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9話・ロゼッタ、買いモノをする4

 買うかどうかはその時の気分次第。

 何しろ魔術関連は一つ一つの商品が高いのでなかなか貴族でも手を出しにくいのだ。

 子供な私はさらに手を出しにくい。

 さすがに親の脛かじりながらそれに甘えまくるというか、脛粉砕しかねないってのはさすがにヤバい。

 自分で使えるお金を稼ぐのも急務だなぁ。


 知識チートするのは良いけど、下手なモノを提示すると商会に眼を付けられたり暗殺されたりと危険極まりないことになる。

 これも武力をそれなりに覚えて魔法にも精通した後が良いだろう。

 私ってば貴族だからいざという時この国から身軽に逃げだせる身分じゃない訳だし。

 食料品系も下手したら周囲の店潰すことになるから気を付けないと。

 問題の無い商品で儲けを生み出すように考えなきゃね。


 店に入ると怪しい揉み手の男がカウンターに立っていた。笑顔なのがさらに怪しい。

 新顔の私を見付けた店員は、笑顔になっていた細い眼をきらりと光らせる。

 いらしゃいいらしゃい、おおこれは可愛らしいお嬢さん、私のお店にいらっしゃい。と早口で告げるおっさんは怪しいなんてもんじゃない。通報案件だよ。警察さんはどこにいますか?


 おそらく無知な子供がやってきおったと思ったんだろう。

 貴族のガキなど彼にとってはカモである。

 騙されて大金出したとしても仕方ないだろう。

 しっかりと売買契約をしてしまえば高位貴族御用達の魔道具店だ、困ったことにはならないだろう。という気分らしい。多分高位貴族の息が掛かってるから並の貴族の子供程度では高い買い物させられたから返品するとか言っても絶対に聞こうとしないんだろうな。悪徳だよ。越後屋発見だよっ! 刀が出来たら悪代官諸共ナマス斬だぁっ、なんちゃって。


 店の中はよくわからない商品がいろいろと存在している。

 店員のおっちゃんが声掛けて来ないように警戒しながらリオネッタと商品を見て回る。

 魔法の杖はあんまり種類ないな。木の棒っぽいのが大量にあるけど。


「リオネッタ、魔道具のことは分かる?」


「多少なら、ですが」


「そう。いいわ、分かるモノを教えてちょうだい」


 しばしリオネッタから説明を受ける。

 リオネッタは魔法は扱えるがメイドとなった下位貴族の八女らしく、そこまで詳しくなかった。

 どういう用途に使うモノか程度は教えてくれたがどう使うのかまでは分からないそうだ。

 何しろメイドは魔法使うことがまずないらしいから。


 とはいえ店員に聞くのは危険だ。

 あの男の笑みからしてぜったいにいらない物を高額で買わせる気満々である。

 とりあえず初歩の魔道書を一冊買うことにした。これについてはリオネッタも値段を知っていた。


「これを買うわ」


「50万サクレあるよ」


 ある!? え? こいつは怪しい男じゃなくて一昔前のアニメや漫画に登場した怪しい中国系商人だったのか!? もちろん日本の漫画周辺にしか出て来ない奴だけど。

 よく主人公騙そうとして出て来て、無いアル無いアルとか言って、あるのかないのかどっちなんだ? あぽろぉっと殺される役である。


「50万、あらあら、随分とお高いこと。初期魔道書ですわよこれ?」


「ウチは50万サクレで売てるある」


「あらそう? 相場の十倍だなんて随分高いのね」


 主人の視線が変わった。


「相場調べていたアルか。こりゃまいたね」


「さすがに吹っかけ過ぎですわ。大方貴族のバカガキが大枚叩いて買ってくれるとでも思ったのでしょう」


「あいやー、まいたね。では10万サクレでいいある」


「がめついわね。相場の二倍にするの?」


「勝負はここからね。こいつを付けるある」


 なるほど、少しでも高く買わせようって魂胆か。これに5万の価値は無い。

 乗せられたのは歪な人間っぽい根菜。多分マンドラゴラだ。正直いらない。


「これは、マンドラゴラかしら、そうねぇ、勉強させていただく、ということで5万5千だして差し上げますわ」


「さすがにそれだとこちらも損害ある。9万でどうあるか」


 いや、損害はないだろ。適正価格で買わせようよ。


「わざわざ騙されて高い買い物をしろというのかしら、6万よ」


「こ、こちらには侯爵家がついてるある。あまり事を荒立てたくはないんじゃないあるか? 8万」


「あら、困ったわねぇ、じゃあ5万でいいわ」


「ちょ、今下がたあるよ!? 7万、7万でどうあるか!? さすがにこれ以上は儲けが出ないある」


「あら? 騙そうとしといて儲けまで求めるの? 分かったわ4万でどうかしら?」


「6万8千で許してほしいある。お嬢さん交渉上手ね。ワタシの方が勉強させられたよ」


 まだ高いだろうけど、仕方ない。


「まぁ、この店がどんな店か知りたかっただけですし、いいわ、6万8千サクレで買わせていただきます」


 多少高くついたが初期魔道書とマンドラゴラを手に入れた。

 どうしようマンドラゴラ。何かいい使い道あるかしら?

 リオネッタ知ってる? 知らない? そうよねぇ…… 


 よし、決めたわ。

 この店は絶対にもう来ない。

 こんな客を選んで売り付けるうえに侯爵家との関わりを告げるとか、後でお父様に言い付けて差し上げますわッ。

 その内、城で他の侯爵家の方々に娘が吹っ掛けられてねー、とか言っちゃうんだぜ。……あれ? あんまりおっさんに実害がなさそうな気がする。おかしいな?

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