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102話・ロゼッタ、プレゼントなんだよ

 あ、あそこにいるのはギリード君じゃない?

 ギリード・ヒュケイン子爵令息だ。眼隠れ君だ。華奢だ。細い。そして可愛い。

 うぅ、声掛けてナンパしちゃいたいけどお姉さんには既に婚約者が居るんだよ。

 うぅ、ショタっ子の眩しさに涎出そう。


 しかも親が別の貴族と話し始めたことで一人きりになって不安そうになっている。

 ああ、もう、こっちおいでー。

 思わず手を振っておいでおいでしてみる。

 気付いたギリード君は、え? っと驚いたように目を見開き、周囲を見回し、戸惑いながら私の元へとやって来る。


「あ、あの、えっと……」


「初めまして、ロゼッタ・ベルングシュタットと申しますわ」


 スカートのすそを軽くつまんでご挨拶。

 キーリも一緒に……って、あの邪神お母様と一緒に食べまくりツアー満喫中だと!?

 フレデリカが代わりを務めるように、私の横で同じように礼をする。


「こちらはフレデリカ・ピーターアーツ様ですわ」


「あ、えっと、その」


 挨拶されると思っていなかったので慌てるギリード君。

 私たちが待ってると、落ち付いて来たのだろう。大きく息を吸って吐いて、心臓辺りに手を当てて精神を落ち付ける。

 そして、私達を見て貴族式の礼で答えた。


「失礼しました。ギリード・ヒュケインと申します。あの、何かご用でしょうか?」


「一人で暇そうにしてらしたので、せっかくなら子供同士集まって居た方がいいのでは、と愚考しただけですわ? ご一緒に食事でもいかが?」


「え? えっと、いい、んです、か? 僕、その、子爵で……」


「あら、私貴族位については気にしてませんよ。それにほら、私の妹は既に食事に夢中ですわ」


「え? 妹? あれ魔族……いえ、なんでもないです」


 思わず私とフレデリカが笑う。やっぱり魔族にしか見えないよね。邪神なんだよ、アレ。

 あ、遠くの食糧取るために触手使いやがった!? よし誰も見てない、おっけー。


「さぁさぁ、どうぞこちらへ、折角ですし私達も食事をしてしまいましょう。どうせ大人は挨拶周りに忙しくて食事などしないのですから」


「ん」


「え? っと、じゃあお言葉に甘えて」


 それから二人と一緒に食事をしながら過ごす。

 二人とも話下手なので会話はあんまり無いけど、傍で食事しながらおいしいね。というだけで楽しいので問題は無い。


「あ、ユルゲン様」


 フレデリカがとたたたっと小走りにどこかへ向う。

 おお、あそこに居るのはフレデリカの婚約者になってるユルゲン・テリテュリーじゃない。

 ふふ、恋する乙女のように走り寄ってぇ、フレデリカったら女の子してますな。


「やぁ、君がロゼッタ様かい」


「ごきげんよう。ユルゲン様でいらっしゃいますね」


 フレデリカと二人でこちらにやってきたのでカーテシーで出向かえる。


「そちらの方は? もしや婚約者の?」


「へ? い、いえいえいえ、ぼ、ぼぼぼ、僕は違っ」


「ふふ。こちらは今日この場で仲良くなりましたギリード様ですわ。婚約者は別にいましてよ」


「そうでしたか、申し訳ない」


 ずいぶん落ち付いた印象だな。クール系男子ってところか。でも年齢8歳だよね? この時期から眉間に皺作ってたら取れなくなっちゃうよ?


「積もる話もあるでしょうし、聞きたいこともありますが、そろそろ王族が居らっしゃる頃合いですね。その内デリーともどもお邪魔してもよろしいですか?」


「私の家に、ですか? ええ、その時は友人としておもてなしさせていただきますわ」


「っ!? あの、なぜそのような笑みを?」


 笑み? あ。もしかして……


「今のはただ微笑んだだけです。顔が、その悪役顔らしいので」


「そ、そうでしたか、失礼。デリーの例もあるのですし、今年の御令嬢は表情筋が独特な方が多いようですね」


「も、もぅユルゲン様、失礼だよ」


 うぅ、なんか、恥ずかしい。

 っと、周囲が騒がしくなった。

 あの名前呼びのおっちゃんが王族の来訪を告げる。


 おお、あのおっちゃんがライオネル王!? そういえば立ち絵なかったよねライオネル王。何気に初出だよ。

 しかも王妃様伴って後ろにはエリオット王子、ガイウス王子、リオネル王子が歩いている。

 って、リオネル様!? 私見付けて近づいて来て良いの?


「やあ、ロゼッタ。その、お二人は?」


 二人? 三人じゃなくて? あ、フレデリカは丁度死角になってたのか。


「友人ですわ。男性二人は本日会いました。こちらのフレデリカ様もご一緒ですわよ」


「あ、ああ。もう一人居たんだ。御免、こちらからは見えなくて」


 あ、そうだった。今回リオネル様誕生日だったよね。


「リオネル様。今日は誕生日と聞きましたが、こちらに来てよろしいの?」


「あ。そうだった。今仕事中……」


 慌てて駆けだそうとしたリオネル様を呼びとめる。

 結局何が良いか分からなかったから実用的なモノにしたんだよ。


「どうしたのロゼッタ?」


「こちら、一足お先に誕生日プレゼントです。出来ればその、部屋に戻ってから開けてくださいませ。皆さまの目がある場所では恥ずかしいので」


「え? あ、うん。今日って知っててくれたんだ。ありがと」


 よし、プレゼント受け取って貰えた。これで夜会の目的半分は終わったも同然。

 あとはダンスまでひたすら食事なんだよ。食べ過ぎて動けなくならないようにしとかないとだけど。

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