに魔物と闘って、素材集めたりする存在?」


「やから、コボルトにそんなん言うても意味ないて……あら?」


「今日は森の中に人間にとっての危険がないか観察に来たんだよ。ここの村はゴブリン村みたいに人間の脅威になるのかな?」


「ぐわぅわう」


 なんと、私の言葉に首を横に振って反応を見せるコボルトリーダー。

 実は結構知能高い?


「コボルトって喋れないだけで知能高い?」


「わう」


 会話。出来ちゃってるっぽいんだよ?

 これって亜人として成立出来ちゃうんじゃないキーリさんや。


「人語喋れんでも知能認められたら確かに亜人と認められるやろなぁ。でも主様、敵性亜人とかもおるから人間が殺さなくなるってのは保障出来へんよ?」


「まぁ、そうなんだけど。一応コボルト村は大繁殖で人間の領地に攻め入ってきたりはしなさそうなんだよ。オークやゴブリンみたいに他種族攫って子作りとかもしてないみたいだし」


「コボルトはその辺犬種オンリーやんな。フォレストウルフも村で見かけるから共存しとるみたいやね」


「はへー。それはそれで乱れてますな。まぁその辺りはどうでもいいんだよ。とりあえず人間の脅威になりそうにないならそれでよし。モンスターパレード起こさないなら問題ないんだよ」


「わぅん」


 言うだけなら誰でも出来るけど、一応頷いているようだ。


「んじゃー、確認は終わったので帰るんだよ。あ、もしかしたら人間の一団がやってくるかもだけど友好そうなら攻撃よりまず会話を試みるといいんだよ、もしかしたら使節団かもしれないから。でも武装した人間数人だけならただの冒険者なんだよ。あと襲って来たコボルトさんたちは倒しちゃったけど謝らないよ? 闘いは常に非情なんだよ」


「謝っても帰ってこんからなぁ、しゃーないて」


 コボルトたちも気にしていない様子なので、そのまま別れて森の中を探索再会。

 しかし、ゴブリンの群れが居なくなったせいか森の中が生き生きしてる気がするんだよ。

 小動物多くなってるし、変な鳥の鳴き声聞こえるし。

 なんだよジョーって?


 しかもジョーの前にはタッツー、タッツーとかンダー、ンダーとか別の鳥の鳴き声が聞こえるし。

 全部が重なるとなんかおっちゃんの声に聞こえちゃうんだよ。

 一見したところ、ヤンバルクイナみたいな鳥がタッツーとか鳴いてたから鳥の一種類はこいつで確定かな?


 お? キーリ見て見て、スライムだよスライム。

 なんか粘体生物が木の枝辺りにぷらぷらしてるんだよ。

 ゲームでみたことあるような葛餅形態。


「ファイヤーボールッ!」


 震える姿が可愛らしかったので思わず手を差し伸べる。

 その刹那、スライムが物凄い速度で飛びかかり、横合いから飛んで来たファイヤーボールに直撃して消し飛んだ。

 えぇーっ!?


「大丈夫ですかッ!?」


「馬鹿なのか!? スライムにわざわざ触れようとするなんて!」


「死にたいのか新人ッ!」


 うわわっ!? なんか四人組のパーティーが怒声響かせながら走り寄って来たんだよ!?

 男性二人と女性二人のパーティーは、私の元に辿りつくなり私の腕をつぶさに観察して来た。


「よし、くっつかれてないな」


「ホントに、危ない所でした」


「スライムは一欠片でも残ってれば身体中溶かされちまうからな。下手に触れちまってたら腕を斬り落とさなきゃならねェ所だ」


「私の魔法、今度は間に合ってよかった」


 最後に、肌の黒い女性が安堵したように息を吐く。

 こっちは完全に???なんだよ? 頭の上にハテナマークがワルツ踊ってるんだよ?


「なんやぁ?」


「えーっと、ありがとう? でいいの、かな?」


「もしかして君、スライムの事分かって無かったのか!?」


 ……どゆこと?


「スライムは粘液微生物の集合体なんだ。人体にくっついたら一匹一匹に分かれて肉という肉に食い付き内側から食い破って来るんだぞ!」


 え? 何ソレ怖っ!?


「スライムって対象を包みこんで溶かす粘液生物じゃないの?」


「何処の間違った知識だよ!?」


「ライリー落ち付いて。二人とも驚いてるじゃない」


「でもナパツィタさん、スライムの脅威を知らずに森に入るなんて……幾ら新人といえども常識がなさすぎでしょう! 俺達だって先輩冒険者に教えて貰ってたんですし、冒険の際はあれほど油断するなって……」


「御免なさいね、ライリーさん、初の戦闘で全滅しかけたことで知識無く冒険に出てる人に厳しくて」


 よくわからないけど、そこの怒鳴り散らすリーダーさん、ライリーっていうの?

 それ、何処の攻略対象なのかな?

 また一人、出会う筈の無い攻略対象が向こうから来ちゃってるんだけど!?

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