部活のイベントが始まった。
そうそう、テスト返却の翌週の月曜日。
つまりは昨日のことだが、その日、部活でイベントが開始された。
イベントがというよりは、イベントの準備がといったほうが適切か。
まあ、そういうわけでいくらか忙しくはある。
楽しいからいいけれど、最近は本をあまり読めていない感もある。
さて、そういうわけで、僕は今日は教室でも小説を読むことにした。
「あれ、珍しいね。辞書じゃないんだ」
朝早く、春山が、教室に入ってくるなり聞いてきた。
まだ誰もいない教室。
二人だけだ。
「ああ。部活で読む時間は減ってくるだろうし。一応辞書は一周したし」
「もう一周したんだ! やっぱり読むの速いよね」
「まあな。でも、普通に辞書も読むつもりだぞ? ラノベばっか大量に読むのも邪魔になるし」
「そうなんだ。あ、そういえば、さっちゃん喜んでたよ。ありがとうって」
「そっか。まあ、次のテストなんてまだ先だろ?」
「え、七月の第一週だから、今週から二週間前だよ?」
「マジですか……。まあ、勉強会は来週からだな。部活あるし」
「そうだね。今週中にある程度固めておきたいよね」
「ああ。テスト明けには募集を始めたい」
「頑張ろうね」
「もちろんだよ」
「おはよ~」
「ん? ああ、チヒロか。おはよう」
「うん、チヒロだよ~。春山さんもおはよ~」
「あ、おはよう」
「ああ、そうだチヒロ。勉強教えるって話、来週からな。それと、僕の幼馴染二人と、春山とその友達も来るから」
「わかった。どこでやる?」
「ああ、場所を決めてなかったな……。春山、候補あるか?」
「う~ん……。図書館だと、大人数でいるのは迷惑だしね……」
「じゃあ、うちでやるか。学校から一番近い駅から徒歩十分だし、遠くはない。どうだ?」
「ボクは全然いいよ。邪魔にならないかな……?」
「大丈夫だ。うちは共働きで、夜まで親はいない。まあ、妹がいるけれど、そんなに邪険にはされないだろう」
「へえ、カズヤ、妹いるんだ」
「ああ、僕に似て優秀で、僕と違って可愛い」
「まあ、男女の違いはあるからね……。でも、カズヤも結構イケメンのほうに入るとは思うよ?」
「そうか?」
「兄弟そろって優秀な顔と優秀な頭なんだね……」
「ああ、まあ、最近は前より甘えてくれなくなったんだけどな……」
「いくつ?」
「中二だったっけ?」
「ああ。でも、あんまり友達連れてきたりしないんだよな……。嫌われてたりしないよな……。もしくは、会わせるのが恥ずかしい家族だと思われてるとか……?」
「そんなことないと思うよ?」
「かっこいいから、取られちゃうとか思ってるんじゃない?」
「はは、まさか」
そんな風に話している間に、他の奴も教室に入ってきた。
「なになに? 遠山、勉強会すんの?」
「ん? ああ。まあ、もう増えないけどな」
「なんだよ~。あ、そうだ。ちょっと英語の予習見せてくれね? 忘れちった」
「いいぞ」
「あ~! 遠山、俺も見ていいか?」
「いいぞ。一限までに返してくれよ?」
「もちろん! サンキュな!」
学年一位だというのが広まってから、時々僕に宿題を見せてもらおうとするやつが増えて、話すことも増えてきた。
この調子で、友達が増えてくれると嬉しい。




