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1026話、ロゼッタ、サイエンスフィア国際会議四日目・3

 映像が終わった。

 どうやら後半の兵士編に関しては割愛されたようだ。

 宰相閣下としては兵士の実力がどれ程かを知られるのはマズいので、私の実力だけ知らせることにしたらしい。


 いい迷惑なんですが!?

 これで私、天竜一人で倒しちゃった竜滅姫だってバレちゃったじゃん。

 どーするよ。いや、どうしようもないけども。

 しかもキーリが吹っ飛ばされる映像も流れてたし。

 これで邪神<天竜<私っていう対比ができちゃったじゃん。

 というか兵士達が闘うとこは割愛されてたし、新しく編集したなこれ。

 竜の誰かが関わってるな。ヴァイスヴァイテか、いや、宰相閣下が気軽にコンタクト出来るのは……シュートラウアだな。あとで鱗が剥がれるくらいきれぇーいにブラッシングしてあげよう。徹底的に。てっっていてきにッ!!


「いや……なんだね、これ?」


 口をあんぐり開けてサイエンスフィア王が告げる。

 心ここにあらずって顔なんだよ?


「噂は、聞いたことはあったが……天竜が死んだなど眉唾だとばかり……」


「く、くふ、あはははははっ!」


「ど、どうしたアマリリスの!?」


「いや、はは。なんっだこれ、人がたった一人で天竜討伐? しかも嬢ちゃん死んだみたいになってたけどそこにピンピンしてんじゃないのさ。この映像が本当なら竜を殺した人間。しかも天竜帝国が長年悩んでいた天災級のバケモノを単騎撃破だぞ。こんな面白れーもん初めて見たわっ。これ、最高ね!」


「い、いや、アマリリスの、ことはそう単純ではなくてだな。あの娘はつまり、天竜を殺す程の実力を持っているのであろう? 今ここで、彼女がその気になれば此処に居る全ての王族を殺しつくすほどの実力を!」


「あまりにも強大な力を持ち過ぎているッ、人が持つ力ではないっ」


「おやおや、サイエンスフィア王もマギアクロフト王も大国であるのに随分と愚かなことを言うんですね」


 おりょ? 私や宰相が何かフォロー入れなきゃいけないのかと思ってたらジームベルクが喰ってかかったぞ。


「なんだと!?」


「人が持つ力ではない? 逆でしょう、この力を手に居られるのは決して努力を怠らず自分が強く在ろうと努力する人間にしかできないことです。あらゆる困難を国のため、人のため、自分の大切なものを守るために使ったのです。誉れこそあれ、批難されることなどありはしません。知ってますか? ライオネルの兵士達が叫ぶ掛け声?」


「掛け声?」


「そこの少女、ロゼッタさんが考案し、ライオネル兵、今は確かメルクナードやザルツヴァッハにも派生しているのでしたか。国を守る兵士の確在るべきとした心得です。彼女はその心情を守っているだけの愛国者に過ぎません。ソレをバケモノや侵略者と捉えるなど愚かとしか言いようがないでしょう」


「き、貴様、若造の分際で」


「マギアクロフト王。若いか老いているかは問題ではありません。ライオネルはしっかりと映像で説明してくれました。邪神洞窟をどう攻略したか。邪神を誰が降したか。彼女は確かに天竜を殺し邪神をテイムするほどの実力者です。しかし、人間であり、ライオネルの守護者である以上、天竜のルギアスさんや、エルデンクロイツのラトヴィール王女と変わらない武将の一人です」


「う、うぬぅ」


「さらにライオネルはわざわざ秘匿すべきダンジョンに存在する意思持つダンジョン核の存在を我々に披露したのですから、我々にとっては敵対する意味のない友好的な存在、ライオネルを攻める意思を持つ国以外には本当に普通の隣人と変わりません。そもそも彼女がバケモノであろうがなかろうが、我々が現に生きているということは彼女は誰かれ構わず殺しに掛かったりするような危険生物ではなくしっかりと自分を自制できる人間である証拠では?」


「なるほど、そう言われれば、危険な天竜や邪神が野放しになっている訳ではなくライオネル王国で管理されているというのであればライオネルと敵対せん限りは問題は無いのか」


「ま、まてサイエンスフィアの、騙されてはならんぞ。あの小娘は人間であるのならばその力を気まぐれに使わんとも限らん。現にデーバルデ砦はアヤツに破壊され、天竜王国は滅ぼされているッ」


 それ、確証はないんだよ?

 でも当たってるから反論しづらいなぁ。


「そういえば、前に我が国の前王がつぎつぎと手ひどい事をしていたことが暴露されて無血革命が起きたな。あの時アルカエスオロゥの神像も消えたのだとか? アレも確かあの小娘の仕業と聞いたような」


「あ、あれは……ど、どうだったかな」


 最高司祭さんが口ごもる。

 そりゃメテオラ帝暗殺しようとして私の逆鱗触れましたとか言えないもんね。

 幾つもの国がメテオラ暗殺しようとしてたことを暴露しちゃうわけだし。

 私は言っても、いいんだよ? 皆なぜか顔を逸らしてお口にチャックしてるけども。


「ふむ、サイエンスフィア王、話を戻しませんかな?」


「ライオネル宰相。話を戻すと言ってもだな……確かに収拾が付かんか」


「まず、今回の報告について。我が国は全国へのダンジョンからのモンスターパレードを減らすため、意思を持つダンジョン核のテイムまたは排除を提唱いたします。当然ながら古いダンジョン程核が意思を持ちやすいそうで、そういったダンジョンはほぼ確実にダンジョン核が意思を持って運営していることでしょう。自国でダンジョンを降し管理できるのならば構いませんが手に負えないというのであれば我が国はロゼッタ嬢以下彼女の部下によるダンジョン攻略と沈静化を行う用意がございます」


 にやり、宰相閣下が凄くあくどい笑みを浮かべた。

 あー、これは打って出たぞ宰相閣下が。

 まるで獲物が弱り切るのを待ち望むコモドドラゴンのような恐ろしい顔である。

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― 新着の感想 ―
[一言] >シュートラウアだな。あとで鱗が剥がれるくらいきれぇーいにブラッシングしてあげよう。徹底的に。てっっていてきにッ!! ・止めて!禿げちゃう!!、羽のある蜥蜴になっちゃう!!。なんだよ。
[一言] シュートラウア(ぞくり)
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